小学校のアクティブラーニング事例|算数・国語・英語など科目別に解説

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スタスタ編集部
当社のインターン生である、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、青山学院大学、明治大学、立教大学、東京理科大学、東京学芸大学、筑波大学・・・の現役大学生たちが、自身の小中高大受験・通塾・塾講師経験をベースに、各塾の教育方針や学習システム等の特徴を独自に分析し、編集・執筆しています。
キーポイント

✔算数の事例:単一の解答に絞られない質問を投げかける。意見の対立構造を作れるように、生徒が迷う場を作る。

✔国語の事例:付箋を使用して意見の交換をする。新聞の投書を読んで説得力のある文章の共通点を探す。

✔英語の事例:ポップな歌で英語を身近に感じてもらう。クイズを作成して出し合う。

これからの時代に必要とされる人材育成をおこなう教育方法アクティブラーニング。新学習指導要領に組み込まれるなど、学校教育でも重要視されています。

そこで今回の記事ではアクティブラーニングの科目別の導入方法について、小学校の先生に役立つ情報をまとめました。

授業で導入される際に参考にしていただければ幸いです。

アクティブラーニングとは?

まずは指導方法の解説の前に、アクティブラーニングの概要について簡単に説明していきます。

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3つの視点を重視した学習方法

文部科学省の定めるアクティブラーニングの定義とは、「主体的・対話的で深い学びの視点からの学習法」です。

具体的には、以下の3本柱で構成されています。

  1. 主体的な学び
    学ぶことに興味関心を持ち、自分のキャリアと関連させながら学習を振り返り、次のつなげる学び。
  2. 対話的な学び
    他者との協同や対話などを手がかりに考えることで考えを広げ深める学び。
  3. 深い学び
    学びの中で、問題を見出して解決策を考えたり、想像したりする学び。

これらを総括すると「好奇心を伸ばし様々な人と関わることで考えを深め、問題解決能力を育む学び」という学習方法を指すと言えるでしょう。

つまり、一人で能動的に学習していく「自立学習」とは異なり、複数人で協同して学習することで自分の意見を表現し、他者の意見を受け入れて社会的能力や経験、教養を身に付けることがアクティブラーニングの特徴なのです。

小学校でアクティブラーニングを導入する背景

ではなぜ今、小学校でアクティブラーニングを導入する必要があるのでしょうか?アクティブラーニングが導入されることになった背景は、主に2つあります。

  1. 情報化とグローバル化
  2. 人工知能の普及

情報化とグローバル化を通して日本の大手企業が外資企業に負けたことや、人口知能の発達により仕事の約50%がなくなるなど、社会は急激な変化に晒されています。そのため、今後はこれまででは想像できなかった世界が広がっていくでしょう。そんなときに必要とされるのが、適応力や問題解決能力、表現力です。

そして、これらの能力を伸ばすために効果を発揮するのがアクティブラーニングです。小学生から実施し、子どもの「生きる力」を早いうちから育んでいく必要があります。

アクティブラーニング 小学校での科目別指導法

ではここから算数・国語・英語の3教科が、どのような指導方法・目的で実施されるのか見ていきましょう。

算数

教師が生徒に一方的に教えるのではなく、生徒が自ら参加しやすい環境の中で算数の基礎部分から習得していきます。

また、他教科との関連性についての考え方も身につけることで視野を広げます。知能や技能、思考力や判断力なども養い、実社会でも役立つ算数の知識・考え方を身につける授業を実施していきます。(参考:岡山大学算数・数学教育学会誌「パピルス」第25号

導入事例

自由度の高い質問をすると、生徒は何個も解答を見つけられるので、楽しく学ぶことができます。例えば「九九の81マスの表を見て気づいたことをペアと話し合いましょう」などの法則を見つけ出すような質問をすると、暗記をさせるより効果的に学習できるでしょう(参考:啓林館)。

また意見を対立させることで、より深く理解しようという気持ちをかき立てる効果があります。

「公式を使うのと普通に計算するのはどっちがカンタン?」「九九は電卓を使うのと暗算のどちらが早いか」などの二つの対立構造を作って、議論させると生徒は算数に興味を持ちやすいでしょう。(参考:教育出版「小学算数通信」

