新学習指導要領はいつから?ポイントをわかりやすく解説|スタスタ

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当社のインターン生である、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、青山学院大学、明治大学、立教大学、東京理科大学、東京学芸大学、筑波大学・・・の現役大学生たちが、自身の小中高大受験・通塾・塾講師経験をベースに、各塾の教育方針や学習システム等の特徴を独自に分析し、編集・執筆しています。
キーポイント

✔新学習指導要領は小学:2020年度、中学:2021年度から全面導入、高校:2022年度入学生から

✔導入理由は「社会の変化に対応し、生き抜くために必要な資質・能力を備えた子どもたちを育む」ため

✔「英語」「プログラミング」「アクティブラーニング」がポイント


最近、「新学習指導要領」の導入が話題です。

しかし「新学習指導要領」がいつから・どうして・どんなふうに変わるのか、とても複雑でよく分かりませんよね。

今回はそんな方々に向けて、スタスタが「新学習指導要領」をわかりやすく徹底的に解説していきます。

いつから導入されるのか?

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新学習指導要領は、小学校では2020年度、中学校では2021年度から全面的に実施されます。また高等学校では、2022年度の入学した生徒から年次進行で実施される予定です。一方で幼稚園では、新しい幼稚園教育要領がすでに2018年度に実施されており、特別支援学校は、小・中・高等学校学習指導要領に合わせて実施されることになっています。

そもそも学習指導要領とは?なぜ変わるの?

「学習指導要領」とは、文部科学省が定める教育課程(カリキュラム)の基準のことです。幼稚園から高等学校まで全国どこの学校でも、この基準に基づいて授業をする必要があります。そして、この学習指導要領は社会のニーズや時代の変化に沿って、約10年毎に改訂されています。

近年、情報化・グローバル化の加速度的進展やAIの飛躍的な発達により、社会は大きく、そして激しく変化しています。進化を遂げた人工知能(AI)が様々な意思決定をし、身の回りの物のほとんどがインターネットと結びつき、今までできなかったことが簡単にできる時代が到来するでしょう。

そのような予測困難な時代にあっても、子どもたちには、前向きに変化を受け止め、よりよい豊かな未来の創り手になっていくことが期待されています。子どもたちにとって学校教育とは、社会に羽ばたくための土台作りの場です。社会の変化に対応し、生き抜くために必要な資質・能力を備えた子どもたちを育むため、今回、学習指導要領は改訂されました。

新時代に必要な資質・能力とは?

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学習指導要領の改訂は、未来を生き抜くために必要な資質・能力を向上させるためだとわかりました。では、学習指導要領における資質・能力とは、一体どんなものでしょうか?

結論から申し上げます。

「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性など」の3つの柱からなる資質・能力のことです。(参照:文部科学省『新しい学習指導要領の考え方』

以下、3つの柱を詳しくそれぞれの内容について解説していきます。

知識・技能

「何を知っているか、何ができるか」

◯各教科等に関する個別の基礎的・基本的な知識や技能の習得だけではなく、既存の知識と関連付けたり組み合わせたりすることで育まれる、社会の様々な場面で生きて働く知識・技能

思考力・判断力・表現力等

「理解していること・できることをどう使うか」

◯問題を発見し、その解決に必要な情報を収集・蓄積するとともに、自分の持ちうる知能・技能をフル活用しながら問題を解決へ導くための思考力

◯必要な情報を取捨選択し、問題解決への方向性を定め、結論を決定するための判断力

◯自分の意思・意見をどんな相手・状況であっても伝えるための表現力

学びに向き合う力・人間性等

「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」

◯受動的にただ言われたこと学ぶのではなく、主体的に学習に取り組む態度も含めた学ぶ力

◯グローバル化によって、より多様化する世界を尊重し、様々な人々と互いの良さを引き出しながら共同する力、持続可能な社会づくりに貢献する力、リーダーシップやチームワーク、豊かな感性や他者への思いやりの心などを持ち合わせた人間性

これらの3つの力を教育課程全体や各教科での学びを通じて、それぞれバランスよくふくらませながら、一体的に育成していきます。この力こそが新時代を生き抜くために必要だと、新学習指導要領では述べられています。

具体的に何をやるの?

