イギリスで「スマブラSP」が授業に導入!|教育的観点から徹底解説

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スタスタ編集部
当社のインターン生である、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、青山学院大学、明治大学、立教大学、東京理科大学、東京学芸大学、筑波大学・・・の現役大学生たちが、自身の小中高大受験・通塾・塾講師経験をベースに、各塾の教育方針や学習システム等の特徴を独自に分析し、編集・執筆しています。

イギリスでコンピューティング(日本における情報)の授業に任天堂の「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」が導入されることが発表され、「教育にゲームを導入されるの?」と多くの反響がありました。

実際に、海外ではゲームやe-sportsを教育へ反映させる動きは多く見られます。その中で、日本はコンピュータや情報技術への教育が遅れていると言われています。

そこで今回は、ゲームやe-sportsを教育へ導入する背景や効果について説明します。

大乱闘スマッシュブラザーズSPECIALとは?

「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」は、任天堂が2018年12月に発売したNintendo Swich向けのゲームです。

「大乱闘スマッシュブラザーズ」(以下、スマブラ)は対戦アクションゲームとしてシリーズ化されており「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」は、6作目のタイトルとなります。プレイヤーがれぞれキャラクターを選択し、自分のキャラクターを対戦させるアクションゲームです。過去のシリーズに登場したキャラクターが全て登場するということで、日本でも注目を集めました。

YouTubeの紹介映像も参考にしてみてください。

授業にスマブラが導入された背景

「なんでイギリスは、ゲームを教育として授業に導入するの?」など、疑問の声も多くあります。ここではイギリス教育に、スマブラが導入された背景についてご紹介します。

イギリスの義務教育は、5歳~16歳の11年間と設定されています。また日本とは異なり、卒業という概念がありません。そのため義務教育が終わると、進学や就職のために試験を受けるシステムとなっています。

その際に知識だけでなく、自分で考えて表現する能力が求められます。

もともと教育のICT化が日本より進んでいる

そもそもICT教育とは、「Information and Communication Technology」の略で、情報通信技術を利用した授業のことを指します。簡単に言えば、インターネットを通じて、パソコンやタブレットを使用した授業ということです。

イギリスでは1999年にはICT教育が導入され、文章を書いたり、絵を描いたり、情報の交換・共有をしたりすることが行われていました。しかし2012年にICT教育を改革する動きが起こりました。ここでは、デジタル技術を使う「degital literacy(デジタルリテラシー)」と情報技術を学ぶ「Information Technology(インフォメーションテクノロジー)」、「Computer Science(コンピューターサイエンス)」の3つに分けられたのです。この改革によって、コンピュータサイエンスの創造性や面白さを学ぶ機会が増えていきました。

一方、日本はイギリスと比較してICT化が遅れています。タブレット教育やeラーニングなどの導入が遅れているだけでなく、未だに日本では「わからない単語は紙の辞書で調べる」という感覚が強く、制度以外の学習環境や習慣における遅れも目立ちます

その他ゲームが導入されている海外事例

背景について解説したところで、ゲームが教育の一環として導入されている例を紹介したいと思います。

任天堂が提供する「Nintendo Lab」

ICT教育の一環として注目を集めているのが、ゲームやe-sportsです。そして任天堂が提供している「Nintendo Lab」は、アメリカの教育現場に導入されたケースがあります。

「Nintendo Lab」とは、ゲームをするために必要なコントローラーを自分で作ろうという取り組みです。ゲームソフトだけでなく、一緒に入っているダンボールと部品を使ってコントローラーを組み立てていきます。そして自分で作ったコントローラーを利用して、ゲームを楽しむことができるのです。

2018年には、「Nintendo Lab」はアメリカの小学校に教材として導入されました。「遊びの中から学ぶ」という教育方針を目指したのです。科学や工学だけでなく、テクノロジーやアート、数学のカリキュラムの一環として普及させようとしています。

DIGITAL SCHOOLHOUSE

イギリスに存在する「Degital schoolhouse」はICT教育に注目し、ゲームやe-sportsを積極的に取り入れようとしている非営利ゲーム団体が運営する教育機関です。様々なゲーム会社の支援を受け、イギリスに55校あります。具体的な活動は、ワークショップとe-sportsの開催です。

  • 独創的なワークショップ

このワークショップは、イギリス全土の小学校が対象で、教師も参加します。コンピューティングに触れる機会であり、実際に体験しながら学ぶことができます。実際に行われた研究をもとに、キャリア教育もかねたプログラムとなっています。研究と実際の産業事業のギャップを修復し、将来のデジタル経済へと対応できる人材を育てています。

  • e-sportsも開催

今回提携を決めた任天堂の「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」を用いて、e-sportsを開催する予定としています。全国から6000人以上が集まり、大会が行われるのです。イベントの運営や参加者の管理など、大会運営にかかわる仕事を学ぶ場としても注目されています。

導入したことによる効果とは?

