シュタイナー教育とは|あの有名人も受けていた注目の教育法を徹底解説

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スタスタ編集部
当社のインターン生である、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、青山学院大学、明治大学、立教大学、東京理科大学、東京学芸大学、筑波大学・・・の現役大学生たちが、自身の小中高大受験・通塾・塾講師経験をベースに、各塾の教育方針や学習システム等の特徴を独自に分析し、編集・執筆しています。
キーポイント

✔対象年齢は0歳~21歳。

✔受けていた有名人は「斎藤工」「ミヒャエル・エンデ」「村上虹郎」「坂東龍汰」など。

✔メリットは「個性を伸びる」「自ら考え、判断する力がつく」「穏やかな環境で教育を受けられる」。

子どもの多様性が重視される社会になるにつれて、日本でも従来の教育観にとらわれない保護者が増えています。

新たな教育方法が盛んに紹介される中で、最近注目を集めているのがシュタイナー教育です。子どもの個性を重視して軸のある人間を育てる教育だと言われています。有名人がシュタイナー教育を受けた経験を話していることも、広く知られるきっかけになりました。

この記事ではシュタイナー教育の特徴やメリット、デメリット、受けていた有名人などを詳しく解説します。シュタイナー教育とは何か気になっている人は参考にしてください。

シュタイナー教育とは

まずはシュタイナー教育の背景を見ていきましょう。シュタイナー教育はドイツで誕生した教育方法です。オーストリアで生まれたルドルフ・シュタイナーが中心となって1919年にドイツで設立した自由ヴァルドルフ学校がその起源です。この背景から「ヴァルドルフ教育」と呼ばれることもあります。

現在では世界60か国以上に1000校を超える、シュタイナー教育をベースにした学校があります。日本では1970年代頃から本格的に紹介されました。シュタイナー教育を実践している学校は国内に10校以上、幼児教育施設は50校以上存在しています。

ではなぜ今シュタイナー教育が求められているのでしょうか?

理由としては、グローバル化や人工知能の普及など「変化の激しい時代で生きていく能力が身につくから」です。今までの教育では、知識が多く身に付けられる人が優秀とされてきましたが、今後の社会では知識量ではなく考える力や、変化に対応できる心を持つことが重要です。

では、このような能力を伸ばせるシュタイナー教育とは一体何なのでしょうか?以下で紹介していきます。

シュタイナー教育の特徴

シュタイナー教育はルドルフ・シュタイナーの人間観や教育理念に基づいた教育方法です。通常の学校教育とは一線を画す存在で、特徴的な教育方法が用いられています。

シュタイナー教育にはどんな特徴があるのか詳しく見ていきましょう。

「体」「心」「頭」のバランスを重視した教育

シュタイナー教育は「体」「心」「頭」のバランスがとれた人間を育成することを目標として教育法です。

このバランスがしっかりと取れていないと社会に出てから、人間関係で問題を抱えたり、持っている能力をしっかり表現できなかったりするなどの問題が起きてしまいます。そこで年代に併せて段階的に教育内容を変えていくことで、バランスのとれた人間の育成を実現しています。

学校では勉強を教えるだけでなく、体を動かしたり、芸術に触れたりする時間が多く確保されているのは、シュタイナー教育ならではの特徴だと言えます。

大きく7年周期で教育内容が変化

子どもは0歳~7歳、7歳~14歳、14歳~21歳の7年周期でそれぞれ違った力を身につけて成長していくという考えがシュタイナー教育の根幹です。適切なタイミングで適切な教育をすることで、子どもが本来持っている個性を発揮していくと考えます。

  • 0歳~7歳
    「体」を動かす遊びを通して健康的な体を作りながら、自分らしく行動するための「意志」の力を育む期間です。幼児期に知識を叩きこむような早期教育とは反対に、子どもらしい遊びを重視するのはシュタイナー教育の大きな特徴と言えるでしょう。
  • 7歳~14歳
    この7年間は「心」を育む期間です。芸術などに触れて、心と感情を豊かにすることで、人生の土台を作る時期ともとれますね。
  • 14歳~21歳
    「頭」の教育を重視する期間です。論理的な思考力や判断力を身につけていきます。

