【アメリカの教育改革】トランプは何を変えたのか?わかりやすく解説

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スタスタ編集部
当社のインターン生である、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、青山学院大学、明治大学、立教大学、東京理科大学、東京学芸大学、筑波大学・・・の現役大学生たちが、自身の小中高大受験・通塾・塾講師経験をベースに、各塾の教育方針や学習システム等の特徴を独自に分析し、編集・執筆しています。
キーポイント

教育を地方分権へ。

学校を自由に選択できるスクールチョイス制度を推進。

✔オバマ時代の「コモンコア」を否定。

何かとスキャンダルな話題が多いトランプ氏ですが、2017年の就任以降彼が行ってきた教育改革はどのようなものなのでしょうか?

最近では日本においても子どもたちの経済格差や、学力格差が多方面でも取り上げられる機会が増えてきたと思われます。しかしアメリカは日本以上に貧困層の富裕層の学力格差が大きく、その貧困層が広がっていることも問題視されています。

なぜそのようなことが起きてしまっているのか?それに対する改革はなされているのか?まずはアメリカの教育システムからみていきましょう。

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アメリカの教育システムとは

アメリカの義務教育と日本の義務教育において、もっとも異なる点としてあげられるのが、地方分権の色合いが強い点です。就学の義務や、期間なども州政府に任されています。多くの子どもたちが、5~18歳までの間を義務教育期間として学校に通っています。

また州政府の下には教育委員会があります。この教育委員会の財源は基本的に固定資産税から一定の税率もとに割り振られます。そのため裕福な地域では学校にも十分な資金が入りますが、一方で貧しい人々が多い地域では財源が乏しくなるということが起こります。これにより教育委員会が連邦政府、州政府からの資金に頼る必要がなく、立場を保つことができるというメリットがありますが、デメリットとしてこのように地域差が大きく反映されてしまうことになります。

「多くの中から選択できることで、良いものだけが残る、自然淘汰されていく」という発想がアメリカには強く根付いており、まさに資本主義の考え方です。これを教育政策にも取り入れているのがアメリカの現在の教育制度になります。そのため個性、個人が尊重されるアメリカは日本よりも学校選択制がより進んでいます。

学校の選択肢として、公立校、私立校、モンテッソーリなどのオルタナティブスクール、そしてチャータースクールなど様々に存在します。その中でもチャータースクールというのは、日本ではまだ珍しいのではないでしょうか?

チャータースクールとは、運営は民間に託された公立校をさします。法律に基づき達成目標を設定し、政府より認可が下りると公的資金が与えられます。その後学校を開設することができる新しいタイプの民間運営型公立です。このように実に様々な選択肢の中から学校を選ぶことで、教育の充実を図っています。その狙いがアメリアの教育システムを物語っています。

トランプ大統領によるアメリカの教育改革

  • 中央集権化の教育から地方分権回帰に向けてコモンコアを否定
  • スクースチョイス制度・バウチャー制度を推し進めている。
  • 技術・職業訓練、大学生、高校生のキャリア教育の充実

コモンコアとは、州政府を超えて共通の学習カリキュラムを指します。またコモンコアを採択するかどうかも州政府に委ねられおり、未だ多くの州が取り入れている現状があります。トランプ氏はツイッターにおいても「教育を地元へ」と発言をしていましたが、廃止にむけては厳しい様子です。

スクールチョイス、つまり学校選択制を推し進めることで、より自由な選択と共に個人の意思を尊重した教育を狙うという考えあります。この政策はトランプ氏も力を入れている一つであり、2019年では11億ドルもの予算をこの政策に計上しています。そしてバウチャー制度とはバウチャー(教育のためのクーポン券)を国民に配布し、それを通いたい学校へ寄付する形で学校の運営資金とする政策です。一方で、こうした学校選択制により競争原理が働き、地元の公立校自体が自然淘汰される点も問題としてあがっています。

