【小学校で必修化】プログラミング教育の基礎知識まとめ|スタスタ

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スタスタ編集部
当社のインターン生である、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、青山学院大学、明治大学、立教大学、東京理科大学、東京学芸大学、筑波大学・・・の現役大学生たちが、自身の小中高大受験・通塾・塾講師経験をベースに、各塾の教育方針や学習システム等の特徴を独自に分析し、編集・執筆しています。
キーポイント

必修化の背景は、変化の激しい社会を生き抜ける人材に育てること

目的はプログラミング的思考を育むこと!コードを書けるようになることではない

保護者は、「必修化の目的を理解する」「家庭にIT環境を整備する」ことが大切

大学入試改革が2020年度より行われ、センター試験が廃止されるなど話題になっていますね。一方、小学校の教育も変革が起こります。文部科学省が2020年度より、小学校の教育過程においてプログラミング教育を必修化とすることを決定しました。

しかし一般的に「プログラミング教育」という言葉はよく聞くものの、その具体的な目的や内容がよくわからなく、不安に感じる保護者の方も多いかと思われます。

そのため今回はプログラミング教育必修化の内容と保護者の方の不安にお応えしていきたいと思います。

プログラミング教育が必修化した背景

プログラミング教育が必修化になった背景は、現在大きく進行するIT化が関わってきます。そして私たちは現在の生活がITに囲まれてきていることに慣れ、それを当然のことと考えているのではないしょうか。

しかし、この変化はこれまでの時代の中で非常に大きなもので、世界的に時代の移り変わりのタイミングとして捉えられています。「新たな時代」の到来がもう既に始まっているのです。当たり前のことと傍観しているだけでは、この「新たな時代においていかれてしまうかもしれません。

そして現在、この大きな社会変革に伴い、IT人材の不足が懸念されており、経済産業省の調査では2030年に78.9万人ものIT人材不足が起きてしまうという予想が出されました。

さらに世界ではプログラミング教育が進んでおり、例えばイギリスでは2013年、ハンガリーでは2003年にはすでにプログラミング教育が必修化されています。これらと比べると日本はIT化の波に乗り遅れてしまっていることがわかります。そこで今回、この状況を解決するために、プログラミング教育必修化という対策を取ることに決定しました。

プログラミング教育の目的と内容

ここまで背景について説明してきました。では今後、実際の教育現場ではどのように取り組まれていくのでしょうか?

文部科学省が2018年に改定した「小学校プログラミング教育の手引き(第二版)」から、その目的と内容の方針について見ていきましょう。

必修化の目的

  • プログラミング的思考を育む
    論理的思考とも呼ばれる思考能力です。
    頭の中で描いている活動を実行するのに、どういった「動き」を組み合わせ、どのように1つひとつの動きに応じた「記号」を組み合わせ、どのように記号の「組み合わせを変える」とより意図した活動に近づけることができるか論理的に思考する力を指します。
    プログラミング的思考とは?
    1.コンピュータにどういった動きをしてほしいか、「意図」を明らかにする
    2.どういった「動き」を、どういった「順番」でつなげるか理解する
    3.1つひとつの動きに「命令(記号)」を与える
    4.その組み合わせを考える
  • 身近な生活でコンピュータが活用されていることの問題解決には必要な手順があることに気づく
    IT化社会の中で、コンピュータを効果的に活用していくには、その仕組みを知ることが重要です。その根幹となっているプログラミングに触れることで、コンピュータを主体的に使うことができるようになります。大切なのは「プログラミングとは魔法のようなすごいもの」ではなく、現実で使われているものとして理解するということです。受動的に使っていると、IT社会に生きるのではなく「支配されて」しまいます。
  • 各教科の学びを深める
    プログラミング的思考を通して今までの各教科の学びを深めることも目的の一つです。具体的な例を見てみましょう。

例)算数の例 「正多角形を描く」

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定義を元にプログラミングで正多角形を描きます。「全ての辺の長さは等しい」「全ての内角の大きさは等しい」という正多角形の定義を基に作図する方法を考え、「外角の考えを用いてどのような角度を与えれば良いか」というプログラミングの思考で正多角形の理解を深めます。

小学校プログラミング教育の内容

文部科学省は小学校プログラミング教育の必修化にあたって、その指導要領をA〜Fの分類に分けています。それぞれ簡単に見ていきましょう。

分類 内容
A 学習指導要領に例示されている、各教科の中でプログラミングを用いて教科内容の理解を深めます。(算数:正多角形の作図など)
B 学習指導要領に例示されていないが、学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する上で実施します。(音楽:リズムの組み合わせなど)
C 各教科と別に、プログラミングの授業で行います。プログラミングの楽しさや達成感を味わい、各教科に関連することを先立って学習するなどプログラミングの思考と技術を学びます。
D 教育課程内で、クラブ活動など特定の児童に対するプログラミング教育です。
E 学校が開催場所の、教育課程外で行なっているプログラミング学習です。
F 学校以外が開催場所のプログラミング学習です。

