こんにちは!スタスタ編集部です。 2020年度から変わる新しい大学入試制度をご存知でしょうか?
今までのセンター試験が廃止され、大学入学共通テストと4技能が求められる英語資格での評価方法が導入されます。
そこで今回は、文部科学省が公表している高校教育の「教育改革プログラム」について解説します。
目次
高校で実施される新学習指導要領とは
「センター入試が廃止されることは知ってるけど、新学習指導要領ってなに?」「具体的にいつから、どう変わるの?」など不安に感じている方は多くいらっしゃると思います。
そこで、新たに導入される「新学習指導要領」について詳しくご紹介します。
学習指導要領は学習の基準となる
「学習指導要領」とは、義務教育である小・中学校や高校における学習の基準となるものです。全国どこでも教育水準を一定に保つために、文部科学省が定めています。
段階に応じて、教科における目標や教育内容が決められています。各教科の授業時間なども決まっていますが、これは「教育法」の施行規則に則っています。
最初に定められた学習指導要領は、昭和33年です。しかし科学の進化や経済の発展に伴い、学ぶべき内容も変化していきます。
そのため、約10年のサイクルで改訂が繰り返されてきました。
新学習指導要領はから変わる
今回、高校で導入される「新学習指導要領」は、2022年度から導入されます。
2017年より文部科学省が改訂の作業を行っており、小・中学校における新学習指導要領は2018年の3月に公示されました。
そして2020年度に小学校、2021年度に中学校、2022年度に高校と、1年おきに実施されます。この年度に入学した生徒が対象となっています。
新学習指導要領が導入される背景
現在、グローバル化や科学技術の発展が進み、10年前に想像もできなかった社会となりました。激変する社会は、今後も進化が進むと予想されています。また、日本では人口減少が進行し、さまざまな問題が発生する可能性があります。
さらに海外では、「今後は多くの仕事が自動化される」や「多くの子供たちが、現在存在していない仕事に就く」と予想されています。社会だけでなく、私たちの生活も大きく変わると言われています。
学習指導要領の改訂は、子供たちが学ぶべき能力や資質を見直す機会です。1980年頃より「ゆとり教育」の実現が目標とされていきましたが、2011年の改定で「脱ゆとり」へと方針を変更しました。
現在のように激しく変化する社会は予測が困難とされ、大きな変化に対応する力が必要になります。それだけでなく、自分の感性をもとに人生を豊かにする能力を期待されます。各時代に応じて社会に活かす教育が求められるため、教育基準も変更する必要に迫られているのです。
子供たちが激しく変化する社会に対応する能力を育てるために、新学習指導要領が導入されようとしています。
新学習指導要領で学ぶ能力
新学習指導要領では、教育全体と各教科をの授業を通して、「資質・能力」を総合的に学びます。具体的には、知識と技能だけでなく、社会で使う3つの力と人間性を育みます。
- 社会に活かすことのできる「知識と技能」
- 知識を生かして考え、伝えるための「思考力・判断力、表現力」
- 社会や人生に活かす意識を持たせるための「学びに向かう力・人間性」
新学習指導要領の特徴
新学習指導要領の特徴は、「どのように学ぶのか」という点を重視している点です。主体的・対話的を大切にしたアクティブラーニングを取り入れています。学びの質の高さを実現するために、一生学び続ける姿勢を育てます。
新学習指導要領の特徴は、3つです。
- 自分のキャリアや人生などと関係性を持たせることで、次の学びにつながる「主体的な学び」
- 生徒間の協調性やコミュニケーションを大切にし、自分たちで考えて学ぶ「対話的な学び」
- 各教科での知識や解法だけでなく、それぞれに関係性を持たせながら考える力を育てる「深い学び」
各教科の具体的な変更点
ここまで、「新学習指導要領」について導入される時期や背景、特徴などをご紹介しました。
しかし「具体的に授業ではどう変わるの?」と疑問に感じている方も多いと思います。そこで、各教科の具体的な変更点についてご紹介します。
学習の基礎となる国語
言語能力を育てる国語は、各教科の学習に必要な能力としてだけでなく、社会人としても重要な能力です。そこで、「言語活動を積極的に行う」「伝統と文化を古典を通して学ぶ」という2点が変更になります。
- 語彙指導を充実させ、言語活動を積極的に行う
語彙の量と質の低下は、全ての教科における資質や理解を高める上で基礎となります。そこで、語彙の量や質を豊かにする指導を重視します。そして、話す・聞く・書くことを重視して話し合いや論述などを授業に取り入れます。この取り組みによって論理的・文学的・実用的な文章を扱う能力を身に付けます。
