新学習指導要領における3観点とは?|新しい評価のされ方を解説

新学習指導要領における3つの柱とは?|新しい評価のされ方を解説
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スタスタ編集部
当社のインターン生である、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、青山学院大学、明治大学、立教大学、東京理科大学、東京学芸大学、筑波大学・・・の現役大学生たちが、自身の小中高大受験・通塾・塾講師経験をベースに、各塾の教育方針や学習システム等の特徴を独自に分析し、編集・執筆しています。
キーポイント

✔1.個別の知識・技能 = knowledge(ナレッジ)

✔2.思考力・判断力・表現力等 = intelligence(インテリジェンス)

✔3.学びに向かう力・人間性等 = mind(マインド)

2020年度に小学校で実施されるのを皮切りにして、新学習指導要領による教育が本格的にスタートします。国際化が進み大きく変わっていく世の中に対応すべく、新たな仕組みで教育が行われるという意味で、大きな変革と言えるでしょう。

新学習指導要領では児童・生徒が身につけるべき能力も新しく規定され、3つの柱が重視されるようになります。それに伴い、各教科における評価方法も変わるのでは、と気になっている保護者も少なくないようです。

この記事では新学習指導要領において重視される3つの柱とはいったい何か、そして評価の観点はどのように変わっていくのかを詳しく解説します。

新学習指導要領の特徴!3つの柱を重視

学習指導要領とは、学校教育における目的や目標を示したもので、全ての教科教育は学習指導要領をベースにして行われていきます。その学習指導要領が2020年度の小学校での実施をスタートとして、順次新しくなります。

評価軸について理解するためには、新学習指導要領が重視するものを知る必要があります。まず新学習指導要領の特徴と、重視される3つの柱を解説していきます。

新学習指導要領が重視するものとは?

新学習指導要領では、かつてないほどのスピードで変化する社会情勢に対応することを重視しています。そのため、一人ひとりの「生きる力」を育むことに重点が置かれていると言っていいでしょう。

特に強調されるのが、多様性への理解や主体性、問題解決能力の育成です。

この10年を見ても、テクノロジーの進化により大きく社会が変化してきました。AIやロボット技術の進化により今後も想像を超える変化がおきるでしょう。過去の踏襲だけでは乗り切れない時代になることは目に見えています。よって、自ら考えて課題に立ち向かっていける人間の育成が必須です。

プログラミング教育が必修化されることや、ディスカッションやディベートなどを通したアクティブラーニングに力点が置かれることからも、国としての姿勢が見て取れます。

新学習指導要領の3つの柱

新学習指導要領においては、児童・生徒が学校教育の中で身につけるべき力について、3つの観点に絞って説明しています。それは「個別の知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の3つです。それぞれを詳しく見ていきましょう。

  • 個別の知識・技能
    「何を知っているか、何ができるか」という部分です。各教科で学ぶべき内容について、体系的に理解できていて、応用できる形で頭に入っていることが重視されます。
    もちろん、主要5教科だけではなく、技術や体育などスキルを身につける科目についても各自が熟達することが目標になります。
  • 思考力・判断力・表現力等
    現代社会での「生きる力」の中でも特に重視されている問題解決能力に関する力と言えます。
    問題を見つけた時に論理的に考えて解決まで導ける力や、仲間と協力しながら問題に取り組むための表現力などの獲得を目標とします。各教科の知識や技能を問題解決に向けて有効に使えることも大切になるでしょう。
  • 学びに向かう力・人間性等
    教科教育にとらわれない、より広い意味での人間教育についての目標です。
    多様性を理解して仲間と協力する力や、自分の感情をコンロールする力、優しさや思いやりなど豊かな人間性のベースとなる資質や力を伸ばすことに重点が置かれます。また、そのために学習に主体的な態度を持つことが重要視される点は忘れてはいけません。
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新学習指導要領で評価はどう変わる?

新学習指導要領では、加速度的に変化していく社会に対応するために3つの柱が重視されることがわかりました。重視される力が変わることで、当然ながら児童・生徒に対する評価軸も変わっていくことになります。

評価が一体どのように変わっていくのか、まずは概要を見ていきましょう。

学習指導要領の3つの柱をベースに評価

基本的には学習指導要領の3つの柱である「個別の知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」に対応した形で評価します。

学習状況評価の3観点は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」であり、学習指導要領と対応した形と言えるでしょう。

ただし「主体的に学習に取り組む態度」については、新学習指導要領の「学びに向かう力・人間性等」に完全には対応していません。

人間性等については教科教育の中では評価対象とするのが難しいため、学習に対する主体性を切り出して学習状況評価に用いることになっています。

現在の学習指導要領での評価との違いを詳しく

新学習指導要領では、学習状況評価の観点と新学習指導要領の3つの柱がほぼ一致したことで、わかりやすい評価が実現する見込みです。

実は、現在の学習指導要領では評価が複雑になっていました。評価の対象となるのは「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」であり、新学習指導要領とほぼ変わりありません。