これだけではわかりにくいかもしれませんので、ここから実際に小学校の授業で扱われるA、B、Cについて具体例を紹介していきます。

  • A:学習指導要領に例示される単元等で実施するもの
    例)理科
    身近なところで電気が利用された道具の存在を知り、電気の量と働きの関係、発電などについて、より正確な考えをつくりだし、表現できるようにします。
    例えば、人などに反応するセンサーのプログラムでは次のような命令が組まれます。
    センサーのプログラミング
    1.「人との距離が100cm以下ならば→スイッチを入れる」(10秒待つ)
    2.「でなければ→スイッチを切る」(1秒待つ)
    3.これを繰り返す
    このような仕組みを考え、試行錯誤してプログラムを作ることで、電気を利用する方法を理解したり、そのプログラムの工夫に気づきます。
  • B:学習指導要領に例示されていないが、各教科等の内容を指導する中で実施するもの
    例)音楽
    リズム・パターンの組み合わせ方について、このようにしたいという思いをもち、様々なパターンの面白さに気付きながら、試行錯誤することを通し、 まとまりのある音楽をつくります。
    例えば、あらかじめ用意した「ドンドン」「ドドンコ」「ドンドコ」というリズムを組み合わせ、即興で演奏するなど楽しみながらまとまりのある音楽を作ります。
    これをプログラミングを使用して、音楽を作っていくことで、「楽器が弾ける」「歌が上手」などのスキルは関係なしに音楽的素養を伸ばすことができます。また作った音楽をすぐに再生して、楽しく、プログラミングと音楽を同時に学ぶことができます。
  • C:教育課程内で各教科等とは別に実施するもの
    各教科内で行うA分類・B分類と異なり、プログラミングの授業として行います。「プログラミング的思考」を育み、 プログラムの働きや、情報社会が情報技術によって支えられていることに気付き、上手に活用して身近な問題を解決したり、よりよい社会を築いていこうとする態度を育むことを目標とします。
    目で見るだけでもわかりやすくつくられた言語を使い、「自分のキャラクターが敵に捕まらないようにする」プログラミングなどゲーム要素を持った学習などがあります。

プログラミング教育の必修化に対する不安や誤解

ここまで必修化の背景や内容について説明してきましたが、まだその意義が理解しきれないところもあるのではないでしょうか。

保護者としては、「必修化にまでする必要があるのか」「まずプログラミングって?」「得体の知れないものに子供を任せたくない」などの不安を抱える方も少なくはないでしょう。ここからはそのような必修化に対する不安や、勘違いについて答えていきます。

プログラミングとは

「プログラミング とは」の画像検索結果

プログラミングとは上のような文字列を指すことが多いです。一体これは何をしているのか?

実はこれは「コンピュータへの指示」を文字として書いているのです。人間と異なり、コンピュータは人間が指示したことしかできません。そこで「こういうことをしてほしい」という意図をコンピュータが理解できるように伝えなければなりません。

そして重要なのはプログラムというものの意味です。イベントのプログラムというのは大抵パンフレットなどに載っており、それは「順番」を指すと思います。プログラミングでも同じで、コンピュータにその動作を行ってほしい「順番」を指定しているのです。

これが論理的に作られていないと、コンピュータは混乱しエラーが出てしまいます。このような理由から、プログラミング的思考が論理的思考とも呼ばれています。

しかし、こんなことを小学生ができるようになるのか?と思いますよね。実は、必修化の目的は上のような文字列をかけるようになることではありません。

プログラミング技術を覚えること自体が必修化の目的ではない!

上のような文字列をプログラミング言語と言います。この言語はHTMLやJava Script、C++、Swiftなど現在200以上あり、小学校で学んだ程度で特定の分野で活躍できるような「技術」は身につきません。ではなぜ学ぶことになったのでしょうか?

その目的は先ほど説明してきました。IT化した社会の仕組みに気づく、問題解決能力を伸ばすために「プログラミング的思考」を身に付ける 、コンピュータを使って社会に貢献する主体性を生み出すというものでしたね。これはプログラミングの「技術」ではありません。IT社会の根幹とも呼べる力です。

今回の目的は技術よりも、お子様のIT社会で根幹と呼べる力を身につけることが重要で、それはどんな分野でも活かせるということです。

先生は教えることができるの?

実際、学校の先生たちも対応に苦しんでいます今までプログラミングに触れてこなかった先生方としては、困惑するのは当然でしょう。この試みを成功させるには、

  1. 教員などの「指導者」
  2. パソコンなどの「環境」
  3. 経験としての「こと」

これら3の要素を同時にレベルアップしていかなければなりません。またこれらのレベルアップには非常に時間がかかり、すぐにプログラミング教育が成果を出すわけではないと理解しておく必要があります。

しかし、最初の対応をできるだけスムーズにするための対策は練られています。それはICT支援員」です。

ICTとは?
Information and Communcation Technology(情報通信技術)の略

よく耳にする言葉として「IT」があると思います。ICTはITと近い意味合いを持ちますが、Communicationが加わっており、よりコミュニケーション要素が強くなったものです。例えばSNSや通信販売などが挙げられます。一方ITはコンピューターやアプリケーションなど情報通信そのものを指します。

ICT支援員が持つ役割は、「学校でICTを利用した授業が円滑に進むように、教員や児童生徒のICT利活用を援助する」ことです。また教師の研修におけるICT活用の支援や、学校の校務における活用の支援もおこないます。
もちろんICT支援員に指導を丸投げしてしまうのではなく、あくまでサポートの立場です。教必修化に際して科内容の指導方針などは先生が一任しますが、ICT技術に不慣れな先生をICT支援員によるサポートで支援するということです。

プログラミングで普通の教科を勉強できる?紙とペンの勉強が必要?

