国際バカロレアって何?概要からメリット、デメリット、認定校まで解説

グローバル化が急激に進む近年、日本で国際バカロレア(IB)という言葉を耳にするようになりました。今回は、国際バカロレアとは何かをはじめ、メリットやデメリット、国内での普及状況などを合わせてご紹介します。

国際バカロレアとは

国際バカロレアは世界的に認められている教育プログラムの一つです。主に3つのプログラムで成り立っており、中には大学の入学条件に利用されているものもあります。早速、国際バカロレアの概要をはじめ、ねらいや各種プログラムの内容を解説していきましょう。

概要

本部をジュネーブに定めて国際的な教育プログラムを提供しているのが国際バカロレア機構です。International Baccalaureateの略称でIBと呼ばれています。

世界の複雑さを理解したうえで、責任のある行動や態度を取れる生徒を育成し、国際的に通用する大学入学資格を与えることが目的です。世界で20,000校以上の大学が国際バカロレア機構の資格を入学条件に定めています。

ねらい

国際バカロレア機構の使命は、多様な文化の理解と尊重の精神によって平和な世界を築くことです。

そのために、探求心・知識・思いやりに溢れた若者を育成する教育プログラムを推進しています。世界各国で学ぶ児童に対して、それぞれの人間の持つ考え方の違いを認められるように配慮されているのが、そのプログラムの特徴です。

このねらいを実現するために、学校や政府をはじめ国際機関と協力しながら、厳格な評価方法やチャレンジ精神に溢れたプログラムの開発に挑戦しています。

3つのプログラム

国際バカロレアのプログラムは生徒の年齢に応じて種類が分かれている点に特徴があります。いずれもグローバル化に対応できる人材を育めるようなプログラムです。ここでは、PYP、MYP、DPの3つのプログラムをご紹介します。

PYP(Primary Years Programme)

3歳から12歳を対象としたプログラムです。精神と身体の両方を育むことを重視しています。どのような言語にも対応可能です。世界では1,658校、国内では27校が実施しています。

MYP(Middle Years Programme)

11歳から16歳の青少年を対象とし、すでに学んできた内容と社会のつながりを学習するプログラムです。すべての言語で学習可能です。世界では1,488校、国内では16校が実践しています。

DP(Diploma Programme)

2年間にわたるカリュキュラムが組まれたプログラムです。16歳から19歳の年齢の方が受講できます。最終試験で定められた成績を収めることで、前述した国際的に通用する大学入学資格の国際バカロレア資格を取得可能です。

原則として、英語・フランス語・スペイン語に対応していますが、国際バカロレア機構の協力により、一部の科目が日本語で実施可能となる日本語DPも導入されつつあります。

世界では3,340校、国内では38校が取り組んでおり、IBプログラムの中でも、最も浸透しているといえるでしょう。

※そのほか、生涯のキャリア形成に必要なスキルの習得を目指すIBCPというプログラムもありますが、こちらは日本で対応している校舎が少ない傾向です。

国際バカロレアのメリット

国際バカロレアは、世界的平和を目的に教育プログラムを開発している機関だと伝えしました。しかし、なぜその教育プログラムが世界で実践されるに至っているのでしょうか。それには、主に二つのメリットがあるからだと考えられます。引き続き、国際バカロレア教育を受ける具体的なメリットをご説明しましょう。

海外大学への入学が有利になる

アメリカの主要大学の合格率に目を向けると、国際バカロレアの学習者が良い結果を示している事実が浮き彫りになっています。

2011年に行われたアメリカ主要大学の合格率調査(The IB diploma graduate destinations survey 2011 Country report United States of America 2012 )では、フロリダ大学における合格率はIB生が82%、米国全体が42%です。米国全体で見た割合の約2倍の数値であることが確認できます。

そのほか、ニューヨーク大学においてIB生が57%、米国全体が30%という結果も見られました。これらの大学だけでなく、ほとんどの主要大学でIB生の合格率が高いことが証明されています。

