シュタイナー教育を導入する小学校が増えています。今回は、そもそもシュタイナー教育とはどういったものなのかを説明したうえで、そのような教育を導入している小学校を関東・関西、北は北海道から南は九州までまとめてみました。
目次
シュタイナー教育とは
オーストリア(現クロアチア)に生を受けたルドルフ・シュタイナー博士により提唱された教育思想および実践の日本における名称です。
彼がこの教育法を提唱するきっかけとなったのは23歳の頃に経験したある少年との出会いでした。
その少年は水頭症を患っており、全く学習活動が手につかない状態だったところを、彼が家庭教師として教育を担当することに。
一般的な学習ではなく、編み物などの手先を集中的に使う取り組みを試した結果、およそ1年半で学校に通えるほどまでに学習能力が向上し、水頭症で大きくなった頭も小さなものとなりました。(後に医学の道を志した少年はギムナジウムで優秀な成績を収め、医者となりました)
このような経験から、シュタイナー教育では、子どもが自分の意思に基づいて選択・行動できる人間となるための生まれ変わりの助けとなることを重要視しています。
また、教師には単なる知識の教示を越えた働きが求められ、それぞれの子どもに備わった才能を発掘し、その開花を手助けするという意味で、教育をある種の芸術的なものとして捉えています。
カリキュラムや授業内容も公的なものとは異なっており、オイリュトミー(耳で捉えた音の響きを身体を使って表現する方法)など独自の芸術教育を行っています。
シュタイナー教育は、子どもの個性と主体的な学びを重視する教育の象徴とされており、日本においては知識重視の詰め込み教育に代わる教育法として注目され、支持を拡大しています。
小学校におけるシュタイナー教育の特徴
0歳~7歳、7歳~14歳、14歳~21歳の7年周期でそれぞれ違った力「体」「心」「頭」を身につけて成長していくという考えがシュタイナー教育の方針です。
そのため小学校におけるシュタイナー教育は、「体」と「心」育むために考えられたカリキュラムです。
低学年時は「体」を動かす遊びを通して健康な体を作りながら、自分らしく行動するための「意志」の力を育みます。幼児期に知識を叩きこむような早期教育とは反対に、子どもらしい遊びを重視します。その後「心」を育む期間となっていき、芸術などに触れて、心と感情を豊かに育みます。
シュタイナー教育を実施している小学校まとめ
北海道
北海道シュタイナー学園いずみの学校初等部
2019年で創立20年を迎え、幼児部・初等部・中等部・高等部と15年間の一貫教育を行っている学校です。
周りの世界を広く受け入れ、自身の中にある学びたいという意識を引き出しながら、「心と体と頭」のバランスが取れた人間を育む教育を実践。
周りから広く取り入れる一方で、日本文化のうち世界から求められるものについては、絶やさず受け継いでいく取り組みも行っています。
東北
おひさまの丘 宮城シュタイナー学園
2016年に設立された東北初の全日制シュタイナー学校です。
芸術教育を通して、自分の心と頭で考え行動できる真に自由な人間を育むことを理念としており、小学校から中学校までの9年間の一貫教育を実施。「からだ」と「こころ」の成長を重視する年代の子どもたちを対象に、シュタイナー教育の理念に沿った学習環境を用意し、学校見学会やお祭りといった行事を通して、子どもたちの健全育成と地域の世代間コミュニケーションを円滑にすることを目的としています。
関東
シュタイナー学園
1987年に創立され、子どもそれぞれの成長や発達段階に合わせた教育を小・中・高の12年間に渡り一貫して行っています。
芸術性豊かなカリキュラムを特徴としており、時代や場所に囚われずに、自らの意思でもって人生を歩んでいくことのできる人間教育を目指しています。
東京賢治シュタイナー学校
30年以上に渡り公立学校の教員としての道を歩んだ故・鳥山敏子氏により、1994年に創立されました。(小学部は1999年開設)
「確立した意思を持つことで自立した人間が互いに協力することで世界は創られていく」という理念を宮沢賢治氏とルドルフ・シュタイナー氏が共有していたことから、2人の名を学校名としています。
横浜シュタイナー学園
この学園では入学から卒業までの9年間を同じ担任が受け持つのが特徴です。
