アダプティブラーニングとは|意味やAIなど気になることを解説

114-adaptive-learning-1
ABOUT US
スタスタ編集部
当社のインターン生である、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、青山学院大学、明治大学、立教大学、東京理科大学、東京学芸大学、筑波大学・・・の現役大学生たちが、自身の小中高大受験・通塾・塾講師経験をベースに、各塾の教育方針や学習システム等の特徴を独自に分析し、編集・執筆しています。
キーポイント

✔アダプティブラーニングとは、生徒の理解度や学習状況に合った学習を提供する教育法

✔メリットは「常に自分に最適な教育を受けられる」や「教師の実力に左右されない」

✔デメリットは「モチベーション維持が難しい」や「機器・環境整備にコストがかかる」

✔基本的にはAIの活用を前提としている

近年いろいろな学習方法が話題になっているため、「アダプティブラーニング」の名前を聞いたことがある保護者の方も多いのではないでしょうか。

しかし「名前は聞いたことあるけど、内容や特徴は知らない」「どんなメリットがあるの?」と、疑問を抱いている方も少なくないでしょう。

今回は、アダプティブラーニングの特徴、知っておきたいメリットやデメリット、アクティブラーニングとの違いなどについて紹介しています。この記事をご覧いただくことで、アダプティブラーニングへの理解が深まりますので参考にしてください。

アダプティブラーニングとは

まずは、どのような教育法のことをアダプティブラーニングというのか確認していきましょう。

アダプティブラーニング

アダプティブラーニングとは、生徒一人ひとりの学力や学習状況、勉強の理解度などに合った学習プランを提供する教育法のことをいいます。

ICTやAI技術を活用することで、子どもの学習目標や学習到達度、取組時間、正誤履歴などの個人特性に適した勉強内容を自動で提案できるのが特徴で、国内外で注目を集めています。

例えば1問目は全員に同じ問題を配信し、自動採点をおこない本人の得意・不得意、傾向などを分析。そして分析結果をもとに、2問目以降は「難しい」「普通」「易しい」など、生徒に合った難易度の問題が個別に配信されるのです。

教師の対応能力への依存度が高い従来の教育手法では、「時間が足りない」「教師の能力によって差が出る」など、さまざまな課題がありました。しかしアダプティブラーニングを導入することで、これまでよりも効率的に生徒の学力に合った勉強内容を提供できますので、教育現場の課題を解決し、働き方や生徒が受けるサービスの質が改善されることが期待されています。

既にアメリカでは広まっている

アメリカではEdTech(Education Technology:ICT技術を教育現場に適用)が盛んなこともあって、アダプティブラーニングは2010年頃から注目され、広まっていきました。

アダプティブラーニングの教材を提供するDreambox社の教材利用者は、2015年時点で150万人もいました。またニューヨークに本社があるKnewton社の利用者は世界中に1,500万人以上もいて、日本の企業や機関とも連携を進めています

日本よりも遥かに早いタイミングでアメリカで広まり、その他の外国でも注目・導入が進んでいます。

アダプティブラーニングの特徴

アダプティブラーニングの特徴を掴むことで、他の教育法との違いも分かりやすくなります。ここでは、アダプティブラーニングの主な特徴について紹介していますので、一つひとつ確認していきましょう(参考:学校教育におけるICT、データの活用)。

ICT技術を活用

教育分野でICT技術を活用しているのがアダプティブラーニングの特徴です。EdTechの1つであり、これまでの教育方法では対応が難しかった個別の状況に合わせた対応が可能で効率的な学び方ができます。

ICTやAI技術を活用することで、精度の高い分析によって生徒の学習進捗状況や理解度を迅速に理解することが可能です。そして、その生徒に合った問題や勉強方法を自動で提案し続けることができます。

生徒に最適な学習内容を作成・提供

アダプティブラーニングを日本語に訳すと適応学習です。生徒の状況に合った勉強方法や課題を作成・提供することが特徴で、個別適応が可能です。

従来の教育方法のように、理解度が異なる生徒たちに対して一律に同じ学習内容を提案するのではなく、本当にその生徒の状況に合った勉強内容を勧められるのが、アダプティブラーニングの特徴です。

アダプティブラーニングはe-ラーニングの中の1つ

アダプティブラーニングは、インターネットを活用する学習「e-ラーニング」の中の1つでもあります。そのため、学校はアクティブラーニングを導入する際、e-ラーニングシステムも導入することになります。

