- 国語を得意するには「論理的に考える力」を鍛える
- 国語で問われる読解力・記述力の基礎は論理にある
- 論理を分析するのには「書くこと」が効果的
- 国語のプロに教えてもらうのも一つの手
定期テストの点数はそれなりに取れる。けれども、模試になると途端に国語の成績が下がる!そんな悩みをお持ちではないでしょうか。
この記事では、誰もが考える「国語センス論」を一蹴します。そして、国語を苦手のままにしておくことのデメリットや国語の勉強法、おすすめしたい国語指導のプロたちを紹介したいと思います。
国語の実力が伸びれば、他の科目の成績も芋づる式に伸びていきます。
みなさんが国語を得意になって、少しでも受験で良い結果を残して頂ければ幸いです。
目次
国語ってセンスじゃないんですか?
誰しも一度はそう思ったことがあるでしょう。
自分は国語の対策をしているけど、模試になると振るわない。国語をそこまで勉強しない子に限って、国語の成績が良い。
この差をセンスという言葉以外でどう表現すればいいのでしょうか?大きな疑問が湧いてきます。
答えは、論理的に考える力が身についているかどうかにあります。受験レベルの国語では、文章のつながり(論理構成)を意識しながら、読み進めていけば、確実に答えを導き出せます。
論理的に考える力は、国語において大切である、読解力と記述力に直結します。それぞれ、文章で言われてることを理解する力 と自分の考えを文字に起こして伝える力です。
読解をするのにも、記述をするのにも、論理的に考える力がないと、役に立ちません。内容を勝手に補完して読んでしまったり、相手に伝わりづらい文章を書いてしまったりします。
逆に言うと論理を掴めていれば、センスなんてものは関係ありません。
参考:国語の達人『読誤解その2.国語はセンスだから勉強のしようがない』
それでは、どうしたら論理的に考える力が身につくのでしょうか。その前に国語で近年重要視されている2つの力について見ていきたいと思います。
国語で重要視されるもの
文部科学省によると、国語力は「聞く力、話す力、読む力、書く力」で構成されるそうです。その中でも受験に大きく関わってくるのは読む力と書く力です。読む力は読解力、書く力は記述力に置き換えてもらっても差し支え無いでしょう。
共通テストが2021年1月に初めて実施されました。複数の文章をや資料を提示して、それらを引用・比較しながらの情報処理を求めるなど、実践的な読解力が問われるようになりました。
これは、PISAで日本の読解力の順位が低下したことが背景にあるそうです。PISAとはOECD加盟国を中心として3年ごとに実施される15歳を対象とした国際的な学習到達度テストです。2018年の調査では、日本は前回8位から15位に下がっています。
また、書く力に重要性は、推薦・AO入試や国公立大2次試験で、小論文や記述式などが課されることから明らかです。
複数の資料を読み取り、適切な解答をする。そのような、読解力と記述力の両方が今後ますます問われていくことになるでしょう。
参考:
文部科学省『望ましい国語力の具体的な目安』
田中圭一郎『読解力がないとヤバい!初の共通テストに見えたこれから必要な能力』
ここまで前置きが長くなりましたが、ようやく読解力と記述力の大元となる論理の出番になります。
論理的に考える力
論理的に考える力を身につけるには、文章がどのような論理で構成されているのかを知らなくてはなりません。
国語の問題に出てくる文章は、筆者の考えが論理を元に綺麗に並べられています。そのため、読み手に依らずに一通りの解釈がなされます。
それでは、今まで国語を勉強する中で沢山の説明文や論説文を読んできたのに、なぜ論理的に考える力が大して身についていないのでしょうか。
