日本の教育は遅れている!?ICT教育の海外事例からわかる日本の現状

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スタスタ編集部
当社のインターン生である、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、青山学院大学、明治大学、立教大学、東京理科大学、東京学芸大学、筑波大学・・・の現役大学生たちが、自身の小中高大受験・通塾・塾講師経験をベースに、各塾の教育方針や学習システム等の特徴を独自に分析し、編集・執筆しています。
キーポイント
日本は教育ICTの環境整備面・活用面で遅れている

海外ではICTを授業で活用するとともに、授業外でも利用している

ICT環境の整備・教員のICT技能向上が課題

技術的には先進国と言われる日本ですが、教育のICT化は海外と比べ遅れているというのはご存知でしょうか。今回は日本が海外と比べてICT化が遅れている実態と、海外のICT教育の事例をご紹介します。日本のICT教育の現状や課題を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

そもそもICT教育とは

ICTは、Information and Communication Technologyの略で、情報通信技術を意味します。それをふまえると、ICT教育は情報通信技術を用いた教育といえます。

具体的には、プロジェクター、電子黒板、プラズマディスプレイなどの出力系や、教科書に準拠したデジタルコンテンツ、実物投影機、DVDなどの入力系の機器を用いるのが一般的です。それらを用いる基盤として、コンピューターやインターネット、校内LANなどの環境を整える必要があります。

このように環境を整える手間はかかる一方で、ICT教育にはさまざまなメリットが期待されています。たとえば、画像や動画を用いた視覚的な授業によって生徒の理解度を高められることや、データの検索により教員が資料の準備をしなくて済むようになることなどです。

情報化社会が進むにつれICT機器の利用はすでに身近なものになっているのはいうまでもありません。今後はICT教育が当たり前のように行われる時代がやってくることが予想されます。

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こんなにも日本は遅れている!海外と比べたICT教育の現状

日本は先進国であり、情報技術も発展していると思われがちですが、ICT教育に関しては海外と比べて遅れている傾向にあります。早速、日本のICT環境やICT活用状況を交えながら、その実情について解説していきます。

ICT環境の整備が進んでいない

世界的にICT教育が注目されているにもかかわらず、日本のICT環境は実のところ整備が進んでいないのが現状です。以下の表で教育用PCの普及率状況を確認してみましょう。

国名(調査年) 教育用PC1台あたり児童生徒数(人/台) 対象
日本(2018年) 5.6 小中高
アメリカ(2008年) 3.1 小中
イギリス(2012年) 6.8
4.2
オーストラリア ビクトリア州(2012年) 1.72
1.04 中高
シンガポール(2011年) 4.0 小中高
韓国(2012年) 4.7 小中高
フィンランド(2013年) 3.5 小中
オランダ(2012年) 5 小中
4.9 中高
デンマーク(2011年) 2.9 小学4年相当
2.9 中学2年相当
2.1 高校2年相当

出典:株式会社富士通総研『教育分野における先進的なICT 利活用方策に関する調査研究 』
出典:文部科学省『学校のICT環境整備の現状(平成30(2018)年3月1日現在)』

日本は最新の状況でも、5年以上も前の各国よりも普及が遅れていることがわかります。アメリカと比較した場合には、日本は10年以上もICT環境の整備で遅れを取っていると言えます。調査対象が日本は小中高、アメリカは小中とそれぞれ異ななるため、正確な比較はできません。しかし各国とも学年が上がるにつれて教育用PCの普及率が上がっていることを考えると、アメリカにも高校での教育用PC普及率のデータがあれば、差はより大きくなると予測できます。

またPCの普及率を見ると、イギリスもICT環境の整備が進んでいないと感じたのではないでしょうか。しかしイギリスも他国同様、教育のICT化が進んでいる国です。こう言えるのは、イギリスは電子黒板の導入教室割合が高いからです。富士通総研の調査によると2010年の時点で、小学校では100%、中学校では84%の教室に電信黒板が導入されています。一方の日本は2018年時点でも、電子黒板の整備率は26.7%にとどまっています。

このように日本は教育用PCと電子黒板といったICT機器導入の面で、遅れを取っていると言えます。

活用も進んでいない

経済協力開発機構OECDの取り組みの一つに国際教員指導環境調査のTALIS(Teaching and Learning International Survey)があります。学校の学習環境や教員の勤務環境に的をしぼった国際調査です。

TALISでは、ICT環境についての調査結果も含まれています。それによると、日本の中学校教員の17.9%、小学校教員の24.4%がICT活用の頻度について、「しばしば」、「いつも」と回答したことがわかっています。対する参加国の平均では、51.3%の教員が実践していると回答。比較の結果、日本ではICTの活用も進んでいないと見受けられます。

また、富士通総研の調査結果では、2011年の時点で、算数・数学の授業(小学校4年)でコンピューターソフトを用いている教員の割合も比較されています。アメリカは68%で、日本は35%でした。PCの導入率が及んでいない時点で、教員が授業でコンピューターソフトを利用する機会が少なくなっているのも当然といえるでしょう。

ICT教育の海外事例

日本のICT教育の取り組みについては、ニュースや学校の授業で耳にしたり体験したりする機会がある一方で、海外の事例についてはあまり馴染みがない方もいることでしょう。日本と海外のICT教育の違いがわかるように、ここでは諸外国の取り組みを紹介していきます。

アメリカ

アメリカでは生徒がICTを活用しやすい環境に整えているほか、教員がICTを活かすためのスキル習得に努めています。アメリカ合衆国ペンシルバニア州の公立ニューキャッスル中学・高等学校は、ICTの活用に成功した事例として注目されています。

