アクティブラーニングに効果はあるの?|授業方法まで徹底解説

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スタスタ編集部
当社のインターン生である、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、青山学院大学、明治大学、立教大学、東京理科大学、東京学芸大学、筑波大学・・・の現役大学生たちが、自身の小中高大受験・通塾・塾講師経験をベースに、各塾の教育方針や学習システム等の特徴を独自に分析し、編集・執筆しています。
キーポイント

✔適切な評価とフィードバックが必須。

✔授業時間を事前にしっかりと配分する。

✔事前学習で知識を確保する時間をとると良い。

こんにちは!スタスタ編集部です。

最近になってよく耳にするようになったアクティブラーニング。そのアクティブラーニングには一体どんな効果があり、導入の際には何を注意しなければならないかをご存知でしょうか。

今回はアクティブラーニングの概要を説明したうえで、効果と導入時の課題についてご紹介します!

アクティブラーニングの目的

アクティブラーニングとは子供たちが自分で学ぶ必要を感じ、学習に対して意欲的になる学習方法です。この能動的な学習方法は、以下の2つの時代背景をもとに導入が検討されました。

  1. 知識・情報・技術をめぐる変化の加速に伴う情報化やグローバル化のような「社会的変化」の急速な発展
  2. 情報処理を得意とする人工知能の普及

この2つの技術の進歩によって、今後の社会は大きく変化していくとされています。その中で、私たちにはどのような力が必要になるでしょか?きっと、知識を詰め込まれて得た学力ではないということは分かっていただけると思います。

しかし現在の教育はどうでしょうか?知識を詰め込むことを重視しているため、人工知能に代替されてしまう人間を育成するカリキュラムであると言えます。そこで新たな教育を導入し、それぞれに必要な能力を伸ばす教育法の導入が望まれているのです。

なぜ今アクティブラーニング?

日本の教育現場では、知識の暗記を重視した教育方針が取られていました。この従来型の詰め込み型教育は、テストの点数に現れるような表面的な学力の向上には一定の効果を得ました。しかし知識偏重の教育であったために、論理的な思考力の低下や学習意欲の低下など新たな問題も発生したのです。

これを踏まえて平成28年に文部科学省の中央教育審議会は、グローバル化による急激な社会環境の変化に対応できる人材の育成には、思考力や判断力を育成する必要があると述べました。

このような背景から知識だけではなく、得た知識の活用を可能にするアクティブラーニングが注目されるようになったのです。

その他アクティブラーニングの概要について興味をお持ちの方は、以下の記事もご覧になってみてください。

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アクティブラーニングの効果

それでは、アクティブラーニングはどのような効果をもたらすのでしょうか。

文部科学省が発表する『新しい学習指導要領等が目指す姿』では、以下3つの資質・能力を高めていく必要があると記述しています。

  • 学びに向かう力・人間性
  • 知能・技能
  • 思考力・判断力・表現力

そしてこれらの資質・能力の向上に役立つのがアクティブラーニングと言われています。以下でそれぞれの概要と、実生活でどのように役立つかを確認してみましょう。

学びに向かう力・人間性

アクティブラーニングにより、「学習に対する能動的なアプローチを取れる力」や、「自己の感情や行動を統制する能力」、「自らの思考のプロセス等を客観的に捉える力」などのメタ認知に関する力の伸長が期待されています。

また他者との交流の中で、多様性を尊重する態度や互いの良いところを尊重しながら協働する力、思いやりなどの人間性に関する部分の能力向上も期待されています。

これらの能力が育まれた学生は、受験時には自分の状態を客観的に捉え、目的意識を持って勉強に取り組めると言えます。また社会に出てからは、プロジェクトをまとめ上げる際にリーダーシップやチームワークを発揮できるようになるでしょう。

知識・技能

知識・技能とは、従来の学習で目指されてきた、各教科の知識や身体的技能・芸術表現等の技能のことです。

アクティブラーニングにより培ってきた知識を既存の知識と関連付けていくことで、知識の定着が促されます。またそうして得た知識を体系化して、社会に出てからも応用できるようになることが期待できます。

思考力・判断力・表現力

生徒同士で課題を解決する上で、問題解決に必要な情報を収集しながら、既存の知識に加えて新しい知識・技能を獲得し、それらを組み合わせて問題を解決するために必要な思考の伸長が期待されています。

また問題解決の方向性や方法を比較しながら、結論を決定していくために必要な判断や意思決定。伝える相手に応じた表現力も磨かれるとされています。

これらの力を伸ばすことで社会に出てからも、問題を発見し、解決方法を探して計画を立て、結果を予測しながら実行・振り返りを行う事や、情報を共有しながら議論を通じて相手の考えに共感したり考えを統合しながら問題を解決していくことができるでしょう。

その他の効果

上の3つの効果は文部科学省が述べているものですが、アクティブラーニングには他の効果もあります。以下で確認してみましょう。

  • 自学自習の意欲の向上:アクティブラーニング型の授業ではアウトプットが重視されるため、自学自習の動機付けに一役買っているとされています。また座学の授業とは異なり、アクティブラーニングは毎回自学自習が必要となるため、時間も長くなることが分かっています(参考:日本教育工学会)。
  • 教科に対してプラスの感情を抱きやすい:座学の場合はテストの点数が高い方がその教科を好きになる傾向が強いですが、アクティブラーニングの場合は、点数が低い生徒も、その教科を好きになる傾向が強くなります(参考:ベネッセ教育総合研究所)。
  • 課題発見力:他の人と意見交換する場が多く設定されているので、今までになかった価値観や考えに出会う場面が増えます。したがって多くの視点から物事を捉えられるようになるので、多角的にものごとを考えられるようになるのです。

以下の記事でも詳しく説明しているので、参考にしてみてください。

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アクティブラーニングには効果がないってほんと?

