- 東工大を志望していて、基礎固めも含めて対策を始めたい受験生
- 東工大を受験するわけでは無いが、出題される問題のレベル感に興味がある人
なお、「各教科の参考書はこういうロードマップで取り組むと良いよ!」とか「この分野はこの勉強法がおすすめ!」といった具体的な話はせず、受験生一般に通ずるマインドセット・受験を通して感じたことを織り交ぜながら書いています。
あくまで筆者個人の見解が含まれているため、参考程度に読み進めていただければ幸いです。
東工大入試に臨むうえでの心構え
東工大入試に臨むうえでの心構えとして大切なのは、「基本的な定理・公式を深いレベルで理解する」ということです。なぜ深い理解が必要になってくるかというと、東工大のような難関大学で出題される問題は教科書レベルの理解を前提とし、さらにそれを使いこなせるかを問われるからです。
定期テストで点は取れるけど、模試になると振るわないという人は問題の解法暗記といった表面的な理解に留まっていることが多いです。
「結局は受験勉強っていくつかあるパターンの学習だから問題集を何周もして解法を覚えていくのが正攻法なんじゃないの?」って思った方もいると思います。確かに、理解の前提となる知識を蓄えるために問題集に取り組む必要もあります。
しかし、ここで大切なのは解法を覚えることではなく、問題の背後にはこういうテーマがあって…といった理解を伴った学習です。とは言え、普段の予習復習で精一杯だからそういった視座の高い学習は出来ないよという方は、先生に頼み込んでテーマを与えてもらって研究してみたり、一つの分野についてディスカッションしたりすると捗るかもしれません。
合格という観点では、頻出問題を押さえて確実に点数が取れるように演習を積めば、成功はすると思います。しかし、少し捻った設定の問題が出た時には上のような深い学習が活きてきます。
ここまで長くなりましたが、全教科に関して最大公約数的な説明をすると以下のようになります。
- 教科書レベルの知識をインプットする
- 覚えた知識で教科書の標準問題をほぼ解けるようにする
- 定理や公式の背後にあるテーマや理論について考察してみる
- 考察を裏付ける形でもう一回問題を解いて、理解を深める
東工大2次試験の各科目の傾向と対策について
ここからは東工大2次試験各科目の出題傾向とその対策について紹介していきたいと思います。なお、合格平均点やこの教科はこれくらい得点しておきたいといった話はしていません。
数学
試験時間 180分
実施日 1日目の最初
大問数 5つ(微積分・整数・確率・関数の総合問題などが頻出)
東工大の数学の出題傾向としては、構成力や計算力を重視した重厚な問題が多いということが挙げられます。煩雑な計算や長丁場になる問題が出ますが、そこまで突飛な問題は出ないです。
数学Ⅲ2019年の空間分割の問題を見てビビった人がいるかもしれませんが、殆どの人は解けなくても問題無いです。
自分が解ける問題を見定めて確実に得点するというのも実力になるので、日頃からペース配分をして合格点を取る訓練を積みましょう。
極限や微積分の問題が頻出であることから、1日1問は計算問題を解いて、計算力を落とさないようにすることも大切です。また、誘導がある問題を誘導無しに解くような訓練をすると、どういった手順で解き進めていくかなどの構成力の向上に繋がるのでおすすめです。
いきなり答案を書き始めるのではなく、どういった構成で答案作成するかを考えてから取り掛かると、余計な計算も省けたり、先を見通す力も養うことができて一石二鳥です。
過去問演習についても同じです。闇雲に演習量をこなすのではなく、1問ごとに深く掘り下げて、研究していくのが肝要です。この問題の背景には何が隠されているのか、別解は考えられるかなどの試行錯誤をした回数がそのまま、入試時の粘り強さに直結します。
焦らずに着実に目の前の問題に取り掛かっていきましょう。
英語
試験時間 90分
実施日 1日目の最後
大問数 2つ(どちらも英語長文で和文英訳、英文和訳、内容説明問題が頻出)
東工大の英語の出題傾向としては、いわゆる超長文が2題出題されることが挙げられます。英文和訳・和文英訳・内容説明を中心に満遍なく出題されます。長文の総語数は3000語近くになるので速読力が必要になります。語彙レベルは高いですが、設問自体の難易度は標準レベルの印象を受けるので、受験頻出の単語や文法を一通り押さえたら、長文演習の参考書で演習を積むのが良いでしょう。
