公立学校で教師が不足|先生がいない理由と学校の対応を解説

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スタスタ編集部
当社のインターン生である、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、青山学院大学、明治大学、立教大学、東京理科大学、東京学芸大学、筑波大学・・・の現役大学生たちが、自身の小中高大受験・通塾・塾講師経験をベースに、各塾の教育方針や学習システム等の特徴を独自に分析し、編集・執筆しています。
キーポイント

不足しているのは「非正規教員」であり「正規教員」ではない

全国の公立学校のうち、少なくとも120校が教員不足

原因は「低賃金ゆえの高需要」と「教員志望者の減少」

現在行われいる対応は「少人数制クラスの廃止」や「教員免許がなくても指導が認められる特例免許の発行」

みなさん、こんにちは。5月を過ぎてから「公立学校で教師が不足している」というニュースや記事が多いですよね。

みなさんの中にも公立学校に通学していた方、通っている方いらっしゃると思います。多くの方が通う公立学校で一体何が起こっているのでしょうか?

本記事ではそもそも教師とは一体誰を指すのか、そして原因や対策などを分かりやすく解説していきます。

教師不足の正しい意味

公立学校で教師が不足しているとは簡単に言うと、公立小中学校で非正規教員がいないと言うことです。ここで重要なのは、正規教員ではなく非正規教員だということです。

不足はどのくらい?

非正規教員は全国の公立学校のうちの4%、つまり約120校で想定より不足しています。しかし実際にはこの数字はもっと多いかもしれません。なぜなら国は非正規教員の未配置の詳細を把握していないからです。

確かに文部科学省は毎年、教員の総数や雇用状況を調査していますが、それはあくまでも正規教員が対象です。したがって「非正規教員が不足している」事態は、メディアが独自に調べてわかったものということになります。

朝日新聞が47都道府県と20政令指定都市、大阪府から教員人事権を委譲された豊能地区の3市2町の計72教委に問い合わせたところ、5月1日での未配置は1241件と判明しました。この内訳は、独自の少人数学級や特別支援教育などの担当が736件、病休教員の代わりが257件、産休・育休教員の代わりが223件などであったそうです。

しかしメディアに対して、足りない教員の人数を公表しない自治体があるため、現状の未配置の数字はもっと大きいでしょう。未配置の最多は熊本県の103件で、茨城県102件、愛知県92件、宮城85件、神奈川県82件と続きます。多くの未配置がある一方、18教委は「0件」と答えました。自治体によって差がありますね。

教師には種類がある

非正規教員の数が不足していることがわかりました。しかし「非正規教員」とは一体誰のことを指すのでしょう。またなぜ自治体により未配置の差があるのでしょうか?実は教師には3種類あり、それが未配置に大きく関係しています。

3種類の教師

正規教員:教員採用試験に合格した方がなることができます。クラスを受け持ったり顧問になったりします。他の2種類の教師より待遇や給料が良いです。
非正規教員の常勤講師:臨時的任用教員とも言われます。正規職員が育産休や病気休暇などにより不足している場合に任用されます。仕事内容は正規職員と同じですので、クラス担任や部活動の顧問になることもあります。正規教員と大きく異なる点は、任期期限が6ヶ月という点です。
非正規教員の非常勤講師:授業だけを担当し、クラス担任や部活動の顧問になることはありません。しかし学校がない長期休暇は給料がありませんので、講師だけで生計を立てるのは厳しいです。そのため副業が認められており、塾講師やアルバイトをする方が多くなっています。

まず教師が不足している時は非正規教員の常勤講師、非正規教員の非常勤講師という順で探すことが通例です。ただ非常勤講師を当てるかどうかは教委により異なります。朝日新聞の調査によると、47教委が「非常勤講師」を当てたとしています。未配置の多い熊本県や茨城県は非常勤講師を当てない、と回答しています。このことから「教師が足りなくなった時、誰を採用するのか」によって未配置数に差がでると言えるでしょう。

教師不足の原因と学校の対応は?

以上の説明から非正規教員が全国で不足していることが分かりました。では一体、なぜこのような事態になってしまったのでしょうか?

原因は?

そもそも教師が不足している理由は「特別支援学級が増えた」「産休・育休取得者が増えた」ことが大きな割合を占めています。しかし他にも様々な理由があるので、一概には言えません。

根本的原因はおもに金銭的問題と人的問題と考えられます。金銭的問題というのはつまり、お給料です。実は正規教員を1人雇うのと非正規教員を2人雇うのは、ほぼ金額が同じです。学校にとっても同じ金額なら2人雇う方がいいですよね。そうすれば、算数の授業を2クラスのレベル別に分けるなどの取り組みも可能になります。このような現状もあり、学校現場は非正規教員へ高いニーズを持っているのです。

人的問題というのは臨時的任用教員をやりたい人が減少していることです。教員採用試験を受験するときには、あらかじめ自治体に登録しておかなければけません。しかしその登録者数がそもそも減少しているので、学校が雇いたくても雇えない、まさに先生がいないという状況が起こっています。

また上記2つ以外にも理由はあります。例えば「教師を目指す人数が減少している」などです。様々な要因が複雑に絡み合って現在の「非正規教員が不足している」状況になっていると言えるでしょう。

各学校の対応は?

教師がいなくてもきちんと授業は実施されなければなりません。では各学校はどのような対策・対応をしているのでしょうか? 多くの学校では教頭が授業を行ったり、少人数制クラスを諦めたりしているそうです。 また「助教諭免許」制度を使って教師を採用している学校もあります。

助教諭免許
これは、教員免許を持っていなくても教えることができる特例の免許です。教員免許には幼稚園教員免許、小学校教員などに分かれていて、自分が所持している免許の範囲でしか教えることはできません。しかしこの助教諭免許はいずれかの教員免許を持っていることを条件に、3年間に限って、その範囲を超えて指導出来るもので、もちろん法律で認められています。

2017年、助教諭免許は約4,000件発行されています。ということは助教諭に頼らざるを得ないほど、非正規教員の数が不足していた事実は、現在よりももっと前からあったということになります。長い間、学校は人材の確保で困難の危機に立ち続けているのです。

まとめ

今回の記事で「長期間にわたり非正規教員が不足し、各学校はその対応に追われている」ことが分かりました。また教師がいなくなっても、勉強を教えるという仕事はなくなりません。したがってその穴埋めを他の教師が行うことになります。

このような現職の教師の負担を減らすためにも、AIなどを使用することが求められています。例えば膨大な量のテスト採点を教師ではなく、機械が行えばかなり負担の軽減につながるでしょう。

教師は生徒にとって知識や勉強を教えるだけにとどまらず、多くの影響を与える存在です。ですので一刻も早い解決や、国の対応策が望まれます。今後の動向に注目です。

参考:公立小中、先生が足りない 全国で1241件「未配置」

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