シュタイナー教育を実践する学校では小中高12年間の一貫教育がベースになります。通常の学校とは異なり、小学校1年生から8年生までを一括りとし、9年生から12年生を高等部とするのも特徴。学齢に合わせて7年周期をベースにした教育が行われます。

一貫校ではありますが、学校の状況によって編入することも可能です。

芸術活動を重視して内面を育てる

「心」の教育を重視しているシュタイナー教育では、芸術教科が豊富です。創造力や表現力、美しいものに対する感覚を養うために実施され、人格形成に大きな役割を果たすと考えられています。以下は芸術活動の例です。

  • オイリュトミー:体の動きを通して、言葉と音楽を表現する科目。心と体の動きの一致を感じる狙いがあります。現在で言うダンスに似た表現芸術です。
  • フォルメン線描:文字を習う前に様々な線を動きとして感じながら習います。調和的な線を描く体験を通して、美しさを感じ取る力を育てる狙いがあります。集中力を高めたり、リラックスさせたりするために授業中に取り入れられる場合もあります。

その他にも、算数や国語などのあらゆる科目が「生命」「生活」「世界」と結びつけられており、具体的なイメージを持って考えられるように芸術的活動が組み込まれています(参考:「シュタイナー教育について語る!!」。

エポック教育で科目ごとの知識を深める

教科学習においてもシュタイナー教育はユニークな方法で実施します。毎日1時間目は「エポック授業」と呼ばれる100分~110分ほどの授業を実施。主要4教科の中の1つの科目を3.4週間ほどにわたって集中的に学ぶのです。

算数なら算数、国語なら国語と、一気に学ぶことで効率よく学習できるとされています。ただし、100分以上の授業で集中力を保つのは困難なため、学齢に応じて歌や踊りなども取り入れつつ、リラックスして学べる環境づくりが行われるのです。

また教科書がないので、生徒は「エポックノート」と呼ばれるノートに1年を通して書き込んでいき、自分自身の教科書を作成します。上級生になるとノートの補助として教科書を使うようになります。

特徴的な生活環境

安心して生活できる環境が教育には必要だと考えるのも、シュタイナー教育の特徴。静かな環境づくりや、淡いピンクなどをベースにした目にも優しい教室づくりが重視されます。

シュタイナー教育には私生活においても、独特な決まりがあります。心と体を育む子ども時代にはテレビなどのメディアに過剰に接しないこともバランスのとれた人間の育成において重要な決まりです。

他にも、子どものうちは全身を使った運動が必要だと考えられて、低学年ではサッカーや野球など、体の特定の部分を動かすスポーツも推奨されません。これもバランスの取れた人間教育の一環であると言えます。

シュタイナー教育のメリット・デメリット

精神面や芸術科目を重視するシュタイナー教育は、一般の学校で行われる教育とは大きな違いがあります。そのためメリットがある一方で、批判にさらされることも少なくありません。

シュタイナー教育にはどんなメリットとデメリットがあるのか見ていきます。

メリット

まずはメリットについて説明していきます。

  • 才能が開花しやすい:個性を重視して教育していくので、生徒の才能を見出して伸ばす機会が多いと言えます。また芸術に触れる機会が多いので感性を磨きやすいでしょう。
  • 判断力が身につく:シュタイナー教育は自由を重視する教育法です。幼いうちから自分で判断することが求められるので、決断力や判断力が身につくと言えます。
  • 豊かな感受性が身につく:幼少期にはテレビなどのメディアを遠ざけるので、刺激の少ない環境で教育を受けることで、豊かな感受性が身につきます。
  • 自分らしい進路指導:一般的な学校では進学し、大企業に就職するようにサポートしています。しかしシュタイナー教育は個性を尊重する教育なので、生徒の個性を重視した進路指導を行っています。

デメリット

次にデメリットについて説明していきます。

  • 空気を読む力がつきにくい:シュタイナー教育のベースには、人間への信頼と個人の尊重があります。したがって個性を伸ばすには最適ですが、社会性を育むには向かない側面があります。
  • 現実生活にも制約を受ける:シュタイナー教育にはテレビを見せない方が良いという考えや、低学年のうちは体の特定の部分を使うスポーツをやらないなどの独特なルールがあるので、現実生活との折り合いを付けるのが難しいと感じる場面もあります。
  • 卒業資格がない:シュタイナー教育は認定校であれば義務教育の卒業資格が得られますが、許可されていない学校だと卒業資格が得られません。そのため、通っているシュタイナー教育の学校が置いてある市町村の公立学校に籍を置いて、卒業資格をもらう方法が取られています。