ここで一つ確認しておきたいのが、「速読力を鍛えるには、文章を読みまくれば良いんでしょ」というのは誤解だと言うことです。厳密には間違いでは無いんですが、大して基礎(文法や語法、単語のこと)が固まっていないのにがむしゃらに量をこなしても効果は薄いし、読み方に変な癖がついてしまうこともあります。
速読をする前に精読をすることをおすすめします。精読とは、意味が取りづらい文も文法構造を把握しながら、着実に読み進めることです。こういった深く読む訓練をしていると、他の似たような文に出会ったときにスムーズに読むことができます。
精読力が身につけば、過去問は傾向を掴むくらいの使い方で構いません。まずは、英語構文の参考書を手に取って見たことある英文のストックを増やしていきましょう。
物理
試験時間 120分
実施日 2日目の最初
大問数 3つ(力学・電磁気が毎年出題され、残りは熱力学と波動からが頻出)
東工大の物理の出題傾向としては、教科書レベルの問題から誘導していくような設問が多いということが挙げられます。
東工大と言えど、高校レベルを乖離した難問は出題されず、教科書の定理や公式を導出出来るようになっておくと、それほど苦労はしないと思います。
補足として共有したいことがあります。物理を選択科目にしている人は、式を導出する際に微分方程式(数学)を使う派か使わない派に別れると思います。
使う派の意見を聞くと、「物理を深く理解しようとしたら、数学の理解は必須」だと言われ、使わない派の意見を聞くと、「文科省が取り決めした学習指導要領に沿って勉強すべき」と言われます。どちらが正しいのでしょうか。
結論としては、自分が今やっているやり方で構わないです。
「数学を使わないとそれこそ解法の暗記になるんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。それは仰る通りです。公式の導出や物理現象にどういった意味があるのかを深く突き詰めるとどうしても数学が出てきます。
ここで重要なのは、物理的な現象を理解し、捉えるツールとして数学という道具が用意されているということです。入試本番で数学を使って公式を一から導出しろと言っているわけではなく、物理現象の考察・研究をする際に数学を使うと良いよということです。数学を使って客観性を持った理解をすれば、記憶にも残りやすいし、分野間の繋がりも見えてきやすいです。
結局数学じゃん!って思った方には申し訳ないですが、理系の道に進む以上数学から逃げられないです。ですが、そういった本質を理解しようとする姿勢こそが物理の実力を伸ばす一番の近道になります。
化学
試験時間 120分
実施日 2日目の最後
大問数 3つ(理論・無機・有機の3つの構成で正誤問題、選択問題、計算問題が頻出)
東工大化学の出題傾向としては、理論・無機・有機の3分野から満遍なく出題されることが挙げられます。
出題としては特殊なものが多く、正誤判定問題で、正解を一つか二つかも正確に答えなければならない問題があります。他にも計算問題では答えの数値のみを記入するようになっており、正確な知識や計算力が求められています。
東工大の化学は最難関レベルと言われたこともありましたが、近年は共通テストの難易度を少し上げた程度の問題に留まることが多いです。
2次試験対策に注力するよりかは、共通テスト模試などを受けて、抜けていた知識・分野をその都度補強するといったやり方をすればおのずと点数も伸びていく気がします。また、計算問題では共通テストのように選択肢が用意されないので、選択肢を見ずに正しく導出できるかの訓練も積んだ方が良い気がします。
まとめ
これまでで、筆者がどのように入試対策をしてきたか、受験についてどのような思いを抱いているのかがお分かりいただけたと思います。
受験で一番大切なのは、自分と向き合うことだと思っています。背伸びをして難しい参考書を取り組むと、難しい問題と対峙するのでモチベーションアップに繋がるかもしれません。しかし、多くの場合大して身になっておらず、いたずらに時間だけが過ぎていたというのがオチです。
自分のレベルを客観視して、段階を踏んで勉強をする必要があります。自分と向き合うのは辛いかもしれません。筆者も成績が伸び悩んだ時は辛かったです。しかし、そういう時に自信になるのは盤石に築き上げてきた基礎です。
成績が上がらなくても腐らずに勉強してみてください。この記事が受験生の方のやる気アップに繋がったら幸いです。
東京工業大学2020年度入学で現在システム制御系に所属している、インターン生のマイクです。以下の読者を対象に記事を執筆しました。