✔STEAM教育は「科学」「技術」「工学」「芸術・教養」「数学」5つの頭文字をとった造語。
✔STEM教育とSTEAM教育の違いは、「A:芸術・教養」
✔日本はSTEAM教育に関して、人や施設といった面で世界に遅れをとっている。
みなさん「STEAM教育」についてご存知ですか?最近少しずつテレビなどで取り上げられるようになった、今注目の教育手法です。
STEAM教育は今後、全世界にどんどん広まっていくとされています。しかし今回初めて目にしたという方や、テレビなどで聞いたことはあるけどあまりよく知らないという人も多いのではないでしょうか?
今回は、そんなSTEAM教育についてスタスタが分かりやすく解説していきたいと思います。
目次
そもそもSTEAM教育とは?
まず「STEAM教育」ってなんて読むの?という方も多いと思います。STEAMとは5つの頭文字をとった造語で、読み方として正しいのは「スティーム教育」です。(参照:公立はこだて未来大学 美馬のゆり教授提唱文より)
- Science(サイエンス)…科学
- Technology(テクノロジー)…技術
- Engineering(エンジニアリング)…工学
- Art(アート)…芸術・教養
- Mathematics(マスマッティクス)…数学
これら5つの要素を盛り込んだ教育手法をSTEAM教育といい、いま全世界で広く注目されています。
なぜSTEAM教育は必要なのか?
いま世界のテクノロジーはどんどん進化して、AIと呼ばれる人工知能やロボットが多く社会進出しています。私たちの生活の中にもスマートフォンやタブレットなどの電子機器が増えたり、飲食店などの入り口では、ペッパーくんと呼ばれるロボットが予約案内をしているのを見かけたりしますよね。この流れは今後さらに進み、社会では今よりも多くのAIやロボットの活躍が予想されています。
そのように社会が変わっていく中で必要となるのが、変化に流されるだけではなく、”新たな変化を生み出せる能力を持つ人材“です。それにも関わらず、変化を生み出すことができるデザイナーやエンジニアは全世界で不足しています。
そこで新たな変化を生み出す人材を育てるために、いま世界ではSTEAM教育がどんどん取り入れられています。ものづくりに特化した科目を複合させたSTEAM教育は、今後全世界で必要となっていきます。
最初は「STEAM教育」ではなかった?
実は変化を産み出す人材を育てるため、最初に始まった教育手法は「STEM(ステム)教育」と呼ばれるものでした。このSTEM教育はSTEAM教育の根源となっています。
一見似ている2つですが「STEM教育」には、Art(アート)が含まれていないことが分かります。ものを作る際にはもちろん、科学知識や技術が重要となってきますが、デザイン性が無いとそれをうまく形にすることはできません。さらにArt(アート)には「リベラルアーツ」の意味も含まれています。リベラルアーツは直訳すると「教養」という意味で、人間が生きていくうえでの根本的な考え方や知識を指しています。そこで独創的かつ創造的な考え方と、教養を培うために「STEM教育」にArtも加わったのだと考えられます。
理数系の科目だけで構成されたSTEM教育が、Art(アート)を取り入れた事で堅い工学のイメージから、柔らかく自由な表現でのびのびとした豊かなものづくりの印象に変わりました。
海外から始まったSTEAM教育
STEM(STEAM)教育はアメリカのオバマ前大統領が演説で述べたことにより、注目されるようになりました。以下の動画がその演説です。この演説の中でオバマ前大統領は、コンピューター・サイエンスは国の未来のために必要であると述べ、スマートフォンやゲームで遊ぶだけでなく、実際にプログラミングをしてみようと訴えています。これに多くの著名人が賛同し、STEM(STEAM)教育は世界へ広まることになりました。
最近ではシンガポールやインドなど、アジアの新興国でも大変注目されているSTEAM教育。今後のテクノロジーの進化に対応し、豊かな表現力を持って自発的に新たなものを生み出せる人材を増やすため、全世界で推し進めていかなくてはいけません。
日本におけるSTEAM教育の取り組み事例
では具体的に日本では、どのようにSTEAM教育が進められているのでしょうか。
今後予測される日本の社会状況とともに解説していきます。
今後の日本社会
日本では今から10〜20年の間に、49%の仕事をAIやロボットが担うようになると言われています。つまり私たち人間の出番がどんどん減ってしまうというわけです。そして現時点では存在していない、AIやロボット主体の新たな職業が生まれるのではないかと考えられています。(参照:野村総合研究所「AIと共存する未来〜AI 時代の人材〜」より)
ほぼ半分の仕事をAIやロボットがこなしてくれるなかで、私たちはその補佐的な役割でいいのでしょうか。まるでAIやロボットに使われているかのような立場にはなりたくないですよね。
そこで今後日本で求められる人材は、AIやロボットに「使われる側」ではなく、「使う側」の人間です。そして欲を言うと、新たなテクノロジーを「生み出す」ことができる能力を持った人材が社会で必要になってきます。
日本での取り組み
実は文部科学省は主に2009年からSTEAM教育について考えてきました。現時点で行われている取り組みから、まだ始まっていないことについても、その一例を解説していきます。
