コロナ禍で進む大学入試のオンライン化!実施の様子と準備を解説!

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スタスタ編集部
当社のインターン生である、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、青山学院大学、明治大学、立教大学、東京理科大学、東京学芸大学、筑波大学・・・の現役大学生たちが、自身の小中高大受験・通塾・塾講師経験をベースに、各塾の教育方針や学習システム等の特徴を独自に分析し、編集・執筆しています。

新型コロナウイルス感染予防の観点から、今年は総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)で「オンライン入試」を導入する大学が急増しています。

文部科学省も大学入試の「ルールブック」と言える大学入学者選抜実施要項で、新型コロナウィルス感染症への配慮と面接のオンライン実施の推奨などを盛り込んでいます。

入試をオンラインで行うというのは、具体的にどういうことなのでしょうか?また実際に受験するときの準備や注意すべき点は、どのようなものでしょうか。

2021年度大学入試で導入が進んでいる「オンライン入試」について詳しく見ていきます。

オンライン受験の概要

入試をオンラインで行う大学が増えてきた背景は、文部科学省が今年5月に全国の国公私立大学に宛てた通知に起因します。

新型コロナウィルス感染予防・感染拡大防止のため、文部科学省は同通知の中で「オンラインでの個別面接やプレゼンテーション」「大学の授業へのオンライン参加とレポートの作成」「実技動画の提出」などを例示し、配慮を求めました。

《令和3年度大学入学者選抜実施要項(抜粋)》

特に、総合型選抜及び学校推薦型選抜においては、以下のような選抜の工夫に配慮する。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止に留意しつつ、例えば、ICT を活用したオンラインによる個別面接やプレゼンテーション、大学の授業へのオンライン参加とレポートの作成、実技動画の提出、小論文等や入学後の学修計画書、大学入学希望理由書等の提出などを取り入れた選抜を行う。
なお、ICT の活用に当たっては、入学志願者による利用環境の差異や技術的な不具合の発生等によって、特定の入学志願者が不利益を被ることのないよう、代替措置などの配慮を行うこととする。

文部科学省からの通知を踏まえ、これまで総合型選抜や学校推薦型選抜で行われていた面接・実技試験を中心に、オンラインに切り替える大学が登場しています。

オンライン入試の受け方

オンライン入試を受けることになった場合に、必要な準備について解説します。従来の対面型入試とは異なり、特別に必要になるものもあります。

当日になって慌てることがないよう、事前に揃えておきましょう。

オンライン入試を受けるに当たって必要になるもの

※大学から指定される場合があります。必ず各大学の募集要項をご確認ください。

◆機材
 ・PC、用意できない場合はスマホ(大学によって機材指定がある場合も)
 ・ヘッドホン、イヤホン(推奨/非推奨の場合あり)
 ・WEBカメラ(PC内蔵でも可)
 ・マイク(PC内蔵でも可)

◆環境
 ・安定した通信環境
 ・静かな環境  

◆服装
 ・制服、もしくは面接にふさわしい服装

◆事前の接続テスト
事前に接続テストを行う大学もあります。
通信環境の安定度やテレビ会議システムの操作方法を確認するのが目的です。

もし大学から指定が無かったとしても、事前に必ず接続テストは行いましょう。
操作に慣れておくことは、当日に不要なストレスを感じずに済みます。

オンライン入試を受ける際の注意点

不正防止策

オンライン入試で最も注意しないといけないことは、不正を疑われないようにすることです。特に筆記試験がオンラインで行われる場合には、公平性も含めて気になるところですね。

全受験生が同じ環境で試験に臨む一斉入試と異なり、オンライン入試では試験官の目が十分に行き届きません。そのため少しでも懸念を抱かれないよう、受験生側も配慮が必要です。

 ・試験中に他の人が部屋に入ってこないようにすること
 ・机上は指定されたものだけ置く
 ・スマートフォンはトラブルの時以外は触らない
 ・壁に貼ってあるものは剥がしておく

などは最低限必要な準備です。

 

また次のように、不正を徹底的に防止するために細かく指示を出す大学もあります。その場合は、大学の指示に従いましょう。

 ・試験直前、WEBカメラで室内を360度映す
 ・カメラと音声を常にオンにする
 ・仮想背景(自分の背景をバーチャル画像にする機能)は使わない
 ・試験中の映像録画への同意
 ・試験終了後は速やかに、解答用紙をデジタルデータにして大学に送付する(後日郵送する用紙と照合させるため)

 

外部企業と提携してITツールを導入、不正防止に力を入れている大学もあります

受験生の視線を自動追尾する機能で不審な視線の動かし方をしていないか監視したり、パソコン画面上に入試と無関係なサイトや文書を表示できないようにしたりといった機能を導入し、オンライン入試でのカンニングを防止する作戦です。

受験生側はオンライン入試の特性を理解し、疑われる要素の排除と大学側の指示に理解を示し、従うことが大切です。

通信回線トラブルについて

オンライン入試では通信回線のトラブルも起こりえます。できる限り安定した通信回線の確保に努めるとともに、万一トラブルがあった際の対応も把握しておくことが大切です。

安定した通信回線の確保のために、携帯電話の通信網ではなく、敷設された回線を利用する方が賢明です。
パソコンとルーターを有線LANで接続できると安定度が増します。Wi-Fiで接続する場合は通信速度を予め確認しておきましょう。