また、アイビーリーグ(アメリカ合衆国北東部にある8つの私立大学)への合格率についても同様です。IB生の合格率が全体の合格率よりも3~13%高いという結果が出ています。

したがって、国際バカロレア教育に参加するメリットは、海外大学への入学が有利になることだといっても過言ではないでしょう。

社会に出てから役立つ力が身に付く

社会では、経験したことのない課題と遭遇したり、相互のコミュニケーションがうまく立ち行かなかったりすえるケースもあります。その点、国際バカロレア教育は、プレゼンや議論を通して、思考力や表現力を身に着けるのに役立ちます。

では、どのように思考力や表現力を身に着けられるのでしょうか。実際にそのプログラムを効果的に取り入れている学校をモデルとして紹介します。

国際バカロレアの認定校の一つである開智日本橋学園では、生徒と教員の全てが学習者であるとの考えのもと、学校は学びを高め合う共同体であると定め、積極的な意見交換を促す教育方針を掲げています。

具体的な授業を見てみましょう。中学2年生の国語では、途中まで読んだ小説の続きを執筆する取り組みを行っています。中学3年生の公民では、自分が住む地域を活性化させるビジネスを考案し、会社のホームページを作成して発表する授業もあります。これらの授業は、いずれも生徒の表現力や発信力を養うのに適しているといえるでしょう。

また、中学3年生の理科では、科学技術の発展が現代社会の課題解決にどう役立つがを論じる授業が実施されています。抽象的なテーマを通して深い思考力を鍛える学習効果が期待できます。

国際バカロレアのデメリット

国際バカロレアのプログラムを受講することで、海外入試が有利になったり、社会スキルが身に付いたりするメリットを享受できることがわかりました。ただ、受講のメリットに目が行ってしまいがちですが、最低限押さえておくべきデメリットもあります。ここからは国際バカロレアのデメリットについて共有していきます。

学費が高い

国際バカロレアのデメリットの一つが学費が高いことです。国際バカロレア教育を取り入れている学校で、通常の授業と国際バカロレアプログラムを取り入れた授業で比較してみましょう。

玉川学園では、通常コースにおいて、高校1年生の授業料は858,000円、教育諸料は134,000円です。一方、国際バカロレアコースにおいて、授業料は1,338,000円、教育諸料は144,000円です。この比較では、国際バカロレアのプログラムを利用した場合、通常の授業を受講するよりも50万円ほど高いことがわかります。

ほかの学校についても見てみましょう。開智望小学校では、金額は公表されていませんが、国際バカロレアのカリュキュラムを履修するのに必要な経費は授業料に含めているとしています。そのほか、通常の学費に加えて国際バカロレアの授業料を別途必要としている学校があるのも実情です。

国際バカロレアプログラムは通常よりも成果が期待できる分、教員や教材など教育環境の整備に費用が掛かるのは当然といえるでしょう。

しかし、それでは家庭が裕福でない限り受講できません。教育プログラムの質を下げずに、一人でも多くの生徒が受講できる仕組みを整えることが、国際バカロレアにとって今後の課題といえそうです。

国際バカロレアの資格試験の合格率は100%ではない

国際バカロレアはプログラムを受講しているだけでは国際バカロレア資格を取得できないことに注意が必要です。

6科目の試験(計42点)に加えて、論文・TOK・CAS(計3点)などの課題をこなし、合計45点満点のうち24点以上獲得しなければなりません。

ちなみにTOKとはtheory of knowledgeの略で、知の理論とも呼ばれます。批判的思考に取り組むコースです。CASは、creativity、action、serviceの略称で、創造性・活動・奉仕の3つの要素で成り立っています。

これらの資格試験の平均点は毎年30点前後、資格取得率は8割程度なので、難易度が高いわけではありません。

しかし、合格率が100%ではないことも事実です。資格取得に失敗しないために、プログラムを受講していることに満足せず、日ごろから学習管理を怠らないようにしましょう。