国語

国語は、言葉の見方や考え方について勉強し、言語活動を通して表現力を育成します。これらの力を養うために、以下3点を重要視しています。(参考:プール学院大学研究紀要

  • 知識及び技能
    日常生活に必要な国語を理解して適切に使用できるようになる。
  • 思考力、判断力、表現力
    人に伝える力を高め、思考力や想像力を養う。
  • 学びに向かう力、人間性
    言葉の強さを認識し、言語感覚を養って、能力の向上させるための姿勢を身につける。

導入事例

国語は他の教科と比べて自分の意見を表現しやすい科目です。そこで児童に主人公の気持ちを考えさせたり、主人公の心情を表す文章を抜き出させて付箋に書かせます。その後他の生徒と付箋を交換し、それぞれの意見を話し合うことのできる場所を作るのがオススメです。

この授業を行うことで、意見の交換を通して多様な考えに触れることができます(参考:アクティブラーニング授業実践例)。

また表現力を鍛えるために、新聞の投書欄を使用して授業を行っている学校もあります。実際に掲載された新聞の投書を読み、説得力のある投書の共通点などを考えた上で、自分でも実際に書いてみて、他の人と共有するという内容です。

実際に掲載された投書を使用することで、表現力を鍛えると同時に自分の考えを発信する方法を学ぶこともできます。(参考:アクティブラーニング授業実践例

英語

英語の授業では、小学校3年〜4年生に外国語活動、5年〜6年生に外国語が導入され、英語を聞く・読むなどの力を総合的に育成します。

グローバル化に対応した人材を育てていくため、英語の運用能力を養い、コミュニケーション力の基礎を身につけていきます。英語の学習を通して、知能や技能、思考力や判断力なども育成していくのが特徴です。(参考:英語授業におけるアクティブラーニングの一考察

導入事例

小学生の時点では、あまり日常生活で英語を使用しない生徒も多く、まずは英語を身近に感じてもらう必要があります。そのため、ポップな歌を使用して英語を耳で覚える方法が効果的です。

また簡単な英語を用いてクイズを出すのも、生徒が楽しく英語を学べるためオススメです。最初は教員がクイズを出して、その後はペアを組んで、それぞれクイズを考えて発表すれば楽しく英単語を学べるでしょう。クイズには以下のような、頭の中の言葉をあてるゲームがオススメです。

出題者:「It’s a vegetable. It’s long.」
解答者:「What color is it?」
出題者:「It’s orange. What’s this?」
解答者:「It’s a carrot.」
出題者:「That’s right! 」

回答者も自分の知りたい情報を聞けるルールにすれば、英語で自分の言葉を表現する力まで付くので、より主体的で対話的な授業になるでしょう。(参考:アクティブラーニング授業実践例

アクティブラーニングの種類

上記のような授業を自身で設計したいという方は、以下を確認してみてください。アクティブラーニングの方法論の例をご紹介します。

  • PBL(問題解決型学習)
    与えられた課題に対して、生徒自身が解決する学習方法。実際に課題を解決する時に、知識が必要なので生徒は勉強の重要性を実感し、主体的に勉強に取り組むようになります。
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  • ジグソー法
    学習者同士が教え合いながら学習を進めていく学習方法。先生が課題を設定し、生徒はグループに分かれてそれぞれ資料を読み込み、最後に違うグループの生徒と自分の読み込んだ内容を教え合うというものです。
  • バズ学習
    小グループで特定のテーマを討論させる学習方法。話すことで学習した内容をアウトプットする機会がとなるので、記憶の定着率を高めてくれます。

これらの方法以外にも、アクティブラーニングを導入する方法はあるので、気になる方は、以下の記事もチェックしてみてください。

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まとめ

今回は、アクティブラーニングの科目内容やメリットについて解説しました。

この記事が、小学校でのアクティブラーニングの導入方法で悩んでいる方の参考になれば幸いです。

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