PBL(問題解決型学習)の入門|イチからわかる意味や基礎知識

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この記事で分かること
  • PBLについて
  • PBLに期待される効果
  • 現在のPBL実践状況
  • PBLの課題

PBLという言葉をご存知ですか?日本語では「問題解決型学習」または「課題解決型学習」と言います。こちらの方が耳にしたことのある方も多いかもしれませんね。現在PBLはアクティブラーニングの一環として近年注目を集めています。

今回はPBLについてまだよく知らないという方にもわかりやすく、イチからわかりやすく解説していきたいと思います。

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PBLとは?

まずは「PBL」についての基本的な情報から始めましょう。

PBLには「Problem Based Learning」(問題解決型学習)Project Based Learning」(プロジェクト型学習)という2つの表し方があります。両者がしばしば同じ意味で使われることもありますが、厳密には違いがありますが、今回は「Problem Based Learning」(問題解決型学習)に焦点を当てて解説していきます。

「問題解決型学習」とは

1.問題の発見

2.仮説の設定

3.解決策の考案

4.解決策の実践

5.振り返り

PBLでは上記の一連の作業ををチームで協力して行います。そしてその過程で必要な知識を、自ら調べて学んでいきます。

ちなみに従来の教師が教科書に沿って授業を進めていく学習スタイルを「SBL(Subject Based Learning)」もしくは「科目進行型学習」と言い、PBLとしばしば対比されます。

PBLのもたらす効果

PBLは結果よりも過程を重要視する学習方法です。

つまり「実際に問題を解決できたか」や「解決策の良し悪し」以上に、「問題解決の過程で何を学んだか」「チームで協力できたか」などの方が大切だということです。

過程の方が重要視される理由としては、結果はその問題の解決という一つの効果しか生み出さないのに対し、過程は他の問題にも応用可能な問題解決能力を生徒に身に付けさせるからです。ここで問題解決の過程で身に付けられるものをみていきましょう。

主体性と協調性

まずは主体性について。これは学び方の姿勢についてです。従来はテストがあるから勉強するというように、学びは受動的なものでした。しかしPBLでは問題解決のために自分が必要と判断したことを中心に学習するため、非常に主体的な学びとなります。実際に学んだことが社会でどう使われているかを実感しながら学べるため、「こんなの学んでも将来使わない」のように考えることもなく、学びの楽しさや学びを活かす方法を身につけることができます。

続いて協調性(人間関係)についてです。従来の学びは一人で黙々と教科書や参考書と向かい合って行うものでした。しかしPBLではチームで協力して一つの問題に取り組むため、互いの意見に耳を傾けたり、最善の解決策について議論したり、人と協力して学ぶということを学べます。また協力してプロジェクトを完遂する体験というのは、日常生活から仕事まで役立つ普遍的な能力です。

正解のない問いに挑戦する力

続いてPBLによって身に付けられる能力は、正解のない問いに挑戦する力です。従来の教育は答えのある学びがほとんどでした。しかし実際の社会や学問では、正解のある問いというのは稀です。そうした正解のない問いに対して、仮説形成とその検証を繰り返し、最善の解決策を考え出す能力は社会に出る上で欠かせない能力です。

実社会への関わり方

PBLでは実際の社会の中の課題を、時に企業や自治体と協力して解決する方法も採用されています。この「実践体験型」では実際の社会問題を対象とするため、社会との関わり方を実地で学ぶことができます。実際にそこに住み生活する人に話を聞いたりすることで、教室では学ぶことのできない社会の現状や問題、また現状への問題意識や批判的な視点を身に付けられるでしょう。

PBLが注目される背景

PBLはアクティブラーニングの一環として注目されています。ではなぜPBLやアクティブラーニングが注目されているのか。その理由はAIの発達グローバル化にあります。

AIの発達

AIの発達によって現在ある仕事の半分は機械に取って代わられると言われています。そんな時代を生き残るには、私たち人間はAIには代替不可能な能力を身に付ける必要があります。その中の一つが上で述べたような問題解決能力なのです。

グローバル化

グローバル化により多くの国の人々と関わることが増えました。ビジネスの場においても海外の企業と競い合う必要性が出てきました。欧米ではアクティブラーニングが前々から取り入れられているため、主体的に動ける人材が多いです。そうした人々と渡り合っていくために、日本でもPBLによる学習が求められています。

これらの背景から、文部科学省は学習指導要領にアクティブラーニングの推進を取り入れました。またこの政策のさらなる展望として「国家の主体となる市民の育成」という大きな期待があります。「民主主義の前提となる主体的な政治参加をする市民」「社会の問題を議論し合い主体的に解決する市民」のような、社会を、国を、さらには世界をより良くしていく主体としての人間の育成、そんな願いを背負っているのがこのPBLなのです。

PBLの実践

さてPBLの基本的な情報について解説してきましたが、あまりイメージが湧かないという方も多いと思います。ここで具体的な事例をご紹介します。

鹿児島県立伊佐農林高校の事例
この学校では授業内外に関わらず、生徒たちに地域と関わる機会を多く与え、教師も生徒が活躍できそうなことがあればさりげなく提案したりと、積極的に生徒と地域の橋渡をを行っています。
日々生徒たちは、地域を盛り上げるためにはどうしたらいいかを協力して考え、様々な地域のイベントを開催しています。2016年の熊本地震の際には募金活動の一環として、ピザを焼いて販売しました。その結果募金額は売り上げと合わせて、合計17万円にも及びました。
またそうした生徒たちの取り組みの結果、地域の方々から直接相談を持ちかけられ、それを一緒に解決することもあるそうです。

このように地域の課題を発見し、解決に向かってチームで協力する。まさにPBLを実践していると言えるでしょう。PBLに対し生徒は授業で学んだことがすぐに役に立つため、学習のモチベーションも上がったと言います。また実際の社会に触れることで、将来自分がどう社会と関わっていくかを考えるきっかけにもなったそうです。

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PBLの課題

では実際日本ではPBLはどの程度実践されているのでしょうか。

残念ながら広く実践されているとは言い難いです。指導する教師のスキルもまだ十分ではなく、細かい指導方法も確立していないのが現状です。

PBLはしっかりとした指導体制や教師の指導経験がないと、単なる教師の誘導ありきの問題解決に陥ってしまいます。そのためまずは教師のスキル育成と指導方法の確立が目下の課題と言えるでしょう。

またこうした新しい指導方法を受け入れる精神的な下地が、社会に形成されていないのも事実です。新たな取り組みが社会に受け入れられるには時間がかかります。そうした受け入れの下地形成に必要なのは一定の成果です。その成果を挙げ、それを広く知らせるのが、すでにPBLを実践している一部の学校や企業の役割だと言えます。

まだまだ始まったばかりの「PBL」。日本でどれほどの効果が上がるかは現時点ではわかりません。今の子どもたちや、PBLを受けた人たちがどうなるのか、その効果が出るにはまだ数年かかります。しかしそうした波に乗り遅れないためにも、PBLとは何かを知り、一人ひとりがお子様や自分自身の学習に取り入れていくことが必要なのではないでしょうか。

まとめ

ここまでPBLについて意味から期待される効果、背景まで解説してきました。

皆さんの疑問を解消できたら幸いです。

またなにか気になることや疑問点があれば、スタスタ塾コンシェルジュにご相談ください。

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スタスタ編集部

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