したがって学校と生徒はアダプティブラーニングのメリットだけでなく、e-ラーニングの様々なメリットも受けられます。

企業にも注目されている

アダプティブラーニングが注目されているのは教育機関に限ったことではありません。人材育成に活用できるということで、多くの企業も注目しているといわれています。

企業側は、アダプティブラーニングを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。

  • 各社員が自社・競合の商品やサービスをどれだけ理解しているかわかる
  • 社員の立ち位置や学習状況に合わせて次のステップのための勉強内容を提供可
  • 新入社員〜幹部まで適切なスキルアップが図れる
  • 現場社員や人事部による社員育成業務の負担を軽減できる
  • 新入社員を一刻も早く戦力化することができる
  • 指導員の指導力や対応力に左右されない

学校と同じように企業にアダプティブラーニングを取り入れることで、様々な業務の効率化を実現できます。

アダプティブラーニングのメリット

アダプティブラーニングにどんなメリットがあるのか知っておけば、子どもに受けさせたい教育法か判断がしやすくなります。ここでは、主な6つのメリットについて確認していきましょう。

生徒の学力・状況に合ったおすすめの学習プランを提供

子どもが、アダプティブラーニングの学校に通うメリットの1つが、子どもの学習状況等に合ったベストな教育プランを適時提供してくれることです。

子どもが苦手とする分野に対しては課題を克服するためのプランが提案され、得意とする分野はさらに伸長させるための問題や教材が提供されます。生徒ごとで学習能力が違うため、従来の教育方法ではどこかのレベルに合わせて学習を提供する必要がありました。

レベルの高い生徒に合わせてしまうと、それ以外の生徒はついていくのが難しくなります。レベルの低い生徒に合わせた場合は、レベルの高い生徒たちの満足度は下がってしまいます。標準的なレベルの生徒に合わせる場合も同様です。

教員がすべての生徒の状況に合った教育内容を提供するのは無理があります。

しかし、アダプティブラーニングであれば、各生徒の状況に合ったベストな学習プランが自動で提供されるため、生徒の満足度の向上も期待できます。(参考:学校教育におけるアダプティブラーニングの可能性

教師の指導力に左右されない

これまでの一般的な教育方法の場合、生徒の学習状況に適した教育プランが提案されているかどうかは、担当する教師の指導力に左右されることが課題でもありました。

指導力や分析力が高い教師であれば最適な学習プランを提案できますが、そうでない教師の場合は学力と提案するプランにミスマッチが生じてしまい、生徒の能力を上手く引き出せないのです。

アダプティブラーニングであれば、ICTやAI技術を活かして一人ひとりに合った内容をおすすめできるため、教師の指導力に左右されるのを防げます。したがって指導力に左右されずに済むため、学力の成長を続けていくことができます。

得意・不得意、どこまで理解しているかを可視化

アダプティブラーニングは、テストの結果などから各生徒の学習状況や理解度を分析し、今後のロードマップを描きます。進捗度や理解度などのデータはシステムに記録されていくため、教師はいつでも確認することが可能です。

可視化されたデータを見て、各生徒の状況を把握すれば、教師はより良い指導ができるようになります。

教師の負担を減らせる

昨今、学校職員の労働環境が大変激務であることがニュースで報じられることがありますが、学校にアダプティブラーニングを導入すれば、ICTやAI技術で効率化ができ、教師の仕事量を減らすことが可能です。

教師が手一杯の状態だと心身に余裕がなく、質の高い生徒指導やサポートが難しくなります

アダプティブラーニングの導入で、教員の負担が減り心身そして時間的にも余裕を持つことができれば、生徒の指導やサポートに多くの時間を割くが可能です。

生徒同士で情報共有ができ学習意欲を向上

アダプティブラーニングは、生徒に情報提供等をするだけでなく、教師と生徒、および生徒同士でコミュニケーションが取りやすいようにソーシャル機能等が搭載されています。

生徒同士が気軽に情報交換できるため、気軽に相談できる環境となっています。

お互いが助け合って勉強に臨めるため、学習意欲を向上させることが可能です。

e-ラーニングのメリットもある

アダプティブラーニングはe-ラーニングの中の1つでもあるため、システムを導入している学校はe-ラーニングのメリットも受けることが可能です。

e-ラーニングのメリットには、一般的に次のようなものがあります。

  • 時間や場所の決まりがない
  • 情報共有が早い
  • 教材・情報を一元管理できる
  • 物理的な教材準備が軽減
  • データを蓄積できる

学校の教師がこのようなメリットを享受できるため、生徒が学びやすい環境を実現できます。

アダプティブラーニングのデメリット

ここまでアダプティブラーニングのメリットを紹介してきましたが、デメリットについても理解しておく必要があります。メリット・デメリットの両方をしっかりと把握しておくことで、子どもに合うかどうか判断もしやすくなります。