不測の事態で通信が乱れることも考えられます。
通信が不安定になったり、聞き取りにくくなっりした場合、大学側でその事実を把握することは困難です。遠慮なくその旨申し出て、大学側の指示に従いましょう。

もし試験中に通信が途切れた場合の対応は大学ごとに異なります。
どの大学もトラブル時の対応窓口を開設していますので、連絡先を試験前に控えるようにしましょう。困った場合は速やかに連絡をとり、大学側の指示に従うことになります。

オンライン入試を受ける場所の選定

自宅でオンライン入試を受験する場合、試験中に家族を含めた第三者が入ってこないことは必須条件です。必ずしも個室である必要はありませんが、条件を満たせる、落ち着いた静かな場所で受けましょう。

適切な会場が確保できない場合、高校を代替会場として提供するよう文部科学省は通知を出しています。また大学に来た上で別室で受験するなど、代替措置を講じてくれる大学もあります。

オンライン入試を受ける場所の確保が難しい場合、まずは高校の先生や大学に相談してみましょう。

国内のオンライン入試実施事例

すでに2021年度入試は始まっており、手探りながらオンライン入試を実施した大学も出始めています。
オンライン入試を実施した大学の事例として、大正大学と芝浦工業大学の事例をご紹介します。

大正大学のオンライン入試

大正大学は文部科学省の通知を受け、今年から総合型選抜の2次試験でオンライン入試を実施しました。テレビ会議システム「zoom」を利用し、大学と受験生を接続。画面越しに質疑応答が行われる仕組みです。

受験生には事前に接続用URLが通知されており、当日はパソコンやタブレット、スマートフォンを使って接続します。まず大学の入試担当者や他の受験生が「待っている」部屋で、大学の入試担当者が受験番号や名前、受験票を確認します。

試験開始時刻になると、大学の各学科面接専用の「部屋」(ブレイクアウトルーム)に順番に送られ、面接が始まるという手順です。

大正大学は今年から全学部の総合型の2次試験で採り入れましたが、一方で例年と同じ「対面で面接を行う」形式も用意されており、受験生が選べるようになっています。

受験の公平性を保つため、総合型2次試験の募集枠は対面が80人、オンラインが30人と分けられていました。対面とオンラインとは同じ基準で比較できないためというのが、別枠にした理由です。
蓋を開けてみると総合型の総応募は310人、オンライン入試を希望したのは23人でした。

芝浦工業大学のオンライン入試

芝浦工業大学は10月末に総合型の試験をオンラインで実施しました。科目は小論文。やはり大学側と受験生をオンラインで接続し、大学職員がカメラ越しに見ている前で小論文を書くスタイルでした。

終了後は速やかに解答用紙をデータ化、メールで大学に送付して提出完了です。

同大学のオンライン入試は他大学に先行しています。面接、プレゼンテーション、口頭試問を始め、知識を問う筆記や、実技(デッサン)などもオンラインで入試を行っています。

2021年度オンライン入試実施予定校

2021年度入試において、総合型や学校推薦型でオンライン入試の導入を表明している大学をまとめました。

今の段階では、一般入試で利用されるケースは見られません。しかし、今後のコロナウイルスの影響によって、一般入試でも利用される可能性は十分に考えられます。

また新型コロナウイルス感染症の拡大度合いによって、募集要項の公表後に選抜方法を変更するケースも十分予想されます。最新情報は必ず大学のHP等で調べ、正確に把握するよう心がけましょう。

大学名 学部 種類 内容
国立大 信州大 一部 推薦 面接、一部は実技も
千葉大 一部 総合型
推薦
面接、一部は筆記も
九州大 一部 総合型
推薦
面接、一部は実技も
私立大 桜美林大 ほぼ全学 総合型
推薦
面接
一部は実技も
神田外語大 全学 総合型
推薦
面接など
国際基督教大 全学 総合型 面接
駒澤大 ほぼ全学 総合型
推薦
面接など
芝浦工業大 ほぼ全学 総合型
推薦
面接
一部は筆記も
成蹊大 ほぼ全学 総合型 面接
一部は筆記も
大正大 全学 総合型
推薦
面接
一部は学力試験も
明治大 一部 総合型 面接
一部は筆記も
麗澤大 全学 総合型 面接など
早稲田大 一部 推薦 面接

総合型=総合型選抜、推薦=学校推薦型選抜

まとめ

新型コロナウィルスは収束の気配がなく、これから本番を迎える大学入試が影響を受けることは避けられそうにありません。受験生の健康・安全と、できるだけ公平で門戸の広い大学受験の機会を両立させるために、オンライン入試は避けて通れない課題になっています。

初めての試みで予測できない事態が起きることは十分に考えられます。この記事を参考に、事前に万一までを想定し整えておくことが、落ち着いて入試に臨むために最優先しておきたい準備になります。

場所や通信環境の確保が難しいケースもあるでしょう。その場合は遠慮なく、高校や大学に相談してみてください。オンライン入試が初めてなのは大学も同じですが、文部科学省の通達があったこともあり、柔軟に対応してくれるケースが多いようです。

最後に、オンライン入試をはじめ大学入試の動向は常に更新されます。特に今年は新型コロナウイルスの影響もあり、突然変更が起きることも十分に考えられます。最新の受験要項は、必ず大学のHP等で確認することを忘れないでください。

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