ここまで、イギリスにスマブラが導入された背景について見てきました。

では「e-sports」を導入したことによって、どんな効果があるのでしょうか。「Degital schoolhouse」による「e-sports2018」の報告書をもとに、導入による効果を見ていきましょう。

eスポーツ参加者へのアンケート

「e-sports2018」にて注目されたのは、”行動の変化”と”キャリアパスとSTEMの関心への影響”の2つです。

  • プレイヤーの行動の変化

e-sportsに取り組むことで、プレイヤーの様々な行動の変化が見られました。具体的には「伝達スキルの増加」や「コミュニケーションとチーム力の向上」「友情の向上」「他のチームスポーツへの参加への関心も高まり」が挙げられます。チームで競うスポーツであるため、チームメイトとの会話を通して考えや状況を的確に伝える能力が高まります。そして仲間とのコミュニケーションやチームワーク、友達との関係性を向上させたとプレイヤー自身が体感していたのです。それだけでなく、「他のチームスポーツもやってみたい」と感じた人も多くいました。

  • キャリアパスとSTEMの関心への影響

実際にe-sportsに取り組むことで、自分のキャリアについて新しい興味や関心を与える機会でもあったようです。e-sportsを実際に行うことで、「ビデオゲーム業界で働いてみたい」という興味を持った生徒が多くいました。さらにコンピュータやコンピューティングへの関心が高まり、日常で行われている授業よりも効果的と言えます。その中でも、「研究してみたい」という生徒が増え、研究意欲も高める効果があることがわかりました。

まだ存在しない仕事に就く人が増加する

「Degital schoolhouse」は、現在初等教育を受けている学生の65%は、まだ存在していない仕事に就くと予想しています。その中の一部には、e-sportsに関する業界や、VRやARなどの新しいビデオゲーム業界と言われています。

学生たちは、存在していない仕事を目指してキャリアアップすることはできません。ゲーム業界というと、プログラミングが必須と言うイメージがあり、プログラミング技術に自信がないと就職を断念する学生がたくさんいます。しかし実際には、プログラミング技術を必要としない仕事も多くあるのです。

そこでe-sportsは実践的な経験を学生に与え、幅広いキャリアを学ぶ機会を紹介する効果もあります。

友達やチームメイトとの絆を深める

参加者の99.29%は、e-sportsのトーナメントを通じて、「友情を成長、もしくは維持させた」と感じています。

チームで協力して取り組むトーナメントは、仲間との絆を深める効果もあります。

他にも4つの効果が期待できる

キャリアデザインや友情の成長だけでなく、他にも4つの効果が期待できます。

  • 普段は課外活動に参加していない学生も参加する

通常の課外授業では、「参加しない」という生徒が多いのが現状です。しかし「e-sportsなら参加したい」という生徒が多く、普段は課外授業に参加しない生徒が参加します。課外授業では、普段の授業で学べないことを勉強する大切な時間です。そのため、すべての生徒に参加してもらう良い機会と言えるでしょう。

  • 教師と学生の関係性を向上

教師はe-sportsというこれまでにない経験を通し、生徒の新たな一面を発見できる機会です。普段とは違うチームワークや遊びを通して、授業では見られない生徒の活躍を見ることができるかもしれません。

また「ゲームばかりする子供」へのイメージは、「勉強が疎かになる」など偏見が強く、良いものとは言えません。そんな中でもe-sportsは、教師のゲームに対するイメージを向上させる機会とも言えます。生徒自身が、ゲームという価値を再認識する場でもありますね。

  • 教師のスキルアップ

e-sportsは、ビデオゲームや創造的なデジタル産業において利用可能なキャリアの機会に関する知識を提供する場とも言えます。そのため、生徒だけでなく教師がスキルアップする場でもあるのです。多くの知識を得て、幅広い視野を身に着けることはとても重要と言えます。

  • ゲームの価値に関する既存のステレオタイプに取り組む

実際に、ゲームは「あまり良いイメージがない」という場合もあります。しかしe-sportsを通して、ゲームという価値を見直す機会でもあります。すでに持っているゲームへの「先入観や思い込み」を変え、将来の仕事の1つとしてキャリアの幅が広がります。また普段のコンピューティングに関する講義に、より熱心に生徒が取り組み、より熱心に教師が教えるという姿勢へと変える効果が期待できます。

期待できる効果一覧

e-sportsを導入することにより、期待できる効果を一覧表でご紹介します。

影響する分野 対象 具体的な効果
生活 生徒 コミュニケーション能力の向上
生徒 チーム力の向上
生徒 友情を深める
キャリア 生徒 ゲーム業界への興味を持つ
生徒 コンピューターとコンピューティング、研究について関心を向上
生徒 新なキャリアを学べる
課外授業 生徒 課外授業へ参加する生徒の増加
生徒の評価 教師と
生徒
教師と学生の関係性向上
教師 教師のスキルアップ
価値観 参加者 ゲームへのイメージを向上させる

生徒だけでなく、教師も含めた多くの参加者に、さまざまな効果が期待できるという訳です。

日本での導入は?

イギリスではe-sportsが注目され教育の一環として導入されていますが、日本でのe-sports導入は行われていないのでしょうか。

日本での導入状況について、ご紹介します。

私立ルネサンス高等学校

あまり知られていませんが、日本でもe-sportsが取り入れられている学校があります。日本で最初にe-sportsを導入したのは、私立のルネサンス高等学校です。

2018年にeスポーツコースが開講しました。eスポーツ選手の育成は、さまざまな能力が必要です。

  • 技能
  • 英会話
  • コミュニケーション能力
  • 強いメンタル

高校卒業認定を得るための勉強とともに、eスポーツを両立した高校生活を送ることが可能です。(参考:私立ルネサンス高等学校

通信制や定時制が目立つ

取り入れている学校がある一方で、日本ではe-sportsが教育に導入されている例は少なく、教育に活かすことは出来ていないという現状があります。

そのため、普通科や公立の学校への導入は、まだ先のことになる可能性が高いと言われています。

一部の学校では、部活動での導入が始まっており、個人での活動を学校が応援してくれるケースも増えています。e-sportsがカリキュラムの一環として導入される兆しは、見えつつあります。

まとめ

これからの教育では、コンピューティングの技術やリテラシーが必要とされています。

そのため、e-sportsに対する良くない先入観を排除しなければなりません。e-sportsやコンピュータ技術を学ぶことが、重要となりそうです。

「e-sports」が気になる方、e-sportsを取り扱う塾をお探しの方はスタスタにご相談ください。

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