新学習指導要領によって導入される内容は、幼稚園・小学校・中学校・高等学校でそれぞれ違います。そしてその数は膨大であり、まさに教育改革であると言えます。この記事では、その中でも顕著なものを紹介していきます。

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幼稚園

すでに2018年度から、幼稚園では小中高の新学習指導要領にあたる「幼稚園教育要領」が導入されています。この導入では具体的な教育内容の変化は見られませんが、幼稚園での幼児教育がより意義を持つようにと教育の方針が変わったと言えます。

具体的には、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を幼稚園教諭と小学校教員で共有することで、幼児教育と小学校教育の接続をより一層強化しています。幼稚園教諭は育ってほしい姿を目標に子ども達を指導し、小学校教員は幼児教育で身につけたことを活かしながら授業することでスムーズな小学校進学が可能となります。

参照:文部科学省『平成29年改訂幼稚園教育要領解説』

小学校

英語(外国語)

英語(新学習指導要領の表記では「外国語」)が導入されます。

3年生から「外国語活動」が始まります。3年生から4年生へと2年をかけて「聞く」「話す」のコミュニケーションを中心に、年間35時間の授業を通じて、英語に慣れ親しんでいきます。

5年生からは年間授業時間が、なんと倍の70時間に増えます。そして英語は、評価が伴い、成績のつく正式な「教科」になります。学習内容としては、4年生までの「聞く」・「話す」を基盤としながら、アルファベットの大文字・小文字の習得や英語の文構造の把握といった「書く」「読む」が加わってきます。

プログラミング教育

今まで「プログラミング教育」は、各小学校の裁量に任されていましたが、今回の改訂で必修となります。これは、AIの目まぐるしい進化、情報社会の急速な発達に対応するためです。コンピュータで文字を入力するなどの情報手段の基本的な操作や、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力の習得を目指します。

ただし「プログラミング教育」は、前述した英語とは違って新教科にはせずに、現行の各教科の中で実施されることになっています。小学校のプログラミング教育必修化については以下の記事をご覧ください。

道徳

道徳の授業は現在でも行われていますが、正式な教科としては扱われていません。このことが原因で、地域によって取り組みの量や質に差が生じている問題があります。そして昨今、いじめが原因で多くの青少年が自殺に走ってしまうことが社会問題となっています。この2つの問題を解消するために改訂がなされました。

今回の学習指導要領の改訂で、「道徳」は「特別の教科である道徳(=道徳科)」という位置付けになります。それに伴い修正が加えられた新しい教科書が使用されます。しかしながら「道徳」の目的は、物事を多角的に捉え自分自身の道徳的価値を深めていくことにあるので、数値化された評価にはそぐわないとされ、成績評価の対象にはならない予定です。

参照:文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説』

中学校

プログラミング教育

現行の学習指導要領でも「プログラミング教育」はすでに実施されています。具体的には現在「技術・家庭」の学習内容は、「A. 材料と加工の技術」「B. 生物育成の技術」「C. エネルギー変換の技術」「D. 情報に関する技術」の4つに分かれており、そのうち「D. 情報に関する技術」の「プログラムによる計測・制御」という項目で扱っています。

今回の学習指導要領の改訂で、内容「D. 情報に関する技術」に「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」が追加されます。このことによって、学習内容は約2倍になると言われています。

ソフトウェアをどう使いこなすのか?のような受動的な学習だけではなく、ネットワークの活用やプログラミングによる問題解決といった能動的な学習を目指しています。

英語(外国語)

語を通じて、他国の文化への理解を深め、「聞く」「話す」「書く」「読む」といったコミュニケーション能力の基礎の養成を目指します

今回の改訂で、授業時数が各学年で105時間から140時間に増えますが、文法事項等の学習内容はほとんど増加していません。これは、言語活動の充足を通じた、徹底的なコミュニケーション能力の基礎の育成を意図するもであると言えるでしょう。

具体的な内容としては、

第1学年:自分の気持ちや身の回りの出来事などの中から簡易な表現を用いたコミュニケーションの育成。
第2学年:事実関係を伝えたり、物事について判断したりした内容の中からのコミュニケーションの育成。
第3学年:様々な考えや意見などの中からのコミュニケーションの育成。

