STEAM教育の国内・海外事例を徹底解説|日本は遅れている!?

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スタスタ編集部
当社のインターン生である、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、青山学院大学、明治大学、立教大学、東京理科大学、東京学芸大学、筑波大学・・・の現役大学生たちが、自身の小中高大受験・通塾・塾講師経験をベースに、各塾の教育方針や学習システム等の特徴を独自に分析し、編集・執筆しています。
この記事で分かること!
  • STEAM教育について
  • STEAM教育の国内・国外事例

こんにちは、スタスタ編集部です。今回解説するSTEAM教育は日本では聞きなれない単語ですが、アメリカや中国、シンガポールなど海外で注目を集めている教育方法です。

AI技術がますます発展し、人間に求められる能力が変わってくるのがこれからの時代。変化の激しい社会を生き抜く力を身につける実践的な教育方法と言えるでしょう。

この記事ではSTEAM教育の特徴やメリット、国内と海外の事例などを詳しく解説します。STEAM教育が気になっている人や、これからの時代に必要な教育について考えている人は参考にしてください。

STEAM教育とは

STEAM教育の「STEAM」とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathematics)の頭文字をとったものです。

従来は別々の科目で取り扱われている5つの分野を横断的に教育することで、子どもたちが時代に対応できる能力を身につけられるとして注目されています。

アメリカなど海外ではその重要性は早くから認知されていました。日本でも2020年度の小学校でのプログラミング必修化によって注目され始めています。

続いてSTEAM教育にはどのような特徴があり、なぜこれからの時代に求めらているのかを見ていきましょう。

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STEM教育との違い

STEAM教育の原型となった教育方法に「STEM」教育があります。STEAM教育から「Art(芸術)」を取り除いたもので、理数系の力を重視する教育方法と言えるでしょう。

STEM教育がアメリカなどで重視されてきたのは、ITなどの技術が進展して社会が新たな局面に入ってきたため。国際社会での競争に負けないために、IT人材や論理的に思考できる人が必要になるからです。

プログラミングやものづくりを通して、論理的で創造力のある人間を作る「STEM教育」に、芸術の観点を加えたのがSTEAM教育です。芸術面も重視することで、より柔軟な発想力や創造力を持った人材育成を目指しています。

STEAM教育の目的

STEAM教育ではプログラミングやロボット、ものづくりなど、従来の教科教育とは異なったアプローチで学習を進めます。しかし、プログラミングやものづくりのスキルを身につけることが第一目的ではありません。

主な目的は、論理的かつ科学的に問題に取り組む思考力や、複雑に発展した社会の中で現実の問題に対処する問題解決能力を身につけることです。

IT産業の発展はとどまるところを知りません。世界的な変化に対応できるように、従来の教科教育の範疇を超えて教育していく必要性を世界中の国が感じていると言えるでしょう。当然ながら日本もその流れに乗り遅れるわけにはいかず、STEAM教育に文部科学省も注目しています。

なぜSTEAM教育が注目され始めたか?

ここ10年ほどのIT技術の進展は目覚ましいものがありました。しかし、STEAM教育が本格的に注目され始めた理由は、AI技術が社会の中に導入されるほど発展してきたためです。

AIが多くの仕事をこなせるようになると予想される中、人間に求められるのはAIにはできないクリエイティブな仕事だと考えられます。STEAM教育で柔軟な発想と論理的な思考力の両方を身につけることで、高度なAI社会に対応できる人材の育成が必要になるのです。

STEAM教育の具体的な事例:国内

STEAM教育は国内でも注目を集めているものの、現在普及しつつある段階と言っていいでしょう。ここでは国内のSTEAM教育の現状や事例を紹介していきます。

国内のSTEAM教育の現状

STEAM教育という単語を知っている人が少ないことからもわかる通り、国内においてSTEAM教育はまだ一般的ではありません。これから文部科学省が力を入れていく分野と考えてよいでしょう。

現状では民間での先進的な教育が、STEAM教育の中心的な役割を果たしていますが、2020年度の小学校でのプログラミング必修化を皮切りに、公教育にも広がってきています。

IT技術やAI技術の発展はますますスピードを上げていくことが予想されるため、学校教育の中でSTEAM教育が占める割合も今後増えていくことでしょう。

公教育へのプログラミング教育の導入

日本でSTEAM教育が広く知られるようになったきっかけは、公教育におけるプログラミングの必修化です。2020年度に小学校で、2021年度には中学校でもプログラミングが必修化されるので、保護者の関心を一気に集めたと言っていいでしょう。

プログラミングはアメリカなどの海外でもSTEAM教育の中核を担うテーマです。学校教育にプログラミングが導入されることで、IT技術に抵抗感のない子どもが増えるというメリットがあります。子どもの頃からITに親しむことで、将来の職業選択においてもIT関連の仕事が特別なものと感じなくなり、IT人材不足の解消にも役立つことでしょう。