「プログラミングなんか使って勉強できるのか?」「紙とペンでなければ勉強は無理だ!」という意見もあると思います。一つずつ説明していきます。

まずプログラミング教育が最初から最後までコンピュータを使うわけではないということを理解していただきたいです。例えばカードを使って、この行動をどのように並べれば良いかというように論理的思考を鍛えるプログラミング学習の方法もあります。
これは「アンプラグド」という、コンピュータを使わずにカード等を使用してプログラミング的思考を学ぶもので、実際に使われているものです。

アンプラグドの例
  • 前を向く
  • 左に曲がる
  • 右に曲がる
  • 中に入る

これらが書いてあるカードを並べて「目的地にたどり着く」という目標を達成します。

次に勉強に役立つかどうかですが、プログラミング的思考(論理的思考)は勉強においても大きな役割を果たします。プログラミングは理系のイメージがあるかもしれません。しかし、論理的な思考は、論理的な文を考えることにもつながり、国語力としても非常に重要です。また国語以外でも論理的に考える力は意味を持ち、暗記科目と言われる理科・社会もストーリーのように覚えることが重要です。このように論理が通っている考え方は全ての教科につながるでしょう

最後に、プログラミングという学習はお子様が好きになる要素を持ちます。プログラミング学習では課題解決のための思考能力を鍛えることができますが、この学習は今までの小学校段階の学習とは異なり、勉強よりはゲームやパズルなどに近いと言えます。実際、お子様向けのオンラインサービスでは、お子様を熱中させるためにゲームのように構成されています。

これを学校の勉強として取り入れるとどうでしょうか?もしかすると紙とペンを使うよりもこちらを好むお子様も多いかもしれません。そのため、主体的な学習を引き出すことが期待されます。「学校の勉強が楽しい!」という声が聞けるのが楽しみですね。

保護者は今から準備するべき?

ここからは必修化までに準備をすべきかどうかについて説明していきます

もちろんこれから学校で教えてくれるため、急いで準備しなければならないわけではありません。しかしプログラミング教育必修化に向けて準備をすることは保護者の方にとっても、お子様にとっても利点があります。その利点は次のようなものです。

  • 保護者の方の利点…必修化の目的を理解できる
  • お子様の利点…ITに対する抵抗をなくすことができる、学習環境の整備につながる

保護者の方も必修化の目的を理解できる!

なぜ保護者の方が理解しておくと良いのでしょうか?

その理由は、ある程度プログラミングを理解すれば、自分自身が「プログラミング的思考を育む」などの目的を達成できるかもしれない、ということです。要するに必修化した目的の理解ができるということになります

不安を持ったまま子供にプログラミング教育を受けさせるのではなく、自分自身がその目的と効果を実感してお子様を学校へ送り出すことができればとても安心できるのではないでしょうか。自分が理解するためにも、一緒にプログラミング教室へ通うこともいいですね。

お子様のためにIT環境をつくろう!

また、お子様のために家庭でできることもあります。それはIT環境をつくる」ことです。その利点は二つあります。

  • お子様のIT関連の機器などへの抵抗感をなくす
    一つ目は「お子様のITに対する抵抗感をなくす」ことです。小さな頃からスマートフォンを買い与えていいのだろうか」という心配もあると思います。確かに、あまり良いイメージはありませんね。しかし、IT技術を活用したもので遊び、その楽しさを知るという方法は、ITに対する抵抗をなくす上では最善の方法と言えるでしょう。
  • 学習環境の整備ができる
    二つ目は「学習環境の整備ができる」という点です。プログラミング自体を一般的なご家庭で教えるのは難しいはずです。しかし、インターネットを使ってオンラインで勉強できるサービスもたくさんあります。このようなサービスを活用していく上で、新たな学習環境としてスマートフォン・タブレットはプログラミング学習において非常に役に立つはずです。

すでに民間のプログラミング教室や、学習塾で開講しているところもあるので私的教育を使うこともできます。もちろん「準備をしなければならない」ということではないです。これまで問題視されているようなスマホの使いすぎで外に出ないなど、悪影響も考えられます。子供の仕事は遊ぶことで、外で元気に遊ぶことも健康的にも重要です。準備をするかしないか、どのようにするかは保護者としての腕の見せ所と言えるでしょう。

まとめ

ここまでプログラミング教育の必修化について内容の説明から、勘違い・不安などに対するお答えをしてきました。

プログラミング教育に疑問をお持ちだった方のお役に立てたら幸いです。

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