となっています。これらの能力を3年間で段階的に育成していきます。

参照:文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説』

高等学校

主権者教育

2016年の6月22日に選挙権年齢が20歳から18歳になりました。また2022年度からは、成年年齢も18歳になる予定です。これらを背景として、公民科に必修科目「公共」が導入されます。前回の学習指導要領においては「公民のうち『現代社会』または『倫理』『政治・経済』のいずれかが必修」となっていましたが、今回の学習指導要領では「公民のうち『公共』は必修」となりました。「現代社会」が廃止され、それを「公共」が取って代わった形です。

「公共」での主権者教育を通して、子どもたち自らが主体となって政治を動かし、社会に参画する力を身につけることが目標です。

学習の範囲は「現代社会」と大きくは変わりませんが、その学習の方法は大きく変わってきます。アクティブラーニングを活用した学習方法ですので、具体的には、ペアワークによる対話やグループ単位での調査・発表になると考えられます。

消費者教育

2022年度に実施される18歳への成年年齢の引き下げは、保護者の同意を得ずに締結した契約を取り消すことができる年齢が20歳から18歳へと変わったことを意味します。

自立した消費者を育成するため、「公共」と「技術家庭科」の授業を通して、消費者契約の重要性、それに付随する消費者の権利行使の仕方など学習します。

参照:文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説』

「何をやるか」だけではなく、「どのように学ぶか」も重視される

新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)」の視点でのアプローチによって、子どもたちの学習方法を変えることをも重要視しています。

では主体的・対話的で深い学びの視点とは、どのような視点でしょうか?見ていきましょう。

  • 「主体的な学び」の視点
    学ぶことに興味や関心をもち、自己のキャリア形成の方向性と関連づけながら見通しをもって取り組み、自己の学習活動を振り返ってつなげる学び。
  • 「対話的な学び」の視点
    子ども同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手がかりに考えることで、考えを広げ深める学び。
  • 「深い学び」の視点
    習得・活用・探究という学びの中で、各教科の特質に応じた「見方・考え方」を形成し、問題を見いだして解決策を考えたり、創造したりする学び。

これらを総合したものが「主体的・対話的で深い学び」の視点であると文部科学省は言っています。(参照:教科等の本質的な学びを踏まえたアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善のための実践研究

子どもたちがグループディスカッションやディベートなどで能動的に学習する「アクティブ・ラーニング」の視点から、「何をやるか」だけでなく、「どのように学ぶか」を重視することで、現在の教育に変革をもたらそうとしているのです

複数人で協同して学習する「アクティブラーニング」によって、一人で能動的に学習する「自立学習」では培えなかった、社会的能力や経験、教養を身につけることが子どもたちに期待されています。

アクティブラーニングについての詳しい解説に関しては以下の記事をご覧ください。

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新学習指導要領に関連したおすすめの本

新学習指導要領についてわかっていただけたところで、ぜひ読んでいただきたい本をご紹介致します。

学習指導要領の読み方・活かし方

新学習指導要領についてや、どのように活かしていけば良いのかわかる本です。著書の合田哲雄氏も学習指導要領の改定に携わっており「わかりやすさ」を追求して書かれています。教師の方にはぜひ読んでいただきたい一冊です。

平成29年版 小学校 新学習指導要領ポイント総整理

新学習指導要領で「何が」「どのように変わったのか」に重点を置いて解説している本です。各科目ごとに改定のポイントが書いてあるので、教師の方に優しい内容となっています。

平成29年版 中学校 新学習指導要領ポイント総整理

こちらも小学校版同様、新学習指導要領で「何が」「どのように変わったのか」に重点を置いて解説しています。各科目ごとに改定のポイントが書かれているので、教師の方が読みやすい本となっています。

まとめ

ここまで「新学習指導要領」がいつから・どうして・どんなふうに変わるのか解説してきました。

学習指導要領の改訂が、これからの予測困難な社会に必要な能力育成に不可欠だということがおわかりいただけたと思います。

新学習指導要領に沿ったプログラミング教育を提供する塾を知りたい!など、なにか気になることや疑問点があれば、スタスタLIVEにご相談ください。

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