- STEM教育研究センターの設置…2002年に埼玉大学に開設された、ロボット技術やプログラミングを子どもたちと行う研究センターです。ものづくりを通した、科学技術教育や理数教育に力を入れています。(参照:埼玉大学HPより)
- スーパーサイエンスハイスクールの指定…文部科学省が指定した先進的な理数教育や創造性、独創性を育てる指導を行なっている高等学校のことです。いま日本全国に200校以上存在しています。(参照:科学技術振興機構HPより)
- 小学校でプログラミング教育…2020年度に学習指導要領が改定される際、小学校でプログラミング教育が必修となることが決まっています。小学生のうちからプログラミングを学ばせることで、多様なインターネットツールを使いこなせるように基礎的能力を養います。(参照:文部科学省・経済産業省・総務省「初等中等教育における情報教育等の推進」より)
- 科学の甲子園…科学分野に関心を持つ生徒を増やす目的で始められた、高校生が理科・数学・情報の複数科目で競い合う大会です。地球の重さを求める問題を解いたり、決められた部品や材料を使ってモーター車を作ってレースをしたりします。各都道府県の高校生が予選大会から全国優勝を狙って参加します。(参照:科学技術振興機構HPより)
この他にも様々な取り組みが行われており、最近ではSTEAM教育を意識した指導やカリキュラムを用意している学習塾も出てきました。日本では2020年から本格的に始まることが予想されます。少しでも早くSTEAM教育を受けたい方は、まずは塾で始めてみるのがいいかもしれません。(参照:経済産業省「『未来の教室』プロジェクトから見たEdTechやSTEAM教育の課題」より)
STEAM教育を行なっている塾を探したい方や質問がある場合には、ぜひスタスタLIVEにご相談ください。
海外での取り組み
これまでは日本での取り組みの事例を見てきましたが、海外では一体どのような対策が取られているのでしょうか。早速見ていきましょう。
海外での取り組みの事例
海外では日本よりも規模の大きいSTEAM教育を展開しています。日本も今後参考にして行くべき事例がたくさんあるでしょう。具体的には以下の通りです。
- Make block社(中国)
Make block社は中国に本社を置くSTEAM教育を推進している企業です。特に初心者でもつくることができる「教育ロボット」で一躍有名になりました。その代表的なものとして、「mBot」と「Codey Rocky」が挙げられます。mBotはプログラミングを学べるだけでなく、金属のパーツを組み立てながら動くメカの構造まで学べる教材となっております。「Codey Rocky」は「次世代のレゴ」とも言われるプログラミングロボットです。プログラムの自由度が高く、障害物を避けたり、黒い線の上を走るといったような指示を出すこともできます。
- サイエンスセンター(シンガポール)
サイエンスセンターはシンガポールにある、政府直属のSTEAM教育機関。STEAM関連領域に関して、修士号、博士号を持つスペシャリストが授業を展開しています。シンガポールのSTEAM教育の大きな特徴として、社会での使われ方に即した授業を受講できるということです。子ども達は「何故STEAM教育を学ぶのか?」「STEAM教育は社会の中でどのように役に立つのか?」という疑問をはっきりさせながら授業を受けることができるのです。
- High Tech High(アメリカ)
High Tech HighはSTEAM教育を実践するアメリカの学校です。学校ですが教科書はなく、一日中頭と手を動かします。プログラミングはもちろん、ライフスキル(非認知能力)の育成に力を入れる学校となっております。非認知能力とは学力や偏差値といったような”認知能力”と対象的に、創造性や意欲など具体的な数値では表しにくい能力のことを指しています。2020年の日本の教育改革にも通ずる部分があります。
具体的なSTEAM教育の現場
ここまでSTEAM教育の事例を見てきましたが、更にSTEAM教育の具体的内容について知りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで以下にSTEAM教育の具体的なサービスとスクールをまとめてみました。
STEAM教育の教材
プログラミングできるロボティックボール
Spheroのプログラミングできるロボティックボールは、一見小さなサッカーボールに見えますが、専用アプリを使ってさまざまな操作ができます。アプリ画面をタップすればボールを転がしたり、トラップができ、指をはじく方向によってはボールにカーブをかけることも可能です。
エレキットフォロ
エレキットフォロは、赤外線レーダーを搭載した6足歩行ロボットキットです。可愛らしいデザインのロボットで、まるでペットのように前のものを見つけてついていく「なかよしモード」、障害物をよけながら進んでいく「たんけんモード」があります。
タミヤ楽しい工作シリーズ リモコンロボット制作セット タイヤタイプ
タミヤ楽しい工作シリーズ リモコンロボット製作セット タイヤタイプは、ショベルカーのようにしてボールをすくいあげたり、箱を持ったり、物を挟んだりできるなど、ショベル型、バケット型、ロボットアーム型として操作できます。