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ものづくりやワークショップによる学び

STEAM教育というとプログラミングがメインになると勘違いされることがあります。プログラミングはSTEAM教育の一部であり、より広い範囲の学びを含んでいることを知っておきましょう。

ロボット作りなど、ものづくりを重視した民間の教室などもあります。一見すると相反する理数系と芸術が共存することからもわかるとおり、STEAM教育は考え方次第で無数のバリエーションを持つ教育とも言えます。

STEAM教育の具体的な事例:海外

プログラミング教育の必修化によって日本でもSTEAM教育が知られてきましたが、海外ではすでに積極的にSTEAM教育が行われています。特に盛んなシンガポールや中国、アメリカの事例を見ていきましょう。

シンガポールの事例

アジアの国の中で特にSTEAM教育に力を入れているのがシンガポールです。もともと理数系教育が充実しているシンガポールでは、STEAM教育を行う専門の組織があります。

博士号を持つ専門スタッフがいるサイエンスセンターがSTEAM教育を主導。中学校などでハイレベルなSTEAM教育を行っています。国立の組織を作ってSTEAM教育を展開している点で、他国と比べても力の入れ方は段違いと言えそうです。

科目はプログラミングはもちろん、環境科学などの分野もカバーしています。STEAM教育によって幅広い知識と現実に即した問題解決能力を身につけることができるのです。

中国の事例

中国のSTEAM教育をリードするのは教育ロボットメーカーのMakeblock(メイクブロック)です。STEAM教育の分野で世界的に知られる存在で、数々の教育ロボットやソフトなどを生み出してきました。

ロボットやソフトを使いながら遊びの延長線でプログラミングを学べる商品を販売しています。その対象は家庭だけではなく、学校や教育機関なども含まれ、先進的な企業の存在がSTEAM教育を進展させる好事例です。

STEAM教育はIT技術と深く関連しているだけに、優秀な教育プログラムを提供する企業の増加により国全体のSTEAM教育レベルが底上げされる可能性もあります。

アメリカの事例

アメリカは国家の方針としてSTEAM教育を重視しています。2011年に当時のオバマ大統領がSTEM教育の重要性を説いたように、早くからIT技術やAI技術への対応の重要性を感じていました。

また、Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏やビル・ゲイツ氏も賛同するCode.orgはアメリカ生まれのSTEAM教育に関連する団体。ネット上でのプログラミング学習をはじめ、コンピューターサイエンスに関しての講義などを展開しています。アメリカ国内だけではなく、世界中に活動の場を広げているのも特徴です。

STEAM教育の国内普及のための課題

シンガポール、中国、アメリカなどでは早くからSTEAM教育の重要性を理解し、取り組みを進めてきました。時間をかけて内容を充実させてきたので、世界のSTEAM教育をリードする存在になったと言えるでしょう。

これから日本でもSTEAM教育が本格的になっていく中でどんなことが課題になるのかを見ていきます。

IT環境の整備

STEAM教育は、従来の教科教育のように黒板を使った講義形式にはなじみません。実際に子どもたちがパソコンやロボットなどに触れる経験を通して学ぶことが必要です。

しかし、日本の学校、とりわけ公立の学校ではSTEAM教育を行うための十分な設備を持っていない学校の多いことがネックになります。生徒数に対して十分なパソコンやインターネット環境などが整備されていなければ効率的に指導していくことはできません。

2020年度に小学校でプログラミングが必修化され、さらにSTEAM教育が進展していく中で、IT環境の整備が求められていきます。

専門知識を持った教員の育成

現状ではSTEAM教育は民間の教室で行われているケースがほとんどです。その理由の一つに、STEAM教育が教員に求める専門性の高さがあると言えるでしょう。

STEAM教育を行うためにはプログラミングやものづくり、AIやロボットなど、先進的な知識が必要になります。現実的な問題として、指導できるレベルの知識を持っている教員は少ないと言えます。

STEAM教育を普及させ、IT人材の不足を解消するためには、子ども自身への教育はもちろんのこと、指導にあたる教員の育成が急務となるでしょう。

まとめ

ますますIT技術、とりわけAI技術が発展して社会に溶け込んでいく中で、STEAM教育の重要性は高まっています。

複雑化する社会に対応するために必要になるのが現実に即した問題解決能力。特に論理的な思考力と柔軟な発想力は、社会で生き抜くための力の中でも優先的に身に着けたいものだと言えるでしょう。STEAM教育によって学べるものは、子ども達の可能性を広げる知恵でもあるのです。

2020年度の小学校でのプログラミング必修化を皮切りに、日本でもSTEAM教育が進展することが予想されます。変化する教育環境に対応できるように、STEAM教育について最新の情報を知ることが求められていますね。

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