具体的には、シューズのデザインコンテストにむけた芸術の授業や、ロボットコンクールに向けた授業などでコンピューターを活用しています。基本的には必要に応じて学校側が適宜パソコンを用意し、必要に応じて生徒に自身のスマートフォンやiPadの利用を許可する体制です。教員のICTスキルを向上させる取り組みを行っているのも特徴的です。

週一回ほどICTの活用状況を共有しているだけでなく、責任者が校内のICTの活用事例を写真とともにメールで送信したり、ホームページにアップしたりしています。

韓国

韓国では計画的にICT教育の環境を整備する取り組みが見られます。代表的なプロジェクトは二つです。まず、2006年から2009年にかけて実施されたU-Learningプロジェクトでは、選定された20校のパイロット校に対して、電子黒板、無線LAN、モバイルパソコンなど整備し、コンテンツの利用環境を構築しました。

2007年から2013年に行われたDigital Textbookプロジェクトでは、100校のパイロット校に対してタブレット型のデジタル教科書事業を実施しました。

そのほか、国が開設した教育ポータルサイトのEDUNETでは、教員が教材や学習ツールを共用できる仕組みが整えられています。また、学習環境だけでなく事務環境もICTによって整えられているのも特徴的です。教育行政システムNEISが導入され、成績管理や人事管理などの校務に役立てられています。

フィンランド

フィンランドは1990年代から学校教育におけるICT環境の整備に取り組んできました。具体的なICT環境の現状を数値で確認してみましょう。

まず、児童生徒用のPC整備率は、基礎教育が約3.5人/台で、高校が2.1人/台です。次に、インターネットの整備率は基礎教育が100%、高校も100%になっています。生徒の私有ノートPCとタブレットを学校に持参する割合は、基礎教育が16%、高校が61%です。高校では生徒が所持する情報端末の使用が認められつつある傾向が特に顕著といえるでしょう。

早い段階からICT環境の整備に取り組んできただけあり、ICTの活用が飛躍的に進んでいると見受けられます。今後の新しいカリュキュラムでは、幅広い学年にわたってプログラミング教育が必修化されるなど、ますますICT教育の環境が整っていくことも予想できます。

イギリス

イギリスでは情報関連科目として、2014年より新教科の「Computing」が実施されているのが特徴的です。従来のICT教育は機器活用が中心であったのに対し、Computingではプログラムの学習をメインとしています。プログラミングの学習によって、情報技術・デジタルリテラシー・システムの動作原理などを学ぶことが目的です。

ICT教育の環境についても紹介しましょう。ロンドンに位置するArdleigh Green Schoolでは、全教室に電子黒板とスピーカーを導入し、Wi-Fiも利用できるよう整備しています。教室の壁際にデスクトップPCを約20台設置しているだけでなく、教室の中心にもノートPCを約10台配置していて、生徒がPCを気軽に活用できる環境です。

オーストラリア

オーストラリアでは、教員の指導と保護者の理解に基づきICT教育が実施されています。

日本の学校教育では黒板を活用するのが一般的ですが、ビクトリア州メルボルンの小学校、中高一貫校、サイエンススクールなどでは、そもそも黒板がほとんどありません。その代わりにホワイトボードが設置されていて、天井に固定されたプロジェクタの投影用として利用されているのです。

コンピューターやタブレットを児童生徒の一人ひとりに貸し出す取り組みを行ってきましたが、その実績を保護者に示すことにより、各自がデバイスを持ち込む環境に移行しつつあります。

また、オーストラリアの学校では、小学校低学年にあたる児童でもICT機器を使っている姿が見られ、ICT教育が浸透していることを物語っています。教員に向けて、ICT機器を使いこなすための研修制度を整えていることが、その結果に結びついているのでしょう。

オランダ

オランダでは、生徒の個性や予算に応じたICT教育に取り組んでいます。

Talenten campus Venlo小学校では、発達遅延のある児童の教育にもICTの活用が役立てられています。1教室に約3台のパソコンと1台のタッチスクリーンボードが設置されています。タッチスクリーンボードに対応したプレゼンターと呼ばれるアプリケーションは情報共有に便利です。

例えば、各学校が作成した教材を地域内の学校と共有することもできます。また、問題の答え合わせなど学習面で利用できるほか、教員同士の連絡共有も可能です。

そのほか、College Den Hulster中学校のICT活用事例も参考になります。ipadを授業に導入しましたが、教員から理解が得られず授業で使用する機会が減ってしまったようです。しかし、ラズベリーパイと呼ばれる小型コンピューターを用いて予算を抑えながらICT教育を継続しています。

日本でのICT普及の課題

前述したTAILSと呼ばれる国際調査によると、PCやタブレットなどのデジタル技術を用いた学習サポートの度合いについて「非常によく」、「かなり」と回答した日本の教員の割合は中学校で35%、小学校で38.5%という結果でした。これ対してOECDの平均は中学で66.7%であり、やはりICTの普及が遅れていることがわかります。

しかし、別の調査項目では興味深い結果も見受けられました。ICT技能の開発の必要性に対して、「高い」、「ある程度」と回答した教員の割合が中学で39.0%となり、前回の結果より13.1ポイント増加したのです。

日本でICT教育が遅れていることを現場の教員も感じ取っているのでしょう。今後はICTの環境を整備するとともに、教員のICT技能を高める仕組みも必要となりそうです。

まとめ

日本のICT教育の現状を海外の事例を紹介しながらご説明しました。海外のICT教育では、国が率先してICTの導入に踏み出している事例や、各学校がPCやタブレットの持ち込みを許可している事例などがあり、日本で見られない取り組みが目立っています。

本記事で海外におけるICTの活用事例を知り、ICT教育に興味を持った方はぜひ塾コンシェルジュにご相談ください。ICT機器を活用した指導に対応している塾をご紹介させていただきます。

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