ここまでアクティブラーニングの効果について述べてきましたが、アクティブラーニングには効果がないという声を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?そこで今回は効果がないという主張も、紹介していこうと想います。

  • 授業の進行に時間がかかる:従来の授業では正解を教えるのが主な内容ですが、アクティブラーニングは答えにたどり着くまでを生徒に考えさせるものです。そのため進行に時間がかかり、全ての学習範囲を終わらせるためには簡単な問題を提示して考えさせるなどの対処が取られるため、効果が出ないという問題点があります。
  • 受験に適していない:入試ではペーパーテストで学力が測られています。しかしアクティブラーニングはペーパーテストの対策には適さないので、いくら社会に出てから役立つとは言っても受験で生かされないということは、授業として効果が薄いのではないかという主張があります。
  • 適切な話し合いができない:アクティブラーニングは生徒の意識が低いと、ただの雑談の時間になってしまうという懸念点があります。また控えめな生徒が集まっても議論が進まないなどの問題があり、アクティブラーニング自体の進行が難しい、という指摘もあります。

これらの問題点に共通しているのは、アクティブラーニングが適切に行われていないということです。そのため、効果のある授業をするにはアクティブラーニングをしっかりと行えるように下準備をしておくことが重要なのです。

以下の記事で詳しく紹介しているので参考にしてみてください。

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効果的な授業をするための3つのポイント

アクティブラーニングには効果がない、という主張を先程紹介しました。この記事では「効果的な授業=学びに向かう力などの3要素をしっかり身につけられる授業」をできるように3つのポイントを紹介したいと思います。

アクティブラーニングという手段が目的化して、効果のない授業をしないためにも一緒に確認していきましょう。

適切な評価とフィードバックが必須

能動的な学習を支援する学習方法のため、評価方法が曖昧になり学生の意欲を低下させてしまう場合があります。そのため適切な評価と評価に対してのフィードバックが生徒にとって重要になります。

評価方法は学生が納得できるものでなくてはならないため、原則的には学生を交えて明確な評価基準表を作成します。代表的な評価基準には「基礎学習課題の提示」「個人学習」「グループワークディベート」「発表と質疑応答」「他者への教育」などが挙げられます。

学生は授業終了時にこの評価基準表をもとにフィードバックを受けるため、自分の足りない部分を確認して次の授業に備えられます。こうして養われる自発的に授業に備える姿勢こそアクティブラーニングの効果である学びに向かう力の表れと言えるでしょう。

以下の記事で評価基準表について解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

授業時間の配分を前もってしっかりと考える

従来型の学習方法では先生が解答までの方法を公式を使って導いてくれました。しかしアクティブラーニングは生徒同士が話し合い、必要な知識を生徒自身で調べながら、解答まで至る学習法です。アクティブラーニングは従来型のようにすぐに解答や解法を教えないため、非常に多くの時間が必要になります。

生徒が課題や議題の本質にたどり着けるように、ゆとりを持った十分な時間を与えることが望ましいのですが、これにより全体の学習項目を削ってしまうと、十分な知識・技能が身につかずアクティブラーニング導入の意味がなくなってしまいます。

そのため年間指導計画を組む段階から入念に考える必要があります。以下の記事が参考になると思うので、ぜひ参考にしてみてください。

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事前学習によって学習時間を確保する

上記で説明したようにアクティブラーニングを導入することで知識をインプットする時間は限定されてしまいます。そのため、これまで行われていた講義中心の授業は、事前学習として自宅で学習するカリキュラムを組むのも一つの手です。

具体的には、あらかじめ作成した事前学習用講義動画をインターネットなどを通じて自宅で聴講して、学校の授業では本来講義に使われていた時間をアクティブラーニングにあてます。

これにより生徒は講師からの知識受容量を減らさずに、アクティブラーニングに取組む時間の確保が可能となるでしょう。

【反転授業ってなに?】話題の反転授業をどこよりもわかりやすく解説

まとめ

これまでの授業では講師が生徒に知識を教示する形で行われてきました。しかしこの方法は「詰め込み学習」につながり学生の自発性、積極性、協調性を育む事は出来ていないというのが実情です。

これから起こるであろう急速な社会環境の変化や高度で複雑なグローバル社会では、これまでに必要とされてきた社会的スキルとは大きく異なるスキルが要求されます。これまで以上にコミュニケーションスキルやクリエイティブさを持つ人材が求められているのです。

そんな時代の中で注目を浴び始めたアクティブラーニングには、自らが調べた知識を実践して、他者との相互作用の中で新しい価値観を生み出し、その考えをアップデートして問題解決に落とし込む学習機会がふんだんに盛り込まれています。この学習法ならば、従来型の詰め込み学習の課題を解決できることは間違いないでしょう。

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