日本国内の国際バカロレア認定校

国際バカロレアの導入が日本国内でも活発化しています。そのため、すでに国際バカロレアの認定校を検討している方も少なくありません。ただし、国際バカロレアに対応している学校を選ぶ際に注意すべき点が一つあります。「一条校」と「インターナショナルスクール」の違いです。それぞれの違いを説明するとともに、国内の認定校を一覧でご紹介します。

「一条校」と「インターナショナルスクール」

一条校とは、学校教育法第一条に定められた学校の総称を表し、主に幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学などが含まれます。教育カリキュラムが文部科学省の定めた内容に準拠している点も重要なポイントです。

一方、インターナショナルスクールは、外国人子女を対象とした学校です。一条校の対象外の学校であるため、国や都道府県から補助金が受けられず、学費が高い傾向にあります。

また、特に注意すべき点が大学進学に制限があることです。進学するためには国に認可された高等学校や中等教育学校、小学校を卒業しなければなりません。そのため、一条校でないインターナショナルスクールの生徒が進学をするためには、卒業程度認定試験等の受験が必要です。

しかし、大学受験のために別の試験を受けなくてはならないのは大変な労力がともないます。それを回避するために前述した国際バカロレア資格を取得するのも一つの手段です。インターナショナルスクールに通う生徒が大学受験の負担を軽減できます。

認定校一覧

※→一条校

都道府県学校名学校種別
北海道市立札幌開成中等教育学校
宮城県

 

 

仙台育英学園高等学校
東北インターナショナルスクール
秀光中等教育学校
茨城県

 

つくばインターナショナルスクール
茗渓学園高等学校
開智望小学校
群馬県ぐんま国際アカデミー
埼玉県昌平中学校
筑波大学附属坂戸高等学校
東京都アオバジャパン・インターナショナルスクール
アオバジャパン・バイリンガルプリスクール晴海キャンパス
アオバジャパン・バイリンガルプリスクール芝浦キャンパス
アオバジャパン・バイリンガルプリスクール早稲田キャンパス
インディア・インターナショナルスクール・イン・ジャパン
開智日本橋学園中学・高等学校
カナディアン・インターナショナルスクール
ケイ・インターナショナルスクール東京
サマーヒルインターナショナルスクール
シナガワインターナショナルスクール
清泉インターナショナルスクール
セント・メリーズ・インターナショナルスクール
玉川学園中学部・高等部
東京インターナショナルスクール
東京学芸大学附属国際中等教育学校
東京都立国際高等学校
みずほスクール
ウィローブルックインターナショナルスクール
武蔵野大学附属千代田高等学院
町田こばと幼稚園
神奈川県神奈川県立横浜国際高等学校
サンモール・インターナショナルスクール
ホライゾン・ジャパン・インターナショナルスクール
横浜インターナショナルスクール
法政大学国際高等学校
聖ヨゼフ学園小学校
キッズ大陸よこはま中川園
山梨県山梨学院幼稚園
山梨学院小学校
山梨学院高等学校
山梨県立甲府西高等学校
長野県インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢
インターナショナルスクールオブ長野
松本国際高等学校
岐阜県サニーサイドインターナショナルスクール
静岡県加藤学園暁秀高等学校・中学校
愛知県江西インターナショナルスクール
名古屋インターナショナルスクール
名古屋国際高等学校
東海学園高校
アップビートインターナショナルスクール
滋賀県滋賀県立虎姫高等学校
京都府京都インターナショナルスクール
同志社国際学院初等部
同志社インターナショナルスクール国際部
立命館宇治高等学校
大阪府アブロード・インターナショナルスクール大阪
大阪YMCAインターナショナルスクール
関西学院大阪インターナショナルスクール
コリア国際学園
大阪女学院高等学校
兵庫県カナディアン・アカデミー
関西国際学園
神戸ドイツ学院
マリスト国際学校
AIE国際高等学校
岡山県岡山理科大学附属高等学校
広島県英数学館高等学校
AICJ高等学校
広島インターナショナルスクール
福岡県福岡インターナショナルスクール
リンデンホールスクール中高学部
福岡第一高等学校
沖縄県沖縄インターナショナルスクール
沖縄尚学高等学校