- 情報の扱い方の理解を深める
情報社会となり、たくさんの情報が扱われるようになりました。そこで必要な情報を見極めたり、情報を的確に整理・理解・発信する能力が必要となります。したがって文章や会話の中から情報を理解し、的確に理解できる授業が行われます。
- 日本の言語における伝統と文化を学ぶ
日本の言語文化を学び、継承する担い手を育成するため、伝統文化に触れる機会が増えます。小学生から教育を行うことで、言語文化を発展させる姿勢も身に付きます。
- 自分で考えることを重要視
授業を通して、「どのように考えたのか」という考え方を重視し、自分で考える力を育みます。これまでの「学ぶ」だけの授業ではなく、積極的に考えるという姿勢が大切となります。
論理的な考え方が学べる数学
数学においては「数学的活動」を重視し、中学校の学習や高校での学習の内容を、より一層理解できるよう改訂されます。具体的には、「数学的な見方や考え方の育成」や「実社会に活かすための数学的活動」などがあります。
- 数学的な見方や考え方の育成
各教科のそれぞれの特性に応じた見方を身に付けるため、「数学的見方や考え方」が重要とされています。事象や図形などの情報を的確にとらえて考えるために、数学的考え方は重要となります。得た知識をもとに自分で考えて活用することが必要となるのです。数学を通して、必要な知識だけでなく、知識を生かして考える能力を高めます。
- 実社会に活かすための数学的活動
目的意識をもって事象を数学的にとらえることで、自ら問題提起を行い、問題解決のために考えることを重要視しています。最終的な目的は、問題解決の際に新たな概念や法則などを習得することです。数学の発展と、創造的な取り組みをする姿勢が育成されます。
科学的技能を学ぶ理科
理科では、日常生活や社会との関連性を重要と考え、幅広い知識を身に着けるようになります。ポイントとしては、「科学的な見方や考え方の導入」「より効果的な科学的技能を身に着ける学習」の2つです。
- 科学的な見方や考え方の導入
理科では、科学的な知識を身に付けるだけでなく、「科学的な見解や考え方」を学ぶことを目的としました。物事の捉え方や考え方を学ぶことで、教科に関係なく様々な資質や能力が向上するとされています。
- より効果的な科学的技能を身に着ける学習
理科における法則や原理を理解するだけでなく、科学を探究するための技能も重要です。そこで、より効果的な活動ができるよう、学習内容を見直した上で改善されています。
実社会に役立つ知識と技能を習得する地理歴史公民
地理歴史公民では、公民に大きな変化があったと言われています。「社会的な見方や考え方の育成」「基本的な知識と技能の習得」などが変更点として挙げられます。
- 社会的な見方や考え方の育成
現在、グローバル化や科学技術の発展などにより、激しい変化に対応する力と課題解決力が必要とされています。実際の社会が持つ課題に対して、解決方法を見出す「考え方」を身に付けます。思考力と判断力だけでなく、表現力や人間性を高めることも期待されています。
- 基本的な知識と技能の習得
知識を理解するだけでなく、「学んだ知識をどう利用するのか」という技能までの習得を目指します。基礎的知識と技能を習得することで、社会で自立して生きるための基礎を作ります。
英語の能力向上を目指す外国語科目
英語は、大学入試制度での大幅な変更に伴い、授業内容も大きく変わっています。主な目的としては、「英語の4技能の向上」と「円滑なコミュニケーションを取るための英会話力の強化」です。基本的に授業を英語で行うことも明記されています。
- 英語の4技能の向上
「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能の総合的かつ統合的な育成を図ります。中学校で学んだ知識を確実に定着させながら、実際の生活で使える英語を身に付けます。発表や討論などを授業に取り入れることで、実際に英語を使用する機会を増やします。
- 円滑なコミュニケーションを取るための英会話力の強化
英語の能力や適性に応じ、英会話力の強化を目指します。読んだり聞いたりすることで、英語による理解力を高めます。さらに、自分の気持ちや考えを伝えることができるよう、英語でのコミュニケーションを促進します。
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日本の伝統や文化を学べる芸術
芸術では、日本の伝統や文化をより深く理解する内容を新しく導入します。芸術に触れる機会を増やし、「芸術を愛する」心を育てます。
- 知的財産権などの理解
芸術にも「知的財産権」があり、権利の保護と活用するための理解を深めます。自分だけでなく、他人の作品や創造性を大切にする考え方を学ぶことは、伝統や文化の継承や発展につながると期待されています。