労働者階級からの支持が強いトランプ氏は、技術訓練など職業教育への支援の充実を図っています。アメリカも日本と同様に多くの学生が高校を卒業するようになり、また大学への進学率も伸びています。そこで大学生、高校生のキャリア教育の充実にも力を入れています。この政策はオバマ前大統領から引き継がれており、経済への即戦力となりうる層への働きかけを重視していることが見てとれるでしょう。

教育改革の背景

もともとアメリカは教育委員会が主体となる地方分権の教育システムが根付いていました。それがクリントン氏によって、中央集権化されていった歴史があります。「2000年の目標:アメリカを教育する法(Goals 2000:Educate America Act)」において共通カリキュラムと共通テストを推進していました。

その後ブッシュ氏によるNCLB法が制定されます。この法律は、“No Child Left Behind” つまり「どの子も置き去りにしない」ことを掲げた画期的な法律でした。一見すると学力下位の層の底上げをうたった耳障りの良い法律ですが、実際には項目を達成できない場合には厳しい罰則が設けられている競争主義の教育政策でした。

オバマ氏に政権が移ると州政府や連邦政府の教育政策における権力の強化が推し進められ、その一つがコモンコアです。アメリカは地域差、所得差が大きく教育現場に影響してきた歴史があります。現在、結果が出ている最新の2015年のOECDによる学力調査の結果によると、アメリカは読解力、数学、科学の平均が世界の31位でり、他の国に比べ上位と下位の割合が多く学力の格差を露呈しています。

先程説明したように、「平等な教育基準、機会」を実現するために作られたのがコモンコアです。しかしその成果が出る前に、トランプ氏によって廃止とされるか今アメリカの教育はまた大きく舵をきろうとしています。

教育改革を受けてから現在

今までの中央集権化の流れから地方分権へ教育を回帰させようと意気込むトランプ氏ですが、その狙いというものが今一つはっきりと伝わってこないのが現状です。労働者や大学生など、すぐにアメリカ経済の即戦力になる部分への改革の熱量は理解しやすく、経済を立て直し、強いアメリカを再建したいトランプ氏にとっては、優先事項となるのも頷けます。

一方で、教育省においては無駄な法律などを排除する動きも多く、スリム化が進んでいます。教育省の予算は2017年から2019年においてもおよそ10%削減となっています。そのスリム化は教育を受ける子どもたちへ有効化されているのか?というと疑問が残る点が多いです。

また教育改革の柱として推し進められた学校選択制によって、貧困格差や学力格差が解消されてのか?というと、こちらにおいてもまだはっきりとした答えは出ていません。アメリカらしい競争原理が教育現場に持ち込まれたことで学校間の差や特色は浮き彫りになりましたが、学力格差の解消という実感にはまだまだ道のりが遠いようです。

まとめ

トランプ氏による改革の大きな柱は「学校選択制」、そしてもう一つの政策の柱として「近年の中央集権化からの地方への権限回帰」が見えてきました。これによって、注目するべきポイントは地元民への権限返還=責任転嫁へとされかねない点です。

セーフティネットが万全に取られた状態での自由選択と責任が問われるのであれば問題ないのですが、この選択制度が貧困層や教育熱のない家庭にゆだねられる危険性にも今後留意していく必要があるでしょう。労働階級からの支持が厚いトランプ氏ですが、そうした層の子どもたちや親が望む教育制度を充実させていけるかは、これからの政策にもかかっていると思われます。

日本にとって教育政策の流れを最も受けやすい国の一つであるアメリカ。アメリカの教育動向は常に日本の近い未来を写しているかもしれません。学校選択制をはじめ日本が今後どのようにそのエッセンスをくみ取っていくのか、しっかりと見極めえていく必要があるでしょう。

何かと話題性の高いトランプ大統領の教育政策に疑問をお持ちだった方も多いのではないでしょうか?そちらの疑問の解決にお役に立てられたならば幸いです。なにか気になることがあれば、ぜひコンシェルジュにご相談ください。

 

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