国際バカロレアを利用した入試制度

国際バカロレア資格が海外の大学で有利に働くとお伝えしましたが、日本の大学ではどのように活用されているのでしょうか。国際バカロレアを活用した国内の入試状況についてご紹介します。

実施状況

文部科学省IB教育推進コンソーシアム事務局の調査によると、国立・公立・私立において61校の大学が国際バカロレアのスコア等を活用した入試に対応しています。日本の大学総数は約750校であることを踏まえると、国際バカロレアは国内で徐々に浸透しつつあるといえるでしょう。

学習院大学を例に見てみましょう。学習院大学では、外国高等学校出身者の入学試験に対応していて、複数の条件を課しています。そのうちの一つに、日本国内の学校を卒業し、国際バカロレア資格証書を取得していることが条件として定められています。

明治大学についても紹介します。明治大学の政治経済学部では、グローバル型特別入学試験を実施していて、国際バカロレア資格を出願資格として利用可能です。取得見込みでも試験を受験できますが、取得に失敗すると試験に合格した場合でも入学資格が取り消しになります。

今回紹介した学習院大学と明治大学の入試で共通しているのは、国際バカロレアはあくまでも出願資格の条件に含まれているだけであり、そのほかの条件を満たせば取得していなくても出願できることです。

ただし、横浜市立大学のように国際バカロレア入試と呼ばれる試験を行っている大学もあります。その入試では、国際バカロレア資格取得者のみを対象としているのが特徴的です。

これらの実施状況を踏まえると、国際バカロレア資格が必須の場合と、そうでないケースに分かれることがわかります。

じゃあ結局、国際バカロレアは受けるべきなの?

国際バカロレアのメリットや国内での入試制度を知ったとしても、国際バカロレア資格を取得すべきなのか迷ってしまいがちです。国際バカロレア資格の必要性は海外の大学と国内の大学を志望するかで変わります。それぞれの場合に分けて、国際バカロレア資格の必要性を理由を含めて説明していきます。

海外大学に行く人なら受けるべき

海外大学の合格率の高さに着目すると、海外の大学を志望している生徒には国際バカロレアの受講がメリットになるのはいうまでもありません。

また、国際バカロレア資格を取得可能なDPでは、英語で授業を受ける点も見過ごせないポイントです。海外の大学では英語力も必要とされるため、自身の英語が通用するかどうか不安に感じる生徒も少なくありません。

その点、DPでは、科目を問わず英語で授業が展開されるため、必然的に英語力を身に付ける必要が生じます。DPを通して英語に慣れておけば急激な語学環境の変化にも対応しやすいといえるでしょう。

これらの点から海外大学を志望する生徒には、国際バカロレア資格の取得をおすすめできます。

日本国内の大学を志望なら現状受けるなら意味ない

国際バカロレア資格取得者だけを対象にした制度を設けている大学は、まだ国内では少ないのが現状です。

それに加えて、国際バカロレアの授業は学習方針や評価方法が異なります。塾や予備校に通うなど一般入試の対策が別途必要になり、生徒の学習負担を過度に増やしかねません。

したがって、日本国内の大学を志望する生徒には、国際バカロレア資格の取得をおすすめできないのが実情です。

ただし、政府は「日本再興戦略」や「未来投資戦略」などを通して、バカロレアの認定校を増加させる取り組みを行っています。

今後認定校が増えるにつれて、国際バカロレアを検討する生徒も増え、それに対応した大学も増加すると予想できるため、今後の動向に注目しておいて損はないでしょう。

まとめ

国際バカロレアの概要をはじめ、メリット・デメリット、資格取得の必要性について論じました。国際バカロレアのプログラムは学費が高い傾向にありますが、海外大学を志望する場合に受験を有利に展開できる点に魅力を感じた方もいるかと思います。

ただし、国内で注目されているといえども、動向が不確かであることは否めません。さらに詳しい情報を知りたい場合は塾コンシェルジュにご相談ください。国際バカロレアを活用した入試動向に詳しい塾をご紹介いたします。

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