本格的な通信教材
教室に通わせるのは難しいけど、もっと本格的なSTEAM教育を受けさせたい・・・。そんな方は以下で紹介するような通信教育を考えてみてはいかがでしょうか。
アメリカで人気のSTEAM教材Groovy Lab in a Box
対象年齢 6歳以上
会費 2,980円/月(3か月以上の場合)
無料体験 なし
「Groovy Lab in a Box」は2020年のエジソン賞ファイナリストに残った実績のある、アメリカで大人気のSTEAM教材です。
毎月様々な内容のミッションがついた学習キットが用意されているため、実際の思考錯誤のなかで主体性と想像力を身につけることができます。また、キットの内容がよく分かる講座も配信されるので、知識と経験の両方から学習することが可能です。
対象年齢6歳以上となっていますが、中学生でも利用できる内容になっているため難易度も低すぎず、満足度の高い学習ができるでしょう。
STEAM教育のスクール
LITALICOワンダー
対象学年 年中~高校生
授業料 22,000円/月~
体験授業 あり
LITALICOワンダーはIT×ものづくりの教室で、東京・神奈川・千葉に校舎を展開しています。テクノロジーを活用したものづくりをするなかで主体的に取り組む力や表現力、論理的思考力を身につけられるのが特徴です。
ゲーム&アプリプログラミングコース、ロボットクリエイトコースを年長から学ぶことができ、小学生になればロボットテクニカルコースやデジタルファブリケーションコースで学ぶことも可能です。
子ども4人に対してスタッフ1人という割合なので、細かいサポートを受けられ、楽しく学んでいくことができるでしょう。
Crefus(クレファス)
対象学年 年長~中学生
授業料 未公表
体験授業 あり
クレファスは幅広い地域に校舎を展開するロボットプログラミングの教室です。
年長〜小学2年生までを対象とした「Kicksジュニアエリート」クラスでは、グループワークやものづくりを通して自由な想像力やクリエイティビティ、科学の知識、論理的思考などを育みます。
2003年に設立されてから15年以上運営している歴史と実績があり、「自分で学び、自分で理解していくこと」を目的とした指導をしています。
Tech Kids School(テックキッズスクール)
対象学年 小学生1~6年生
授業料 20,900 円/月
体験授業 あり
Tech Kids Schoolは小学校1年生からプログラミングを学べるスクールです。プログラミングスキルだけでなく、自らのアイデアを実現するために自主的に動いていける子どもを育てています。
主にゲーム開発をしたり、開発したものをみんなに向けてプレゼンテーションをしたりしています。卒業生は5000人以上と指導実績も十分です。
「ゲームを作ってみたい!」と考えるお子様にオススメです。
日本が抱える課題
日本でもSTEAM教育が注目され始めていますが、今までになかった取り組みゆえに課題もあります。では日本が抱える課題はなんなのか、解説していきます。
まず日本は現時点でSTEAM教育において、他の国にかなり遅れをとっています。例えばインドでは2015年から6〜18歳の子どもを対象とした科学技術を学ぶプロジェクトが始まっており、シンガポールでも国営のSTEAM教育施設が設置されています。しかし日本では国として本格的に動き始めるのは2020年からでまだ始まっていません。さらに問題とされているのが、指導者が少ないことです。今までになかった教育手法であるため指導できる人材が少なく、なかなか思うように進まないのが現状です。それと同時にSTEAM教育に注目している人自体も少なく、世界ではもう有名になりプロジェクトや教育施設がどんどん作られているのにもかかわらず、日本ではやっと注目され始めたという段階です。
今後、全世界で必要となる「STEAM」の5つの力を少しでも早く養うため、日本ではこれから急ピッチでSTEAM教育を行わなくてはいけません。今の遅れを取り戻せるように国としてどのような政策をとるのかが重要なポイントです。また多くの人の関心を集めらるようにSTEAM教育の存在をアピールし、指導者となる人材の育成もしていく必要があります。
まとめ
ここまでSTEAM教育について解説してきました。
STEAM教育を受けることが、今後の社会において重要なのががおわかりいただけたでしょうか。今まで「STEAM教育」という言葉を聞いたことがあるだけだった人も、今回の記事でその概要について知っていただけたと思います。
しかし日本は特に他の国から出遅れてしまっているため、AIやロボットを使う側の人間になれるように、個々人でSTEAM教育について考えていかなくてはいけません。例えばSTEAM教育を行なっている学習塾に通うことなど、今からでもできることがあるのでぜひ考えてみてください。
[…] (引用:スタスタ STEAM教育とは?事例や課題、STEM教育との違いをまるっと解説) […]
[…] STEAM教育▶︎https://studystudio.jp/contents/archives/36719 […]
[…] 「スタスタ」より抜粋 […]
[…] STEAM教育とは?事例や課題、STEM教育との違いをまるっと解説 スタスタ(2021年3月24日) […]