- 芸術を愛する心を育てる
日本の伝統や文化をより深く理解することで、芸術への興味だけでなく技能を向上させることを目的としています。さらに、鑑賞指導を行うことで、芸術を愛する心を育てます。
現代社会の課題に触れる家庭
家庭科では、基本的な知識と技術を身に付け、自分の生活設計に役立つ能力を育てることを重視します。また現代社会が抱える問題にもアプローチします。
- 生活設計を自分で行う能力
自分の生活に関連づけて学習を行うことで、より身近に感じて理解を深めることができます。実際に生活をもとに学ぶことにより、より身近な問題を解決する力を向上させます。
- 現代社会が抱える問題にアプローチ
現代社会は、家庭内や地域社会において多くの問題を抱えています。家族・家庭や子ども、高齢者とのかかわりだけでなく、福祉、消費生活、衣食住などに関する必要な知識を学びます。自分の生活における課題を、生涯を通して解決する力を養います。
また、日本の伝統的な食文化を継承する意識を育むことも注目されています。
情報社会で必要な知識を養う情報
情報では、「情報の扱い方や考え方」と「情報に関する科学的な見方」について学びます。情報モラルや情報活用能力など、これからの情報社会で必要となる知識を身に着けます。
- 情報の扱い方や考え方
情報が身近となった今、情報モラルを身につける必要があります。これまでの教育でも行われていましたが、より重要視した学習が行われます。
また、情報化が社会に及ぼす影響を学ぶことで、情報の活用方法を考えます。情報の分析を通して、実社会が抱える問題解決に必要な能力を育てます。
- 情報に関する科学的な見方
事象と情報の関係性を適切にとらえ、情報技術を効果的に使用する能力を育てます。プログラミングやモデル化、シミュレーション、情報デザインを通して、情報を再構成する能力を身に付けます。
総合的な探究の時間
これまでの「総合的な学習の時間」は、明示した探究プロセスを意識した学習が中心でした。探究プロセスの理解力が高いと、各教科の正答率も高いというデータがあります。現在、探究的な学習に積極的に取り組む生徒が増加したという背景もあります。
そこで新たな「総合的な探究の時間」では、自分の在り方や生き方を考えながら、課題を見つけて解決する能力を身に着けます。学習した各教科の知識や情報活用能力、言語力を活用する授業です。
具体的には、自分の地域の課題をみつけ、グループで解決策を考えます。最終的にプレゼンテーションを利用した発表を行い、アウトプットする能力まで高めることができます。
新しい科目一覧表
ここでは、新学習指導要領の導入に伴う新科目を一覧表でご紹介します。
教科 | 現在の科目 | 新科目 |
国語 |
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数学 |
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理科 |
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地理歴史公民 |
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外国語科目 |
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芸術 |
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変更なし |
家庭 |
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情報 |
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理数 |
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総合的な探究の時間 |
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|
どの教科でも、他の教科と関係性を持たせて指導することが必要となっています。
まとめ
ここまで新たに高校で導入される新学習指導要領についてご紹介をしてきました。社会が激しく変化し、「自分で問題を見つけて解決策を見出す」という能力や、激しい変化への適応力が重要となります。これまでの教育では、カバーすることのできない能力が求められるようになっているということです。
子供たちが社会に出て必要となる能力を育てるために、新学習指導要領が導入されます。
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