ここでは、主な4つのデメリットについて見ていきましょう。

導入している学校は少ない

残念ながら、アダプティブラーニングを導入している学校は非常に少ない状況です。

恐らく検討している保護者の方も、アダプティブラーニングを受けられる学校がどこにあるのか聞いたことある人は少ないのではないでしょうか。

これから導入する学校が増えていくと考えられています。しかし、現在は学べる環境が少ないため、保護者や子どもがアダプティブラーニングを受けたいと考えていても、通える範囲に学校がない可能性があります。

モチベーションが上がらない生徒もいる

アダプティブラーニングは自動でおすすめの学習プランが提案され、ソーシャル機能で生徒同士がコミュニケーションも取ることができます。しかし、従来の教育方法のように、教師に徹底して直接指導してもらった方が伸びる生徒もいます

タブレットやパソコンを通しての指導だと熱が入らず、モチベーションが低下してしまい、自発的な勉強が難しい状況に陥ってしまうのです。

アダプティブラーニングの教育法に限ったことではありませんが、生徒によって合う・合わないがあることを理解しておきましょう。

実技教育は難しい

アダプティブラーニングは、ICT技術を使い最適な学習プログラムを提案してくれますが、あくまでも問題や勉強方法を教えてくれるものです。

そのため、知識を身につけることに役立ちますが、コミュニケーションスキルや接客、調理や制作などの実践的な技術を身につけるのには向いていません

専用機器・教材が必要でコストがかかる

アダプティブラーニングを取り入れる場合、学校はシステムや専用機器を導入する必要があり、これらにはコストがかかります。

そしてかかったコストは生徒の学費等に転嫁され、保護者・生徒の負担が増える可能性があります。

アダプティブラーニングとアクティブラーニングの違い

アダプティブラーニングとアクティブラーニング、どちらも推奨されている学習方法で、その効果が注目されています。

名前が似ている学習方法ですが、内容と導入目的は異なります。ここでは、アダプティブラーニングとアクティブラーニングの基本的な違いについて把握しておきましょう。

アクティブラーニングとは

アクティブラーニングとは、生徒が受身の姿勢で学習するのではなく、自ら能動的に学ぶことを目的としている教育法のことです。

中央教育審議会答申(2012年)では「認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る」を狙いとして導入を勧めることが発表されています。

具体的な学習方法として、グループワーク、問題解決学習、ディベート、発見や体験する学習内容などがあります。アクティブラーニングの環境で学ぶことで、自分で考え行動する力を養うことができるのが特徴です。

055-activelearning

アクティブラーニングとの違い

上記の通リ、アクティブラーニングは受動的ではなく能動的に学ぶための学習プログラムのことです。一方、アダプティブラーニングは、ICT技術等によって生徒に合った学習プランを提案し、学習効率を高めるシステムのことです。

このように、アクティブラーニングとアダプティブラーニングでは、主な内容が異なります。

  • アクティブラーニング:能動的な力を養う学習プログラム
  • アダプティブラーニング:学習効率を高めるシステム

アダプティブラーニングとAI

アダプティブラーニングはAIを活用した教育法でもあります。AI技術を使って、生徒がどのような分野・問題を得意としていて、どんな部分に苦手意識があるのか分析をおこないます。

そして、分析をもとに得意な分野をさらに伸ばし、苦手な部分を克服するための学習方法や問題を自動で提案してくれるのです。

AI技術によって、生徒の学習状況・理解度を自動で分析し、その人に合ったプランを導き出します。

まとめ

ここまで、アダプティブラーニングの特徴、知っておきたいメリットやデメリット、アクティブラーニングとの違いなどについて紹介してきました。

アダプティブラーニングについて疑問をお持ちだった方のお役に立てたら幸いです。

もしなにか気になることがある場合は、ぜひお気軽にご相談してください。

小学生必見

オンライン塾徹底比較

中学生必見

オンライン塾徹底比較

高校生必見

オンライン塾徹底比較