生徒の意志や感情・思考に働きかける際には、心身の成長段階に応じた手法を教員が心得ておくことで、自らの頭で判断し行動を選択できる人間になる「自由への教育」を実践しています。
また子どもが安心して学びに集中できる環境を作るために、発生した問題に対して教員だけでなく保護者も巻き込んで対応する共同体づくりを行っています。
住所 霧が丘校舎:横浜市緑区霧が丘3-1-20
十日市場校舎:横浜市緑区十日市場町849-6アドバンス第5 2F
電話番号 045-922-3107
校舎運営時間 平日9時~16時
中部
愛知シュタイナー学園
全日制のシュタイナー学校の設立を求める親達が教師と団結し、2005年に土曜クラスとて生まれたのが愛知シュタイナー学園の始まりです。
2007年には愛知県で唯一の全日制フリースクールとして開校し、シュタイナー教育の特徴である芸術教育を体現するカリキュラムに基づいた学校教育を実施しています。
近畿(関西)
京田辺シュタイナー学校
1994年の土曜クラスの開設から始まり、2001年には全日制のシュタイナー学校として新たなスタートを切りました。
自らの意思に基づき歩む道を選択し、困難を乗り越えていく力を養うだけでなく、様々な人間や社会との繋がりを持って、未来を築いていくことができる人材づくりを目指しています。
九州
福岡シュタイナー学園
概要全日制のフリースクールとして2009年に開校。
福岡シュタイナー学園では、教育とはお金を出して買うものではなく、教師・保護者・生徒が三位一体となって行う必要があると考えています。保護者は学園の運営や日々の活動にも関わっており、教師とともに子どもの健やかな成長を願い活動しています。
どんぐり自然学校
どんぐり自然学校は市街地から車で20分ほどの郊外にある全日制フリースクールです。
幼稚園〜中学校までの一貫教育を行っており、伸び伸びと過ごして成長できるような自然溢れる環境での学びを提供。
シュタイナー教育の方針に沿いつつ、郷土愛を忘れずに広く世界へと関心を向けられる人間を育むことを教育理念としています。
シュタイナー教育の小学校が近くにない場合は?
シュタイナー教育を受けさせるために、引っ越しまではなかなか考えられませんよね。そこでシュタイナー教育以外の方法で、お子様の主体性を育む手段をご紹介します。
オンラインコーチング
「誰かのものさしではなく、自分のものさしで生きてほしい。」をテーマに、子どもが自分で考え行動する力を育むサービスです。
シュタイナー教育を採用しているわけではありませんが、「子どもの主体性を育てる」ことを目的としている点では共通点があります。シュタイナー教育でなくとも、子どもに自分なりの人生を歩んでほしいと考える方は、ぜひ以下から詳細をチェックしてみてください。
シュタイナー教育以外のオルタナティブ教育
シュタイナー教育以外にもオルタナティブ教育と呼ばれる世界的に評価されている教育法は多くあります。もしご家庭の近くにシュタイナー教育を受けられる小学校がなければ、別の選択肢を考えてみるのも一つの手だと言えるでしょう。
モンテッソーリ教育
モンテッソーリ教育では「やりたい」「できるようになりたい」と、子ども自身が成長していく気持ち、発達していく力を持っていると考える教育方針です。子どもが自発的に活動をしたくなるような環境を用意して、五感を刺激する専門的な教具を用い、学習をしていきます。
フレネ教育
フレネ教育とは、子どもたちが主体となって学習を進める自由な教育法です。年齢が違う子供に囲まれながら、活動計画表に従って学んでいきます。個性を尊重しながら、自主性を育むことができることが、他のオルタナティブ教育同様大きなメリットです。
サドベリー教育
サドベリー教育の大きな特徴は、授業や時間割、テストをはじめ、学年やクラスがないことです。もちろん先生もおらず、「学校で何をするのか」や「学校の運営」を生徒が行います。またサドベリースクールは、幼稚園から高校(4歳から19歳)まで長く通えるのも特徴です。
まとめ
ここまでシュタイナー教育の概要やこの教育法を導入している小学校を紹介してきました。
社会に旅立つまでの期間をどのように過ごすか、というのはこどもの一生を左右する大事な要素となります。
様々な個性を持つ子どもにとっての最適な学びの場を見つける参考になりましたら幸いです。
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