シュタイナー教育を受けた有名人

シュタイナー教育が注目を集めたきっかけとして、有名人がその魅力や特徴を語っていることが挙げられます。

どんな有名人がシュタイナー教育を受けてきたのでしょうか。

斎藤工(俳優)

俳優としてテレビドラマに映画にと大活躍している斎藤工さん。実は、幼児クラスから小学校6年生の3学期までシュタイナー学園に通っていました。小学6年生の時にサッカーの強い中学校に入るために転校したそうです。

俳優として活躍していくベースにシュタイナー教育によって育まれたものがあると語っています。

演劇の授業があり、そこで劇を作り上げていくことに対して魅力を感じたようです。オイリュトミーでは自分で衣装を作るなどの体験をしたそうです。

また、転校した際には点数をつけられることや、距離感のある付き合いに戸惑ったそうです。

参考:シュタイナー学園

ミヒャエル・エンデ(作家)

「モモ」や「はてしない物語」の作者として知られるミヒャエル・エンデさんも2年弱の間シュタイナー学校に在籍していました。

エンデさんはシュタイナー教育を受ける前は12歳で落第するなどの問題児だったと言います。しかしシュタイナー教育の自由な校風によって、学ぶことの楽しさを初めて知ったと述べています。

シュタイナー教育の持つ自由な雰囲気は、エンデに少なからず影響を与えたようです。

村上虹郎(俳優)

若手俳優の村上虹郎さんも、中学2年生までシュタイナー学園に通っていました。

シュタイナー教育を受けていた8年間は同じ担任の先生とクラスメイトと兄弟のように深く関わることができたと述べています。

他校であれば情報社会や競争社会にさらされながら学ぶところを、シュタイナー教育ではそういった社会とは離れた環境で学ぶことができたことに感謝していると述べています。

参考:シュタイナー教育100周年

坂東龍汰(俳優)

若手俳優の坂東龍汰さんも、3歳から18歳までシュタイナー教育を受けていました。

地元北海道のシュタイナー教育校で、演劇の教育カリキュラムがあり、卒業公演前の1ヶ月は朝から晩まで練習をしていたそうです。その卒業公演が役者の道を目指すきっかけになったと述べています。

他校であれば芸術の分野にそこまでの時間を費やせなかったでしょう。シュタイナー教育ではそういった芸術から心を育む指導がされており、今でも坂東龍汰さんの力になっているのでしょう。

参考:日本テレビ【 ZIP ! 】

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シュタイナー教育の学校を卒業した後は?

有名人ばかりでは、お子様が実際にどのような進路を歩むのか想像しづらいですよね。以下で卒業生のその後について、一例をご紹介します。

卒業生Aさん

シュタイナー教育を受けている時は、校舎にある工具を使って靴箱を作ったり、学校帰りに野宿をしたり自分のしたいように生活していたと言います。卒業後のことを考えたときに、明確にやりたいことが思い浮かばなかったそうで、流れで大学進学をせずアルバイトをしながら、悩んでいたと言います。

その後、シュタイナー教育を一緒に受けていた友人と家具屋さんを立ち上げました。現在も自分のやりたいことを仕事にしながら充実した生活を送っているそうです。

卒業生Bさん

Bさんはシュタイナー学園に在学中に、コンパニオンロボットを開発する会社を立ち上げたそうです。小学校低学年の頃は、自分が一つのことに集中しすぎてしまうことを良くないと思っており、あまり楽しくなかったと言います。しかし高学年になるにつれて、それが強みであると感じ始めクラスメイトも理解してくれるようになったと言います。

文化祭の時に、グライダーを販売したことがきっかけで、自分の楽しみが人に喜んでもらえたことをきっかけに、起業したと言います。

シュタイナー教育を受けられる施設

シュタイナー教育を受けられる学校は日本でも増えています。現在ではシュタイナー教育を実施している学校は10校以上あり、幼児教育だと50施設以上あるのです。

日本シュタイナー学校協会に所属している全日制の学校は以下の7校です。

料金については以下の表を参考にしてみてください。

項目 金額
入会金 200,000~300,000円
授業料 38,000~55,400円/月

また幼児教育施設について詳しく知りたい方は、以下の記事でご紹介してますので是非ご覧ください。

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自宅で実践できるシュタイナー教育

ここまでシュタイナー教育について説明してきました。しかし受けられる施設が自分の近くになかったり、料金が少し高いなどの理由で受けにくいという感想を持った方も少なくないと思います。そこでここからは、保護者の方も実践できるシュタイナー教育を紹介します。ぜひお子様の子育てに活用してみてください。

