目次
英検1級要約問題について
英検1級の要約問題は、2024年度第1回検定より新たに導入される問題形式です。その目的と形式は以下の通りです。
要約問題導入の目的
- 複数の言語技能を統合した言語活動の充実を図る
- 知識や技能の習得だけでなく、コミュニケーションを行う目的や場面、状況等に応じた言語運用における思考力、判断力、表現力等の育成を目指す
問題形式
- 300語程度の英文を読み、90〜110語程度の要約を英語で書く
- 出題される英文は、新聞記事や論文などに見られるアカデミックなエッセイで、3パラグラフ程度で構成される
- 元の英文をそのまま写すのではなく、できるだけ自分の言葉で言い換えて要約することが求められる
- 「内容」「構成」「語彙」「文法」の4つの観点で採点される
英検1級に求められるスキル
- 英文全体を読んで筆者の主張を正確に把握する力
- パラグラフごとの要点を押さえ、重要な情報を取捨選択する力
- 具体的な表現を抽象的な表現に言い換える語彙力とパラフレーズ力
- 制限語数内で、論理的につながりのある簡潔な文章を書く構成力と表現力
英検1級 要約問題サンプルと解答例
2024年度第1回より、要約問題が新しく追加されるにあたり、英検公式からサンプル問題と解答例が公開されました。
英検準1級で使われる英文は、110語から130語前後のもので、60語から70語への要約が求められます。
リーディングに与えられる時間は90分で、以前と変更はありません。
長文の内容一致選択問題が10問から7問に減りましたが、それ以外の変化がないことも考慮すると全体的に素早い解答を求められることになります。
時間配分表を参考にすると、要約問題にかけられる時間はおよそ15分です。
短文の語句空所補充問題 | 12分 |
---|---|
長文の語句空所補充問題 | 18分 |
長文の内容一致選択問題 | 20分 |
英文要約 | 15分 |
英作文 | 20分 |
見直し | 5分 |
英文サンプル問題
Sand is being mined in large quantities around the world, including from the bottoms of lakes and rivers. Sand mining is a major industry, with sand being exported and imported by many countries. Singapore, for example, has expanded its land area by over 20% in the past 40 years, largely by using sand to reclaim land from the sea. However, sand mining can have severe consequences. It physically destroys habitats in and around the mining sites and increases water turbidity, which harms aquatic organisms. It also affects humans who depend on lakes and rivers for food or water. As a result, some countries have restricted or banned sand exports. Others have passed laws limiting sand mining or have shut down illegal sand mining operations.
和訳:砂は湖底や川底を含め、世界中で大量に採掘されている。砂の採掘は主要産業であり、多くの国で砂の輸出入が行われている。例えばシンガポールは、過去40年間で国土面積を20%以上も拡大したが、これは主に砂を使って海から土地を埋め立てているためである。しかし、砂の採掘は深刻な結果をもたらす可能性がある。採掘場とその周辺の生息地を物理的に破壊し、水の濁度を高めて水生生物に害を与える。また、食料や水を湖や川に依存している人間にも影響を及ぼす。その結果、砂の輸出を制限または禁止している国もある。また、砂の採掘を制限する法律を制定したり、違法な砂の採掘事業を閉鎖したりしている国もある。
解答例
Sand mining, a major global industry involving the large-scale extraction of sand from lakes and rivers, has enabled countries like Singapore to significantly expand their land area. However, it can severely impact the environment by destroying habitats, harming aquatic life, and affecting human communities that rely on these water sources. In response, some nations have restricted sand exports, regulated mining activities, and cracked down on illegal operations to mitigate the negative consequences of this practice.
和訳:砂の採掘は、湖や川から砂を大量に採取する世界的な一大産業であり、シンガポールのような国々が国土を大幅に拡大することを可能にしてきた。しかし、生息地を破壊し、水生生物に害を及ぼし、水源に依存する人間社会に影響を与えるなど、環境に深刻な影響を与える可能性がある。これに対し、砂の輸出を制限し、採掘活動を規制し、違法操業を取り締まることで、この慣行がもたらす悪影響を緩和している国もある。
解答のポイント
解答に含めるべき要点
- 砂の採掘が世界的な一大産業であること
- シンガポールが砂を使って海を埋め立て、土地を拡大したこと
- しかし、一方で砂の採掘が環境に深刻な影響を与えること