それは、文章を書く訓練が足りていないからです。スポーツで例えると、読むことは他人のプレイを見ることに、書くことはそれを元に練習することに当たります。
文章を書くことによって自分の思考が明瞭になります。最初は自分の考えに論理的な不備が見つかるでしょう。しかし、それを地道に修正していくことで、文章を論理的に構成する力がつきます。
書くことを通して、初めて、文章がどのような論理で構成されているかを理解することができます。書くこと無しでは、論理的に考える力は定着しません。読む力と書く力は表裏一体なのです。
参考:樋口裕一『読解力がない人は論理的な文章も書けない』
ここまで読んだ方には、書くことの重要性を何となく理解していただけたのではないでしょうか。
もう一度今までのことを整理してみます。
- 国語を得意するには「論理的に考える力」を鍛える
- 国語で問われる読解力・記述力の基礎は論理にある
- 論理を分析するのには「書くこと」が効果的
このことを念頭におきながら、やりがちな間違った勉強法を紹介していきます。
みんながやりがちな間違った国語の勉強法
読書について
国語の読解力をつけるのに良い勉強法として、よく耳にするのは「読書」です。読書もやり方によっては良いトレーニングになり得ます。
しかし、闇雲に本を読み進めていくのはおすすめできません。そんな読書を、国語の勉強として取り入れても効果が薄いケースを、2つピックアップします。
1つ目は、そもそも、長い文章を読む体力が鍛えられていない場合 です。読む力が弱い人に見受けられる特徴として、読みに関する記憶力が弱い ことが挙げられます。
国語の問題文を読んでいって、最後の方まで読み終えると、文章の言いたいことを見失っているというケースです。皆さんも心当たりがあるのではないでしょうか。
これは文章の論理を掴めていないがために、頭に文章の内容が入って来なくなり、記憶に残りにくくなることが原因です。いきなり長い文章を読むのではなく、短いものから始める 。そのように、徐々に慣らしていけば、読みに関する記憶力も鍛えられるでしょう。
2つ目は、読む本のジャンルが不適当な場合です。
例えば、小説を読んだとしましょう。小説は具体的な事実が連続でただ書き連ねてあるだけで、内容を簡単にイメージできてしまいます。これでは、文章がどのような論理で成り立っているのかを分析するトレーニングになりません。
読解力を身につけるためには、市販の入試問題集を買ってきて、その文章を読む方が効果的と言えます。入試の問題はきちんとした論理的に構成されているので、それを何度も繰り返し読み、分析をした方がはるかに高い効果が得られるでしょう。
テクニックについて
他にも、テクニックや試験の傾向と対策が大切、と耳にするかもしれません。もちろん、テクニックが役に立ったりすることがありますし、試験慣れも必要でしょう。
しかし、今考えているのは、国語の勉強として論理的に考える力を鍛えたい。そのために書く訓練をしよう、ということです。
国語の力はそのように一朝一夕で身につかないです。書くことを通して、読解力や記述力を伸ばしていけば、自ずとテクニックは身につきます。
参考:
鈴木国語研究所『よくある質問』
伊藤敏雄『国語読解力をつけるには、文章の要約練習がおすすめ』
ここまで読むと、国語を鍛えるうえで、いかに基礎の部分、つまり論理が大事になってくるのかが理解出来たのではないでしょうか。
次に、国語に苦手意識を持ったままだとどのようなデメリットがあるのかを紹介していきたいと思います。
国語が不得意なままだと取り返しがつかなくなる?