教具に木の実や布を使う

実は、木の実や布、紐、木切れなどの身の回りのものもシュタイナー教育の一環として活用できます。実際にシュタイナー教育を実施する幼稚園には、教具としてそれらが置かれています。

一般的な教具と違い、木の実や布には決まった遊び方がありません。そのため子どもは自由な発想を持って、様々な方法で遊ぶことができ、創造力や思考力が養われます

すぐに手を貸さない

子どもが何かにつまずいている時に、すぐ手を貸してはいけません。冒頭で述べたようにシュタイナー教育の目的は、自由で自律した人間を育てることです。

困難に直面しても子どもが自分の力で、それを乗り越えられるように、保護者の方はお子様の挑戦する姿を見守ってあげることが大切です。

シュタイナー流の環境をつくる

具体的な環境作りには、以下のような取り組みが挙げられます。

  • 淡いピンク色のカーテンや布で部屋を包む
  • 先程述べたような、自然素材の教具を使う
  • キャラクターグッズを散乱させない

このような温かみのある環境作りが、シュタイナー教育の幼稚園で実際に行われているので、ぜひ実践してみてください。

オンラインコーチング

こちらはシュタイナー教育ではないのですが、自宅でできるコーチングサービスです。シュタイナー教育と同じように、「子供が自分で考え行動する力を育む」ためのものです。

勉強を教えるのではなく、「心」の教育のためのサービスで、変化の大きい時代に自分で人生を切り開いていくために、夢や目標を立てることをサポートしてくれます。

シュタイナー教育とモンテッソーリ教育の違い

海外の教育法として、シュタイナー教育の他にモンテッソーリ教育も非常に有名です。

どちらの教育法も自由や自立を重視しているため、あまり違いが分かりにくい部分があります。以下でそれぞれの教育法の相違点について、幼児教育の観点を中心に説明してきます。

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成長過程の捉え方

それぞれの教育法のなかで成長過程の捉え方は、それぞれ以下のように異なります。

  • シュタイナー教育:7年周期で「体」「心」「頭」がそれぞれ成長
  • モンテッソーリ教育:幼児期=敏感期

シュタイナー教育は先述したように、成長段階を3つの段階にわけています。幼児期は、体を育む期間と位置付けているため、子どもらしさを大切にしているのが特徴です。

一方でモンテッソーリ教育では、幼児期を「敏感期」と捉えています。この敏感期とは子どもが大人の手を借りず、ひとりで物事をこなしてみたくなる時期のことです。さらに敏感期は「言語の敏感期」や「秩序の敏感期」「感覚の敏感期」などに分けられ、それぞれにあった教育が展開されます。

教師の役割

両教育法では、以下のように教師の役割が異なります。

  • シュタイナー教育:子どものお手本
  • モンテッソーリ教育:援助者

シュタイナー教育において教師は、尊敬や権威が重要視されます。これには7年周期の発達過程の中、幼児期の子どもは体を発達させている段階で、まだ自己判断できる心が育っている段階ではありません。そのため子どもは、周りにいる大人の真似をします。したがって、お手本となるような尊敬と権威を備えた教師が理想とされるのです。

一方のモンテッソーリ教育における教師は、子どもが学びやすい環境を整える援助者として位置づけられます。これはモンテッソーリ教育では、子どもが興味のあることに満足するまで自分自身の意志で進めることを重要視しているためです。

まとめ

変化が激しく、個性が重視される時代だからこそ、シュタイナー教育に注目が集まっています。

教科書を使わず、点数による評価をしないなど、独特な教育手法は時に批判を受けることもあります。しかし、のびのびと人間らしい成長を目指す教育手法は、保護者の支持を集めているのも事実です。

シュタイナー教育のメリット、デメリットを理解して、学校を選ぶ際の1つの選択肢として知っておくと良いですね。

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