- 生息地の破壊
- 水の濁度を高める→水生生物に悪影響
- 水に依存する人間生活に悪影響
- 結果として、以下の対策がとられている
- 砂の輸出の制限
- 採掘活動を制限する法律の制定
- 違法操業の取り締まり
文章全体を把握するために
- 接続詞や副詞に注目する
- 文章中に出てくる”However/also”など関係性を表す接続詞や副詞に注目し、文章の内容が対比なのか並列なのかを把握する。
- 例文の場合、howeverと言う逆接の前後を読むと「砂の採掘が世界的な一大産業でシンガポールのような国の土地拡大に寄与している(肯定的な内容)」と「砂の採掘が環境に悪影響を及ぼしている(否定的な内容)」の対比になっていることが読み取れる。
- 同じように、alsoは前後を並列の関係で結ぶ副詞なので「生息地の破壊」「水の濁度が高まることによる水生生物への影響」と「人間生活への影響」が同質のものとして並んでいることが読み取れる。
- 枝葉を取って文章の幹だけを残すイメージを持つ。
- 文章を端的にまとめつつ意味の通る要約文を作成するためには不必要な情報を取り除き、核となる文章だけを残すと言うことが大切。
- 例えば、具体的なデータ「△△が〇〇%増えた/減った」と言う内容を全て要約文に取り入れるのではなく、「△△が増えた/減った」と言う情報だけにする。
- 文を名詞化して文字数を減らす
- 名詞化をすると主語や動詞を含ままくても文章の意味が通るので字数を減らしつつ、要点を取り入れることができる。
- 例えば、本文中にある”It physically destroys habitats in and around the mining sites“と言う文は、要約文の中で”destroying habitats”と言う名詞に書き換えられている。
英検準1級の要約問題と英検1級の要約問題の違い
1. 語数と文章の長さ
- 1級:300語程度の英文を90〜110語に要約
- 準1級:200語程度の英文を60〜70語に要約
2. 文章構成の複雑さ
- 1級:賛成意見と反対意見が混在するなど、より複雑な構成の文章
- 準1級:1級ほどの複雑さはないが、段落間の関係性は押さえる必要あり
準1級の場合
トピックに対しての賛成意見や反対意見を段落ごとに分けて書かれている場合がほとんどです。本文の構成は以下のようになっています。
賛成意見とその理由
反対意見とその理由
1級の場合、
トピックに対する賛成意見や反対意見が同じ段落内に混在しているケースがあります。本文の構成は以下のようになっている場合があります。
トピックや問題の簡潔な説明
賛成意見とその理由1
反対意見とその理由1
賛成意見とその理由2
反対意見とその理由2
したがって、英検1級では段落間の関係性だけではなく、ひとつの段落内で展開されている相反する意見の関係性も把握する必要性があると言えます。
英検1級要約問題のポイント
1. 全体を読んで筆者の主張を正確に把握する
要約問題で最も重要なのは、与えられた英文の内容を正確に理解することです。パッセージ全体をしっかりと読み込み、筆者の主張や文章の大まかな流れをつかみましょう。
具体的には、各パラグラフの要点をメモしながら読み進め、それらを統合して文章全体の主旨を把握します。この作業は要約文を書く上での土台となるので、時間をかけて丁寧に行うことが大切です。
2. 具体的な用語や固有名詞を抽象的な表現に言い換える
要約では字数制限があるため、具体的な用語や固有名詞をそのまま使うのは避けましょう。代わりに、それらを抽象的な表現に置き換えることで、簡潔な要約文を作ることができます。
例えば、サンプル問題の解答例では「lakes and rivers」が「water sources」に、「Singapore」が「countries like Singapore」に言い換えられています。このように上位概念を用いてまとめるスキルを身につけておくと良いでしょう。
3. 本文と同じ論理構造、因果関係を保ちながら要約する
要約文では本文の論理構造を維持することが求められます。パラグラフ間の関係性や因果関係を考慮しながら、文章の骨組みを再現するようにまとめましょう。
サンプル問題の本文は「砂採掘の実態→環境への影響→各国の対策」という流れで書かれていますが、解答例もこの順序を踏襲しています。接続詞などを効果的に使って、論理的なつながりを示すことが大切です。
4. 冗長な情報や繰り返しを削除し、本質的な情報に絞る
字数を減らすためには、冗長な表現や重複する情報を思い切って削ぎ落とす必要があります。各パラグラフの中心となる部分だけを残し、補足的な内容は割愛しましょう。
サンプル問題の解答例を見ると、シンガポールの国土拡大に関する数値など、具体的なデータは省かれています。あくまでも文章の本質を捉えることに集中し、不要な部分は削除する勇気を持つことが重要です。
5. 要約文だけで元の文章の要点が伝わるよう、完結性を確認する
最後に、要約文を見直して完結性をチェックしましょう。元の文章を読まなくても、要約文だけで筆者の主張や文章の大筋が理解できるようになっているかを確認します。
サンプル問題の解答例は75語とコンパクトですが、本文の主旨を的確に反映した内容になっています。読み手に伝えるべき情報が過不足なく含まれているかどうか、客観的に判断する姿勢が大切です。
英検1級要約問題の効果的な勉強法
- 日常的にアカデミックな英文を読み、要約する習慣をつける。
- 無料でアクセスできる英文として「NHK world」をおすすめします。こちらは、NHKが国内外のニュースを24時間英語で発信している情報サイトです。日本のニュースが取り扱われているので、身近な話題が多く、理解しやすい内容になっています。
- 加えて、「NHK World」のサイトの大きな特徴は、YouTubeやアプリもあること。自宅ではサイトでニュース記事をじっくり読み、通勤などのすきま時間にアプリで音声を聞く、といった使い方も可能です。
- 自分の要約文を第三者に添削してもらい、客観的な評価を受ける。
- 公式からの採点基準は「内容」「構成」「語彙」「文法」と大まかな表現がされていて、自己採点では正確性が問題になってきます。
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