しかし、その3つの力について、それぞれ「知識・理解」「技能」「思考・判断・表現」「関心・意欲・態度」の4観点で評価する方法を取っていたのです。そのため、「知識・技能」の力を「知識・理解」の観点で評価するなど、とてもわかりにくい構造になっていました。

新学習指導要領においては、3つの観点に統一されることで評価方法がわかりやすくなるのが一つのメリットだと言えそうです。

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評価のポイントを徹底解説!3つの柱を軸に評価

新学習指導要領が実施されると、評価軸も変わります。基本的には新学習指導要領の3つの柱を踏襲しつつ評価軸が設定されることになるでしょう。

現在の学習指導要領からの評価方法の変更については、文部科学省からもいくつかのポイントが示されています。それぞれの観点について、どのようなポイントが重視されていくのか見ていきます。

知識・技能

「知識・技能」の観点では、各教科で身につけるべきとされている知識やスキルについて、十分に習得しているかが評価の対象となります。

ただし、1問1答形式で測るような単純な知識だけではなく、他の教科の知識とも結びつけて活用できるような概念的な知識も重視されます。

そのためペーパーテストにおいても、出題方式が工夫されることになります。単なる知識を問う問題に加えて、深い理解を試す文章題を使うなど、応用的な部分も含まれることになるでしょう。

また、教科によっては実験などによる評価を行うなど、教科特性に合わせた適切な評価も重視されることとなります。

思考力・表現力・判断力

「思考力・表現力・判断力」の観点では、「知識・技能」に比べてより広い力を評価することになるでしょう。

各教科教育の中で課題や問題に向き合って解決していく能力や、級友と協力しながら問題解決の糸口を見つけていく力など幅広い能力が評価対象になります。自らの思いを表現していく能力も評価されます。

そのため、具体的な評価方法はペーパーテストに限られないことが予想されます。グループでのディスカッションや発表、レポートなど、各教科の特性に合わせて評価方法が工夫されていくことでしょう。教員の力量や教育哲学によって評価方法が変わることもあり、ペーパーテストだけに偏らない多様な試験方法が用いられることになると考えられます。

具体的な評価方法については以下の記事をご覧ください。

主体的に学習に取り組む態度

「主体的に学習に取り組む態度」は現在の「関心・意欲・態度」の評価観点に対応するものですが、評価軸はこれまでとは多少違ったものとなるでしょう。

「関心・意欲・態度」においては、どうしてもノートの取り方や挙手の回数など、児童・生徒の性格による部分や形式的なものによって判断することが多くなっていました。

「主体的に学習に取り組む態度」においては、さらに深い部分を見ていくことになります。各教科の内容を理解するために、児童・生徒が「いかに学習を調整して、知識を習得するために試行錯誤しているか」という部分を評価していくのです。

見た目の意欲だけにとらわれないという意味では、教員が一人ひとりの児童・生徒をより細やかに見ていくことも求められると言えそうです。

教育に携わる方に読んで欲しいおすすめの本

新学習指導要領での評価のされ方がわかっていただけたところで、ぜひ読んでいただきたい本をご紹介致します。

学習指導要領の読み方・活かし方

新学習指導要領についてや、どのように活かしていけば良いのかわかる本です。著書の合田哲雄氏も学習指導要領の改定に携わっており「わかりやすさ」を追求して書かれています。教師の方にはぜひ読んでいただきたい一冊です。

平成29年版 小学校 新学習指導要領ポイント総整理

新学習指導要領で「何が」「どのように変わったのか」に重点を置いて解説している本です。各科目ごとに改定のポイントが書いてあるので、教師の方に優しい内容となっています。

平成29年版 中学校 新学習指導要領ポイント総整理

こちらも小学校版同様、新学習指導要領で「何が」「どのように変わったのか」に重点を置いて解説しています。各科目ごとに改定のポイントが書かれているので、教師の方が読みやすい本となっています。

教育者として今後の人生に不安を感じたら

新学習指導要領、教育のICT化など教育業界の大きな改革で混乱している教育者も多く、不安を感じているのではないでしょうか。

どうしても視野が狭まりやすい職場環境です。1人で悩まず、まずはプロの転職エージェントにご相談ください。

教員に不安を感じたら、まずは転職エージェントにご相談ください。

まとめ

2020年度から順次実施されることが決まっている新学習指導要領では、3つの柱が重視されます。「個別の知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」を身につけるために、各教科教育で工夫がされることになります。

新学習指導要領が実施された後は、評価軸も基本的には3つの柱に対応したものになります。従来の教育に比べて問題解決能力や自主性、思考力が重視されるようになってきており、これからその傾向はますます顕著になることが予想されます。

ペーパーテストだけに限らない試験方法が取られる場合もあるかもしれません。新学習指導要領が実施された後にお子様が戸惑っている様子があるようでしたら、是非ご家庭でも「なぜ学ぶのか」について、話をされてみてはいかがでしょうか。

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参照:
文部科学省『新しい学習指導要領等が目指す姿
教育課程部会『学習評価に関する資料

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