ここまで、国語を伸ばす方法や近年重視されている力などを取り扱ってきました。
方法論だけでイマイチ国語を勉強することの大切さが分からない。国語が苦手な分は数学や英語でカバーすればいいでしょ。そんな考えがよぎるかもしれません。
はじめの内は他の科目を勉強していたほうが成績の伸びは良いかもしれません。しかし、良く考えてみてください。国語の力が論理的に考える力とするならば、他の科目の難しい問題も同じように解けなくなることを意味します。
国語をおろそかにしていると、受験の追い込み時期に応用問題・読解問題を解くときに、壁にぶち当たってしまいます。これまで伸びていた成績が頭打ちになるのです。
また、受験のみならず、今後の人生にも大きく影響してきます。
読解力というのは、相手が言いたいことや気持ちを読み取り、深く分析できる力になります。将来のビジネスの場では、相手の意見・気持ちを汲み取っていくことが求められます。
記述力も同じように大切になってきます。自分の考えを分かりやすい言葉を選びながら、適切に表現し、伝えることができます。読解力・記述力が鍛えてあれば、スムーズに交渉をすることができます 。
参考:
教育のための科学研究所『読解のプロセス』
文部科学省『読解力向上プログラム』
国語の重要性を分かって頂けたかと思います。最後に、これらの具体的な勉強法とおすすめしたい国語指導のプロを紹介したいと思います。
国語の勉強法
国語では、論理的に考える力が大切。そのためには、書くことで文章の論理構造を徹底的に叩きこむべし。その二つを何度も繰り返しお伝えしてきました。具体的な勉強法ををお教えしたいと思います。
語彙力を鍛える
まず、言葉を知らないことには始まりません。問題を解く毎に、知らない漢字・単語・用法を調べてノートなどに書き貯めておきましょう 。
知っている表現に穴があると、文章の内容が掴めなくなります。そうすると、自分で勝手に補完せざるを得なくなります。冒頭で説明した、論理がしっかり掴めていないケースです。
論説であれば、トピック毎に出やすい表現をまとめてみるといいかもしれません。社会問題を題材にした問題もあります。日頃からニュースを見るようにして、情報の感度を高めておくのもおすすめです。
小説であれば、登場人物の心情を表す表現に注意しましょう。感情や情景の種類ごとに大別してまとめておくと復習がしやすいかもしれません
要約をしてみる
読んだ文章の内容を要約すると、かなり力がつきます。筆者の言いたいことを短い文字数で表現するには、文章で大切な所を見分ける力が必要になります。そのためには、文章の論理構造を分かっていなければなりません。
筆者はここで具体例を出しているな。ここは前の文の言い換えだな。こういった積み重ねをすることで、文章の構成がわかるようになります。そして文章の構成が見えてくると、手探り状態で読んでいた長い文章の先を見渡せるようになります。
同じ問題集を何度も繰り返し解くようにしましょう。徐々に文章のつながり、論理の構造などが理解できるようになっていくでしょう。最初は上手くいきませんが、地道に訓練すれば、必ず上達します。
国語の成績を上げてくれるプロがいるとしたら
もし独学できないのであれば、プロの手を借りるのが得策でしょう。
国語専門塾
国語専門塾とは、名前の通り国語だけの指導を行っている塾のことです。普通の塾と違い、少人数制が多いことが特徴です 。そのため、一人当たりに受けられる指導の密度が濃く、普通の塾の国語の講座を取るよりも効果を期待出来ます。
オンラインにも対応しているところがあるので、このご時世安心です。
国語を得意にして成績をさらに伸ばしたい!という方は、下のまとめ記事を是非見てみて下さい。
まとめ
いかがだったでしょうか。ここまで、国語における論理の重要性、そして書くことの大切さを紹介してきました。
国語は、勉強しなければ、成績は上がりません。しかし、勉強すれば、その分伸びる科目です。それは、国語の大元には論理が通っているからです。論理的に考えて正しい解釈が出来れば、必ず正しい答えが得られます。
これを機に、国語の勉強に力を入れてみるのはどうでしょうか。皆さんが国語を得意にして、受験で良い結果を残すだけでなく、より良い人生を歩んでくれることを願っています。
参考
- 国語の達人『読誤解その2.国語はセンスだから勉強のしようがない』
- 文部科学省『望ましい国語力の具体的な目安』
- 田中圭一郎『読解力がないとヤバい!初の共通テストに見えたこれから必要な能力』
- 参考:樋口裕一『読解力がない人は論理的な文章も書けない』
- 鈴木国語研究所『よくある質問』
- 伊藤敏雄『国語読解力をつけるには、文章の要約練習がおすすめ』
- 教育のための科学研究所『読解のプロセス』
- 文部科学省『読解力向上プログラム』